2025.03.17 17:30
【観戦体験記】春野で高知ユナイテッド体感! 雨天の鹿児島ユナイテッド戦はまさかの幕切れ
【取材チームのスペック】
筆者は40年来のプロ野球ファン。高知UのJ参入を期に急に目の色を変えて応援しだしたミーハー。高知新聞PLUSでJ3各チームの紹介記事などを書いている。後輩Rはサッカー王国・静岡の元国民で、筆者をサッカーフリークにするべく工作活動をしている。後輩Kは高知新聞の若者向けアプリ「ニュニュ」編集長。JFL時代に春野での観戦体験記をリリースしており、その経験を生かし再び春野に飲みに来た(ニュニュでJFL時代の観戦記を読んでみる→ここからダウンロード)
本業は高知新聞のデジタル担当です
われわれは試合の雰囲気を伝え春野への動員増加を図るために立ち上がった非正規軍、普段スポーツ取材をしない記者の混成部隊、いわば奇兵隊である。この日は高知ユナイテッド対鹿児島ユナイテッドという、坂本龍馬と西郷隆盛のお膝元の「ユナイテッド」対決に奇兵隊。幕末の雰囲気ぷんぷんだ。ひとまず3月15日なら行けそうだということで、各自チケットを入手。春野陸上競技場に向かうことにした。
この日はスタグルやサポーターの様子などを精力的に取材(春野陸上競技場前)
【シャトルバス】
普段なら自家用車で春野総合運動公園に行くのだが、せっかくの体験記なのでシャトルバスを事前予約(往復利用のみで料金1000円)。高知駅北口のバスターミナルと春野総合運動公園を結ぶ。支払いは予約時にクレジットカード払いで済ませたので、乗車当日に高知駅北口に用意された受付ですぐ乗車券がもらえた。案内には当日申込みもできると書いてあったが、予約で席を確保できるのは安心材料。この日は鹿児島からの予約もあったとか。九州から遠路はるばる、ありがとうございます!
シャトルバスのチケットを受付でもらう(高知駅北口)
バスは高知駅北口のバスターミナルから出発する。この日乗ったのは高知駅午前9時40分発だった。ちなみに試合は午後1時キックオフ。取材があるためちょっと早めの出発にした。
シャトルバスに乗り込んでいざ出陣(高知駅北口)
バスは六泉寺トンネルや春野町南ケ丘の住宅街などを通り、25分ほどで県立春野総合運動公園に到着した。
乗ってきたシャトルバス。多目的広場の脇で発着(春野総合運動公園)
多目的広場の脇で降りて、クロスカントリーのコースを歩いて8分ほどで陸上競技場に着いた。
カントリーロード~ この道~ ずっと~ 行けば~(春野総合運動公園)
【選手バスお出迎え】
競技場着は10時過ぎ。シャトルバスを高知駅9時40分の便にしたのは試合開始2時間前=この日は11時ごろ=に選手たちを乗せたバスが場内に入るから。コアメンバーの先導でサポーターたちがチャント(応援歌)を練習していると「あ、来ましたっ!」
選手の乗ったバスを待つ間、お出迎えを練習(春野陸上競技場前)
ゆーっくり、ゆーっくりと、選手とサポーターが心を通わせられるようにバスは低速で進んだ。そして陸上競技場にスルスルと入っていった。煽るようにサポーターが旗を振り「春野じゃ、負けない〜♪」などとチャントを大合唱する。そこそこの近さで声援を送れる貴重な時間なので、選手やサポーター同士で一体感を得たい方にはおすすめ。
旗を振られながら選手を乗せたバスが入場(春野陸上競技場前)
【スタグル】
時刻は11時を過ぎた。試合開始まであと2時間近くあるが、とりあえずスタジアムグルメを楽しもうじゃないか。この日は天気予報が雨とあってキッチンカー前に長蛇の列、なんてことはなかったが並びたくない場合はお早めに。メニューは多種多彩なので、いろいろ見て回ってください!
スタグルいろいろ。ぜひお試しを(春野陸上競技場前)
【推し活】
お目当ての選手がいる方、記念撮影はいかが? 各選手の旗がずらりと並んでいるぞ。2組のサポーターにモデルになってもらった。
イチオシはFW小林心!(春野陸上競技場前)
はい、チーズ! あれ、おなかにあるのはDF吉田知樹のイラストかな?
DF吉田知樹を熱烈応援!(春野陸上競技場前)
【アウェーサポーターと交流】
ぐっすり話し込むのは上級者だろうが、気さくに交流する場合もある。突如、焼酎が現れた。さすが九州。サッカークラブのマスコットキャラクターが焼酎だとは(もちろん違います)。「高知新聞ですが(撮影)構いませんか?」「え、高知新聞?」。高知につめ跡を残すことに成功だと、ニヤリと笑って焼酎パックにシワが深く刻まれた(ように見えた)。
焼酎マスコット現る(春野陸上競技場前)
「ケンミンショーにも出たんですぅー」。いきなり鹿児島ユナイテッドサポさんに大阪屋製菓の「珍々豆」を手渡されてアタフタ。びっくりしてお礼も言えずごめんなさい。
ケンミンショーにも出たらしい珍々豆。鹿児島ではメジャーなの?
