文書問題 公益通報受け兵庫県が内部調査結果など公表
兵庫県の元幹部が斎藤知事のパワハラの疑いなどを公益通報したことをめぐり、県は11日 「パワハラがあったとの確証までは得られなかった」などとする内部調査の結果を明らかにした上で、来週から外部の通報窓口を設けるなどの是正措置を公表しました。
兵庫県の元幹部が、斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書を作成し、ことし4月に県の公益通報制度を利用して内部通報したことをめぐり、県は11日 内部調査の結果と是正措置を公表しました。
それによりますと、ことし7月までに職員への聞き取りなどを行った結果、知事のパワハラの疑いについては、一部で強く叱責されたと認識する職員が確認できたものの「パワハラと認められる事案があったとの確証までは得られなかった」などとしています。
一方で、県は「パワハラがなかったと断定するものではない」としています。
また、贈答品を受け取った疑いについては、個人の判断に委ねられる余地があり、知事が意図しない贈答品の受け取りにつながったケースが確認されたなどとしています。
その上で、県民の信頼確保に向けた是正措置として▽今月(12月)16日から外部の通報窓口を弁護士事務所に設置し、必要に応じて外部調査を行うほか▽知事や副知事などに対して、ハラスメントの防止などに向けた研修を実施するとしています。
また、物品の受け取りについては、内部の規則で規制されていなかった 食べ物や企業からの無料の記念品など、利害関係者からの受け取りを原則、禁止するとしたガイドラインを策定しました。
県は「県政を円滑に進めていくためにも、是正措置を着実に行っていきたい」としています。
【内部調査の概要】
兵庫県の元幹部の公益通報を受けた内部調査は、ことし4月4日の通報のあと、7月末までに財務部が、関係部署の職員や企業に聞き取りなどをするかたちで行われました。
その結果、斎藤知事のパワハラの疑いについては▼一部で強く叱責されたと認識する職員が確認できたものの、「パワハラを受けた」と認識する職員は確認できなかったとしています。
▼そして叱責された職員の周囲でも、知事の具体的な言動を把握する職員は確認できなかったとして、「今回の調査ではパワハラと認められる事案があったとの確証までは得られなかった」としています。
▼一方、県は「パワハラがなかったと断定するものではない」としています。
また、贈答品を受け取った疑いについては▼これまでは慣例で受け取りが判断されてきたこともあり、知事が意図しない贈答品の受け取りにつながったケースが確認されたほか▼物品を借りた際にも、貸与期間を定めた書類などがなく、贈与と誤解を受けたケースが確認されたとしています。
県の元幹部は、パワハラや贈答品の受け取りの疑い以外にも、複数の項目を県に公益通報したとしていましたが、県は、ほかの項目については、通報があったかどうかを含めて明らかにしていません。
【是正措置の内容】
県が是正措置として公表したのは▼公益通報の外部窓口の設置と▼物品の受け取りに関するルールの明確化▼組織マネージメントやハラスメントの防止などに向けた特別研修の実施の3つです。
公益通報制度については、職員が通報しやすい体制を整えるため、外部の通報窓口を弁護士事務所に設置し、今月(12月)16日から運用を始めるとしています。
通報はメールで行い、匿名でも受け付け、県の担当部署が調査を行うとともに、必要に応じて弁護士などによる外部調査を行うとしています。
物品の受け取りについては、内部の規則で規制されていなかった食べ物や企業からの無料の記念品などについて、ガイドラインを策定しました。
この中では、県の補助金を交付されている事業者など8つの対象を利害関係者と位置づけ、利害関係者からは、知事や副知事のほか、一般の職員も食べ物などを受け取ることを原則、禁止するとしています。
職員や所属部署が判断できない場合は、各部の総務課長などが相談を受け付け、相談内容や判断結果を記録して全庁で共有するとしています。
一方、物品を無償で借りる場合は、先方から使用目的や期間などを記した書類を提出してもらうことなどを規則に盛り込みました。
組織マネージメントやハラスメントの防止などに向けた特別研修については、知事や副知事などの幹部が対象で、今年度中に実施する方針です。
内容としては、専門の講師を招き、自由に意見交換ができる職場づくりや、ハラスメントの基礎知識などを学ぶことを想定しているということです。