「浦和レッズ」と「埼玉県」が繰り広げる「暗闘」の驚くべき実態…サッカーの聖地・埼玉スタジアムをめぐって「いま起きていること」
「再検討」を促すメール
問題は、そこからだ。レッズが「単独」で応募するのを、阻もうとする勢力があった。何がなんでも、造園業協会とビルメン組合を指定管理者にねじ込もうとしているようだ。手もとの文書によると、6月21日18時過ぎ、自民党の小島信昭・埼玉県議からレッズの担当者に次のメールが入っている。 〈指定管理者の件ですがスタジアムの利活用等の推進を考えるともう一度公園緑地協会とお話をいただき、JVを再検討いただきたいと考えています。このまま入札に入って、どちらかが単独で落札しても遺恨が残り私どもが考えるようなスタジアム活用に進まないと考えています〉 自民党のベテラン県議の「再検討」を促すメールは、介入の序章だった。 翌22日18時、埼スタ4階の会議室27で、県都市整備部副部長とレッズ副社長らが面談した。指定管理者の選定について、制度を導入した小泉首相(当時)は国会質問への答弁書(2006年6月22日付)に「公正かつ透明性が確保されている手続等によることが必要」と明記している。県都市整備部は、指定管理の公募を司る部署であり、副部長は選定委員の一人だ。「公正かつ透明性」が最大限に求められるのは言うまでもない。 その副部長が、レッズ側にこう切り出した、と入手した文書には記されている。 「先日、小島県議から××部長(=県都市整備部の部長)に対し次のように言われた。緑地協会とレッズが分かれて指定管理に応募する状況となっていると聞いている。議会として別離して応募するような事態にしてはならない。もしいずれかの団体が選定されても議会で承認しない意向とのこと」 この副部長は、レッズが単独で応募して審査を通って選ばれても、小島県議が議会を通さないと都市整備部長に告げたとの伝聞を口にし、緑地協会と話し合えと圧力をかけている。「公正かつ透明性」が必須の行政が、民間の応募の仕方にあれこれ注文をつけていいのか。 この副部長の発言は事実なのか。 私は、2025年2月25日、県都市整備部副部長に電話で取材を申し込んだ。 副部長は、「基本はお答えできないんてすけども」と言ったが、文書の内容を伝えると、3月10日の午前10時から30分間、埼玉県庁で私のインタビューを受けることを承諾した。 ところが、である。 2日後の2月27日、副部長は電話を寄越し、態度を豹変させたのだった。 * さらに【つづき】「埼スタをめぐる「浦和レッズ」と「埼玉県」の暗闘のなか…「県の都市整備部」と「公益財団法人」の不審な動き」では、埼玉県や公益財団法人である緑地協会、そして県議が、著者の取材に対してどう答えたかをお届けします。
山岡 淳一郎(ノンフィクション作家)