J3鹿児島ユナイテッドFCの徳重剛代表(47)が、虚偽の登記申請を行ったとして5日付で鹿児島地検に書類送検されていたと11日に一部で報じられた。クラブ関連団体の理事の辞任届を当該理事名の印鑑を使って無断で作成し、法務局へ提出した電磁的公正証書原本不実記録などの疑いがもたれている。鹿児島もクラブ公式HP上で声明を発表し、そのなかで「本人への確認不足等により登記手続きに不備があったと指摘された」と釈明した。Jクラブの経営トップが書類送検される異例の事態はなぜ起こったのか。
「登記手続きに不備」
経営トップが書類送検される異例の事態に、鹿児島が揺れている。
鹿児島は11日夕方に、クラブ公式HPで「本日の一部報道について」と題した声明を発表。徳重代表がクラブに関連する一般社団法人の理事の辞任届を本人に無断で、かつ本人名の印鑑を使って作成して鹿児島地方法務局へ提出するなど、電磁的公正証書原本不実記録などの疑いで鹿児島地検へ5日付で書類送検された件を報告した。
声明は「スポンサー企業の皆様、ファン・サポーターの皆様、地域の皆様」へ謝罪するとともに徳重代表が書類送検に至った経緯を説明している。
「今回報じられた鹿児島ユナイテッドFCに関連のある一般社団法人については、2020年に法務局の指摘により、2015年から同社の理事の就任や退任の登記手続きが更新されていなかったことが判明していました。もともと、同社の理事の就任・退任については、鹿児島ユナイテッドFCを運営する株式会社の役員と理事を整合させるという共通認識のもと行うことになっていたことから、2017年に任期満了による退任となる理事について、2016年に辞任という登記手続きを2020年に遡って行いました」
鹿児島は株式会社「鹿児島プロスポーツプロジェクト」がプロチームの運営を担うとともに、同じ社名で徳重代表も理事に名を連ねる一般社団法人がアカデミーとスクールを運営している。そして、法務局の指摘を受けた2020年に、すでに任期が満了していた社団法人の当該男性理事を、2016年の辞任という形で報告した。
なぜ退任ではなく辞任としたのか。理由や経緯については記していない声明は、法務局へ提出した辞任届をめぐってトラブルがあったと続けている。
「今回、その際の本人への確認不足等により登記手続きに不備があったと指摘されたという内容です。なお、当該理事については勤務実態がありませんでした。(中略)今後も専門家等の助言を頂きながら再発防止に努めて参ります」
問題は当該男性が何も知らされていなかった点だろう。偶然にも社団法人の登記簿を確認し、自らが辞任扱いとされている点に驚いたというこの男性が弁護士に相談。2023年9月の刑事告発を受けて、鹿児島県警が捜査に乗り出していた。
鹿児島の声明中の「本人への確認不足等により登記手続きに不備があった」は、辞任届が元理事に無断で作成され、本人名の押印もなされたうえで提出した流れを認めている。当事者の身に覚えがなければ、無断で本人名の印鑑が使用されたとしか考えられない。その場合は法務面に加えて、コンプライアンス面でも重大な問題となるだろう。
公認会計士の資格をもつ徳重代表は、生まれ育った鹿児島県に悲願のプロクラブを誕生させようと、勤務していた都内の大手監査法人を2008年夏に退所。既存のクラブを母体とするFC KAGOSHIMAを立ち上げ、県1部リーグに参戦した。
当時の鹿児島県では、1959年創設のヴォルカ鹿児島が九州リーグで戦っていた。ともにJリーグ参入を目指して準加入を申請した過程で、Jリーグ側からはクラブの統合を求められた。歴史も活動拠点も異なる両クラブが、ようやく統合で合意したのは2013年8月。名称のユナイテッドには「ひとつ」という意味が込められた。
鹿児島は2014シーズンから日本フットボールリーグ(JFL)に昇格し、2016シーズンからはJ3リーグへの参入が承認された。悲願のプロクラブ誕生へのターニングポイントとなったクラブの統合には、実はかなりの紆余曲折があり、刑事告発した男性はヴォルカ鹿児島に所属していて、統合後は鹿児島でスタッフを務めていた。
こうした経緯も関係していたのか。徳重代表の書類送検を報じた記事で、同男性は「組織を独占する目的で、私を理事から外したのではないか」と語っている。
もちろん、書類送検イコール、有罪確定というわけではない。今後は鹿児島地検の捜査に委ねられ、正式起訴されて刑事裁判になるか、罰金刑相当と判断されて略式起訴となるか、あるいは不起訴になるかのいずれかが原則として考えられる。
徳重代表も自身のX(旧ツイッター)を更新し、次のようなポストを投稿した。
「ご心配とご迷惑をおかけして申し訳ございません。捜査等につきましては、すでに誠実に対応しており、今後も丁寧に対応して参ります」
鹿児島には昨年度予算で、県から4000万円、市から3000万円の補助金が計上されている。そうした背景もあり、クラブや徳重代表のXには引き続きチームを後押しする声とともに、フロントへの厳しいコメントも寄せられている。
「やっていることは立派な犯罪行為ですよ。めちゃくちゃです。残念です」
「杜撰なクラブ運営がされているようでとても残念です」
「丁寧に対応して不起訴なら音沙汰なしで辞めないんだろうなあ」
「勤務実態がない、の内容がビックリしました。勤務実態無くても報酬は出るのかな?」
「結局悪いと思ってるのか悪いと思ってないのかよくわからんリリース」
今シーズンの鹿児島は川崎フロンターレやFC町田ゼルビア、鹿島アントラーズなどで指揮を執った相馬直樹新監督(53)のもと、4試合を終えて首位のFC大阪に勝ち点3差の2位につけている。直後にピッチ外で起きたフロントのドタバタ劇は、2シーズンぶりのJ2復帰へ向けて好スタートを切ったチームの勢いに水を差しかねない。