他にも鹿児島のパンフレットやおみやげの定番お菓子、薩摩蒸気屋の「かすたどん」が配られたりと、地域間交流もある。こうやって各チームのホームタウンの絆が深まれば何よりだ。アウェーツーリズムなる言葉もあるそうで、高知UのJ参入は観光や経済面での効果も期待したい。
鹿児島を猛アピール(春野陸上競技場前)
【志穂美社長にごあいさつ】
そんなこんなで陸上競技場の外をうろついていると、高知Uの山本志穂美社長にご対面。社長と旧知の後輩Rが橋渡しをしてくれると、「PLUS、ユナイテッドの記事ばっかり。うふ」。喜んでいただいて何より。これからも記事を書いてクラブを応援します!
1人何役なさっているのか? 山本志穂美社長
【イベントもある】
この日はド派手な催しがなかったが、2月23日のホーム開幕戦にはポケモンも来てたっけ。今回は横断幕にメッセージを募っていたので、奇兵隊を代表して後輩Rが「めざせ連勝!! 春野で勝とう」と必勝祈願した。
めざせ連勝!!と必勝祈願(春野陸上競技場前)
【グッズもどうぞ】
専用の売り場が構えられており、レプリカユニホーム、Tシャツ、タオル、応援用の鳴子、バッジやステッカー、お菓子などが並ぶ。気に入った物を買って気分を上げよう。
ユナイテッドのグッズもいろいろ
【いよいよ入場】
奇兵隊による取材は場外撮影しか認められていないので、入場するタイミングでいったん撮影終了(説明用の画像が撮れなくてごめんなさい)。後輩たちはホーム自由席の入口でQRコードを読み取ってもらう。筆者は紙のチケットをビリっとちぎってもらった。
【雨対策】
天気予報で覚悟していたものの雨中の観戦は大変厳しい。奇兵隊はいったんバックスタンドに向かうも、あまりの雨風にスタンド下の通路に避難。ここは「軒」のようになっているのだ。すでに多くの先客が陣取っていたため、やむなく鹿児島サポ寄りの場所に腰を落ち着けた。雨風はしのげるものの座席はなく、しゃがむか立ち見するしかない。慣れた人は折り畳みいすを持参していた。スタンドでの傘差し応援は不可なので、雨がっぱかポンチョを着用するのが良いかも。
【ウオーミングアップ】
割と試合直前まで選手たちはボールを蹴っていたのが意外だった。プロのサッカー選手がどうやって調整するのか見たい人は余裕を持って着席するのが良さそう。
【選手紹介】
アウェーチームは大型ビジョンに名簿一覧であっさりと終わる。ホーム高知は「疾風怒濤(どとう)のスピードスター、水野颯太っ!」などと一人ひとり煽り口上付きで顔写真が映し出される。試合開始も迫ってきて観戦ムードが高まる。
〈試合開始〉
【アウェーサポーター】
アウェー応援席の近くに行ったため嫌でも鹿児島サポの大声援が耳に入る。ゴール裏では旗を振り、スタンドでは寄り集まって歌い続ける。この雨の中を。この風の中を。この高知で。ちょっと感動した。
ダ、ダ、ダ、ダン(太鼓の音か?)
ダ、ダ、ダ、ダン
ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダン かごしぃまぁ!
なぜこれに反応したか。筆者ひいきのソフトバンクホークスも、かごしぃまぁのくだりを「ギータ!」(柳田悠岐)などとして同じように応援するから。どちらが元祖か分からないが、同じ九州でこのリズム感に馴染みがあるのだろうか?
おおおおお、おおおおおおお、おっおおっおお、かっごっしっまっ!
これに気付いたのは横浜DeNAベイスターズ抑えの山崎康晃入場曲「ケルンクラフト400」だったから。ちなみに山崎康晃の場合はかっごっしっまっ!のところを「ヤ、ス、ア、キ!」と叫ぶ。このようにでも考えていないとプロ野球ファンであることを忘れてしまいそう。ま、SNS見ていても野球とサッカーの二刀流のファンいるし今後は両方応援すればいいのか。
【高知サポーターも負けるな】
熱く熱くなるゴール裏に陣取っていたサポーターの数はアウェー鹿児島に負けていたように見えた。ここはホームの春野競技場。高知Uサポーターは雨で軒下に避難したりバックスタンド側から見たりして、ばらけてしまっていたのか? 昨シーズンをJ2で戦った鹿児島ユナイテッドはサポーターの数で地力があり、高知Uの盛り上がりはまだまだこれからなのに違いない。
高知Uイレブンに声援を送るサポーター
今にして思えば高知サポーターのところにチャントを聴きに行くべきだった。言い訳だが試合開始6分に鹿児島に先制を許し、これはどうなることかと試合に没頭してしまった。特に前半は押されっぱなしで歌を聴きに行く心の余裕がなかった。鹿児島の応援も覚えたつもりはない。応援席に近い左側の鼓膜をずっと刺激されて耳に残ってしまったのだ。雨に打たれ、風にさらされ、先制点を献上……。どうなる奇兵隊!?
