第14怪 色々想定外の再開
どういうわけか、俺の服装は黒一色の衣服にフードを深く被り、ご丁寧に黒色の手袋とマスクまでしていた。あからさまに目立つし、俺から見ても恥ずかしくなるような井出達なのだ。こんな姿で人前を歩くなど軽い羞恥プレイだ。
すぐにマスクと手袋を外してフードを深く被る。これだけで少し不審な好青年の出来上がり。好青年というのは俺の心の叫びだ。
ともあれ、これなら警察から職務質問を受けることはあるまいよ。
ロトにはこの世界には俺以上に恐ろしくも強い奴らがゴロゴロいるから、あまり目立たないようにと念を押す。脅かしすぎたせいか、さっきから俺の左腕にしがみ付いて周囲をキョロキョロと見渡しており、どう見ても挙動不審だ。まあ、ロトの服装も紫色のドレスであり、確かに目を引きはするが、俺の姿と合わせて、コスプレ趣味のバカップル扱いされているようであるが。
「ここは、品川周辺か……」
ここが海外だという最悪の状況も予想したが、ジパングならば孤児院【白月】に帰ることができる。【白月】にはイヴがいるし、あまり、長期間【白月】を開けたくはない。それに、ほどなく【白月】にエミ達皆も帰還してくるはず。ツムジちゃんの安否について聞き出す事ができる。
もっとも、まったく問題がないわけではない。記憶を失っている間に俺が目立つ行動をとっていて、英雄同盟に認識されてしまったならば、今も尾行の一つでもされているかもしれない。最悪【白月】にいるイヴや子供たちを危険にさらしてしまう。
「エージ、どうしたのかしら?」
よほどひどい顔をしていたのだろう。ロトは俺の顔を見上げながら、躊躇がちに尋ねてくる。
「いや、少し考え事をしていただけさ」
誤魔化すべく精一杯の笑みを浮かべる。
丁度そのとき、俺たちの前方から金髪をおかっぱ頭にした男がこちらに向けて歩いてくるのを視認する。
白服ではなくジーパンとパーカーという私服姿だが、三白眼にやけに鋭い歯、あの独特な容貌は、一度目に焼き付けたら忘れるわけもない。あれは――。
「
小さく呻き声を上げて身構える俺に、
「あんたのような、バケモノとドンパチやろうとするほど俺は自信過剰じゃねぇよ」
警戒態勢をとる俺に軽く両手を上げて、
「信用できるかよ!」
俺が叫ぶやいなや、街角の電柱が突如破裂し、周囲に無数の火の玉が舞い上がる。
なんだ、この火の玉は? 火の玉は
「エージ、こいつ、敵?」
恐る恐る尋ねてくるロトに、
「ロト、俺の後ろにいろ」
強引に右手でロトの小さな体を俺の後ろへ隠す。ロトはコクンと小さく頷くと、俺のジャケットを掴むと俺の後ろからチョコンと顔を出して
「――っ⁉」
そして、突如
『
二人とも真っ青な顔でそんな冗談にもならない戯言をほざきやがった。
「王? ロト、お前、王様だったのか?」
背後を振り返って、素っ頓狂な声で問いかけるが、
「そうだけど、きっと妾に言っているんじゃないと思うのかしら」
ロトも困惑気味に、そんな曖昧な答えを返してくる。
俺たちの傍の路上に黒塗りのバンが止まると、勢いよく扉が開くと、
「あんたたち、どう考えても目立ちすぎよ! 早く乗って!
見知った人物がこちらにかけてくると、手招きをする。エミが姿を現すと同時に、火の玉も綺麗さっぱり消失していた。大方、
「お、おう!」
大きく頷くと、ロトの手を引きつつバンに乗り込んだ。
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