豊胸手術の薬剤で特許侵害 医師に賠償命じる 知財高裁判決

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報道陣に公開されたビジネスコートの大合議法廷=東京都目黒区で2022年10月6日、猪飼健史撮影

 豊胸に使う薬剤の特許権を侵害されたとして、医療機器販売会社が医師に1億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、知財高裁大合議部(本多知成裁判長)は19日、特許権侵害を認め、医師に約1500万円を支払うよう命じた。会社側の請求を棄却した1審・東京地裁判決(2023年3月)を取り消した。

 医療機器販売会社が特許を持つ豊胸の薬剤は、患者自身の血漿(けっしょう)と、二つの薬成分を含んでいて、薬剤を胸部に投与して使う。

 美容クリニックを経営していた医師側は、「医療行為」では特許は認められず、豊胸の薬剤を人体へ投与する行為は医療行為に当たるため、特許は無効だと主張していた。

 判決はまず、特許法が「医薬品の発明は特許を受けられる」としていることから、今回の薬剤も特許保護対象になると認めた。

 特許法は「病気の治療や予防に使う薬剤の調剤行為を特許保護対象から除く」とも定めているが、今回は治療や予防とは異なる豊胸が目的で、この除外規定にも当てはまらないとした。

 その上で、医療機器販売会社が特許を持つ三つの成分を同時に含んだ薬剤を、医師が調合して投与していたと認定。医師がこの薬剤を使って実施した20年5月~21年7月の豊胸手術の売り上げから賠償額を算定した。

 1審は、医師が三つの成分を同時に混ぜたとは認められないとしていた。【菅野蘭】

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