第三者委 県の公益通報者保護法違反と斎藤知事のパワハラ認定

兵庫県の斎藤知事の内部告発文書をめぐり、県の委託を受けて調査を行った第三者委員会は19日、告発文書をめぐる県の対応が公益通報者保護法に違反しているほか、知事の言動をパワハラと認める報告書を公表しました。

兵庫県の斎藤知事の内部告発文書をめぐっては、去年9月、県の委託を受けた弁護士6人による第三者委員会が設置され、職員から聞き取りを行うなどの調査を行い、19日、報告書をまとめて県側に渡すとともに内容を公表しました。

報告書は、出張先のエントランスの20メートルほど手前で公用車を降りた際、出迎えた職員を激しく叱責したことや、机をたたいて叱責したことなど知事の10件の言動をパワハラにあたると認め、「勤務環境を悪化させた」などと指摘しました。

そして、県の告発文書をめぐる対応については、告発が公益通報にあたるとした上で、通報者捜しを行ったことや、文書を作成した元局長の公用パソコンを回収したことは公益通報者保護法に違反すると認定しました。

さらに、文書の作成と配布を理由にした元局長の懲戒処分は違法で無効だとしたほか、去年3月の斎藤知事の記者会見について「元局長を『公務員失格』とか『うそ八百』などのことばで非難したことは、本人に精神的苦痛を与えるなどパワハラに該当する行為だった」として、極めて不適切だと評価しました。

そして、斎藤知事について、「多くの職員との間でコミュニケーションが不足し、認識のそごが多くの事象でいらだちを生じさせた。告発文書に接した際には冷静に対応することができず、拙速な反発的対応につながったと考えられる」などと指摘しました。

その上で、「組織の幹部は、感情をコントロールし、特に公式の場では人を傷つける発言や事態を混乱させるような発言は慎むべきだ」と提言しています。

告発文書をめぐっては、今月、県議会の百条委員会の報告書も公表されていますが、第三者委員会の報告書は、パワハラの疑いや告発文書をめぐる県の対応の違法性や不当性について、より厳しく指摘するものとなりました。

斎藤知事「重く受け止めることが大事」

第三者委員会の報告書を受けて、兵庫県の斎藤知事は県庁で記者団に対し「重く受け止めることが大事だ。内容はこれから精査し、そのうえで県としての対応を検討していく」と述べました。

知事の言動がパワハラにあたると指摘されたことについては、業務上の範囲で必要な指導をしたという見解を繰り返したうえで「指摘されたことはしっかり受け止めていく。反省すべきところは反省し、しっかり県政を前に進めていくことが私の責任の果たし方だ」と述べました。

一方、報告書が告発文書を公益通報にあたると認定したことについては「ひぼう中傷性の高い文書だったと考えている。県としての考え方は、これまでの記者会見で述べたとおりだ」と述べました。

第三者委 藤本委員長「問題はコミュニケーション」

第三者委員会の藤本久俊委員長や委員たちは記者会見を開きました。

藤本委員長は「問題なのはコミュニケーションのギャップや不足だ。知事と組織の中心メンバーとのコミュニケーションが密で同質性が醸成される一方で、そのほかの職員とは十分にコミュニケーションがとれていなかった。職員は話を聞いてもらえないことで不満が蓄積され、知事の側も報告を受けていないことでいらだちが生じた。それがパワハラの原因につながった可能性がある」と指摘しました。

そして、今回の内部告発文書をきっかけに、▽ハラスメント防止のための研修や、▽利害関係者からの物品の受け取りを原則禁止するガイドラインといった対策が策定され、県の組織体制の改善につながったとしたうえで、「異なる意見は組織の幅を広げる。幹部の方々は、複眼的な思考を行う姿勢を持って、どんなことがあってもみずからが正しいかどうかを検証し県政を発展させてくれればと思う」と話していました。

百条委 奥谷委員長「知事の対応を注視したい」

第三者委員会が報告書を公表したことを受けて、兵庫県議会の百条委員会で委員長を務めた奥谷謙一議員は「丁寧に事実認定されており、多くの関係者に丁寧に聞き取りをされたと思う。パワハラ、公益通報に関してはわれわれの報告書より踏み込んだ内容だという印象だ。知事に重く受け止めてほしい。処分の違法性についても言及されている。その点も含め、知事の対応を注視したい」というコメントを出しました。

維新の会「知事の対応を見守りたい」

維新の会の門隆志幹事長は「県民の中では、文書問題に関する意見が極端にわかれているので、報告書については厳しいという見方も納得の内容だという見方もあると思った」と述べました。

パワハラの認定については「結構な数が認定されていると感じた」としたうえで、会派としての今後の対応については「まずは報告書を受けて、知事が再発防止に向けてどのように対応するのかを見守りたい。県として何もしないということはないと思うが、知事の報告書に対する受け止めを聞いてから考えたい」と述べました。

自民党県議団「しっかりと受け止めを」

自民党県議団の北野実幹事長は「議会が出した百条委員会の報告書と同様に、しっかりと受け止めていただくことを、当然のことながら、知事はじめ当局にも強く求めたい」と述べました。

今後の会派や議会の対応については、「まずは知事みずからが、この判断をどう受け止めるかによっての対応になる」と述べ、会派や議会として、具体的な対応はまだ議論していないとしました。

公明党県議団「民意を融和していくきっかけに」

公明党県議団の越田浩矢幹事長は記者団に対し、「法律家が一つ一つ丁寧に事実を確認した上で出された結果は、知事に重く受け止めていただきたい」と述べました。

また、知事に辞職を求めたり、不信任決議案を出すかどうか、問われたことについては、「再選された民意はしっかり重く受け止める必要がある。百条委員会と第三者委員会の報告書を知事にはしっかり受け止め、反省していただき、改善の施策を行っていただくことで、民意を融和していくきっかけにしていただきたい」と述べました。

ひょうご県民連合「元局長への処分撤回含め対応に注目」

立憲民主党などでつくる会派「ひょうご県民連合」の迎山志保政調会長は記者団に対して、「事実を可能なかぎり踏まえながら、踏み込んだ表現もされていて、職員の立場や県民目線の報告書だ。知事は、これまで県の対応は問題がなかったという認識を繰り返されていたが、問題であった、不適切である違法であるということが示された。受け止めるだけではなくて、元局長の処分の撤回なども含めた対応に注目したい」と述べました。

その上で、「この報告書を受けてこれまでと変わらない自己正当化に終始するのであれば、辞職勧告をするなどその先のことについてもしっかりと議論を進めていきたい」と述べました。

躍動の会「今後どういった方針でいくのか会派内で検討」

躍動の会の増山誠幹事長は記者団の取材に対して、「パワーハラスメントについては認定するという内容がかなり含まれていて、公益通報者保護法については違法ということばも散見され、かなり突っ込んだ内容になっていると思った」と述べました。

今後の対応については「一度不信任を決議しているので、この第三者委員会の報告書をもってもう一度不信任というのは、私としては正しいと思わない。議会の自主解散を主張していこうとは思っているが、私の想定していた以上に違法性に関する言及があったので、今後どういった方針でいくのか、会派内で検討していきたい」と述べました。

あわせて読みたい

スペシャルコンテンツ