陵墓145カ所で倒木被害の恐れ 「卑弥呼の墓」は土器が地表に

2023年6月の大雨によって箸墓古墳で起きた倒木の様子=奈良県桜井市で(宮内庁書陵部作成の資料から)

 天皇や皇族の墓などとして宮内庁が管理する8カ所の陵墓で2018年以降、台風や大雨による倒木で墳丘に穴が開いたり、地中から埴輪(はにわ)が露出したりするなどの被害が相次いでいることが判明した。世界遺産の百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群の構成資産となっている大山(だいせん)古墳(仁徳天皇陵、堺市)や、卑弥呼の墓との説がある奈良県の箸墓(はしはか)古墳(大市墓)も含まれる。宮内庁がこの八つの陵墓を含め、計159カ所を調査したところ、9割以上に当たる145カ所で同様の被害が出る恐れがあり、樹木を伐採するなどの対応が必要なことも明らかになった。

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陵墓8カ所で被害

 一級の文化財としての側面を持つ陵墓で樹木管理が大きな課題になっている実態が浮かんだ。

 毎日新聞は陵墓の管理状況を確認するため、宮内庁が陵墓の保存整備工事に関して専門家の意見を聞く「陵墓管理委員会議」で使用した13~24年分の資料や会議録を情報公開請求し、開示を受けた。さらにその内容に関して3月に宮内庁へ取材したり、陵墓の調査内容などをまとめた「書陵部紀要」を確認したりした。

 紀要によると、18年9月の台風21号では倒木被害が発生した陵墓は7カ所あった。いずれも大阪府内の大山古墳と百舌鳥陵山(みささぎやま)古墳(履中天皇陵)、太田茶臼山古墳(継体天皇陵)などで埴輪や石材が露出する被害があり、23年6月の大雨では…

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