第28怪 究極禁術
魔導書に対する【
もし仮に封印を解いて他のページも連鎖的に解除されたら、一定期間でページが再封印されてしまう以上、僕は目的を遂げられない。それはごめんだな。だとすると、試しに封印を解除するのはリスクが大きすぎる。
だとしても、目の前に僕の求めるものがあるのに、黙ってみているなど、まさに蛇の生殺し。到底我慢できるものでもない。
僕は魔力自体に意味を込められる事を知っている。ならば、この【
試しに、【
「一先ずは成功か……あとは――」
目的のページが見つかるかだ。ゆっくりとページをめくっていくが、やはり鍵穴は見つからなかった。
「ダメか……」
結局、残すところ最終ページとなる。最終ページに僕の得たい魔術があるほど、世の中甘くはあるまい。そんなご都合主義あるはずもないのだ。
肩を落としながら、最終ページをめくる。
「……」
眼前に出現している鍵穴を暫くの間、呆けてみていた。次第に現実を認識して、歓喜が胸の奥底から沸き上がってくる。
「よっーーーーしゃあっーー!」
天へと大きく吠えたのだった。
突然、大声を出した僕に心配した美緒が様子を見に来たので全力で誤魔化す。そして、僕は一世一代の賭けに打って出る事にしたのだ。
もし、この方法が失敗すれば下手をすれば僕は未来の成長の全てを失うかもしれない。多分、このまま魔導書が順次解放されていくのを待つことが最も堅実な方法なのだろう。でも、だめだ。それでは遅い、いや遅すぎると僕の中の何かが痛いほど主張していたのだ。
らしくもなく緊張しているんだろう。胸が高鳴るのを自覚しながら、魔力を一億ほど込めて右手に鍵をイメージして鍵穴にはめる。そして、それをゆっくり時計回りに動かしていく。
カチリッ!
鈍い鍵が開く電子音が脳内に反響し、真っ白だった最終頁に文字が浮かび上がっていく。
そこの表題には究極禁術――『
――――――――――――――――――――――――――――
【
・内容:魔力によって孵化する魔術。自身の魔力を生贄にして新種の魔術を生み出すことができる。
新生魔術は術者の想いにより方向性が決定され、強度は孵化の際に使用された魔力量に比例する。ただし、孵化する魔術は一人につき一つのみであり、その者の固有魔術となる。
――――――――――――――――――――――――――――
想いによって方向性が決定する魔術か。まさに僕が今喉から手が出る程得たいと思っていた魔術。そして、なぜ世代を超えて魔力を承継したかの理由もはっきりした。この魔術を孵化させるためだったわけだ。
一つ疑問があるとすれば、その魔力を込める卵はどこにあるのかということだが……。
僕がメフィスト・フェレスから引き継いだのは、魔力とこの魔導書だ。おそらく、この魔導書にその答えがあるはず。
ためしに最終ページを人差し指でなぞってみると、突如魔導書が宙に浮遊する。次いで最終ページの文字が金色に発光していき、魔導書から剥がれていき、その文字は魔導書を球状に覆うように包み込む。
黄金の文字に包まれた魔導書はぐにゃぐにゃに形を変えて真っ赤な卵のような物体を作り上げる。
そして僕の眼前には小さな真っ赤な卵が浮遊していた。
「これに魔力を込めろってことか……くひっ!」
いいね。実にいい! 数世代して承継した魔力はたった199。今の僕の魔力は文字通り桁が違う。この卵に僕の想いを込めて僕の全力の魔力を込めれば僕の目的は達成される。これはもはや勘ではなく、確信に近い。
僕はその卵を右手で鷲掴みにすると、『この世の全魔術につき、その核となった存在を呼び出す魔術』という想いを念じ、魔力を込め始めた。
丁度、僕の魔力の99.9%を込め終わり、ほとんどの魔力が枯渇し視界が歪み、嘔吐感が込み上げてくる中、真っ赤な卵の一部に亀裂が入る。そしてその亀裂は卵全体に広がっていき、一冊の本が中から産み落とされる。
その真っ赤な本から濁流のごとく赤と黒の斑模様の魔力が漏れる。その濃厚で凶悪な魔力は急速に僕を覆いつくし、辛うじて残存していた意識をあっさり刈り取った。
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