なお時折、鳴子をチャキチャキ鳴らす音が聞こえてくる。鳴子は競技場外のグッズ売り場にも用意されている。タイミングに統一感さえ出せれば、郷土色のある応援として音量も稼げて一石二鳥ではないだろうか。今のところはアクセントといった印象だった。
応援グッズとして可能性を秘めているように思える鳴子
〈後半開始〉
【さあ反撃だ】
気を取り直して応援をとピッチを凝視していたら、鹿児島ゴール前にふんわりとボールが! なんかわちゃわちゃした。あれ、ボールがゴールラインを割った!? 「ゴ―――ル!!!」 。後半開始わずか3分で追いついた。鹿児島のオウンゴールかと思ったらDF鈴木俊也がこぼれ球をヒールで押し込んでいた。春野が息を吹き返した。あれ、後輩Kがおらん。何か買い出しに行ったらしい。せっかくの同点劇なのに残念なこと。
後半3分、高知U・鈴木俊也(38)=中央=がこぼれ球をヒールで押し込み1―1に追い付く
なんて思っていたら今度は後半投入のFW東家聡樹が逆転のゴール。この間わずか1分ほどだ。さっき息を吹き返したばかりの高知Uサポーターは狂喜乱舞。対照的にこれまで押していた鹿児島サポーターは意気消沈。さすがにボリュームが小さく聞こえだした。電光石火の逆転劇くらったら、そうなるか。
同点ゴールから1分後、高知U・東家聡樹の逆転弾で春野が沸いた
そうこうしていたらビールを片手に後輩Kが現れた。ぼそぼそっと「見逃したぁ……」。はっ! まさか後輩Kがマイナスオーラをまき散らしていたのか? 不在の間に2点も入ったではないか。疑心暗鬼のままゲームは進む。時計表示は88分を過ぎ、うわさのアディショナルタイム表示がどーんと大型ビジョンに現れた。今季から高知Uのスポンサーになったカシオ計算機のG-SHOCK! しかし記念撮影する間もなく時計盤は姿を消した。アディショナルタイムは4分。この調子なら逃げ切れるか。
しかしじわりじわりと高知Uの陣地でボールが展開される。まあでももう時間もないしな。と思ったら、ふわっとボールがゴールに吸い込まれた。え?
「わあああああああああああああ」
左前方で鹿児島サポーターが大騒ぎしていた。奇跡の同点劇。高知にとっては悲劇の同点劇。選手たちはへたり込んだ。そりゃそうなるよね。その瞬間、「最後のワンプレーっ!」。諦めない高知Uサポーターの声が聞こえた。そうそう、あとワンプレーで何か起きるかもしれないじゃないか。
「ピッ、ピッ、ピーーーーーーーーーーーー」
え、リスタートのボール蹴った直後におしまい? あと何秒かだったってこと? うわー。動けない高知Uの選手たち。
ホーム初勝利を目前で逃し、うなだれる高知Uイレブン
今後100年は語り継がれるであろう「春野の悲劇」の目撃者に奇しくもなった奇兵隊。悔しさをこらえながら選手たちは、最後まで応援したサポーターの近くに来てあいさつしてくれた。サポーターも悔しかったはずだけれど、パチパチパチと拍手を送っていた。勝利を分かち合えれば最高だったけど、絆はしっかり強まった。
【帰り道】
足取り重く陸上競技場から再びシャトルバス乗り場へ。着いたのは午後3時半ごろだった。
帰りのシャトルバスへ向かう。空も心もどんより(春野総合運動公園)
サポーターを乗せたバスは高知駅に向かい、午後4時ごろ到着。奇兵隊は解散した。筆者は正直なところ落胆が激しく、すぐまた見に行こうかとは思えなかった。が、家に向かいながらだんだんこみ上げてくるものがあった。「勝つところが見たいよな」。
【結論】
試合には勝てなかったが生観戦の雰囲気は楽しめた。普段は有料サービスのDAZN(ダゾーン)でサッカーを見ていたけれど、結論として「生観戦はおすすめ」。音が、歓声が、迫力が違う。それはやっぱり現地に行かないと味わえない。とは言え、きっかけがなぁ…と二の足を踏む方の気持ちも分かる。何となくハードルを感じちゃうのです。なので筆者がやったように、まずは「行ったことがある人について行く」のはどうでしょうか? めちゃくちゃ気が楽です。
同時に「行ったことがある人」にもお願いです。近くにもしモジモジしている人がいたら「春野に行ってみん?」とお声がけを。きっと仲間でわいわい、楽しいホーム観戦が待っているはずですので!
【チケット購入編を追加】
さらに観戦のハードルを下げるべく、われわれがどうやってチケットを入手したかも記録しておこう。筆者はセブンイレブンで購入。コピー機の横などにあるチケット購入端末を使った。チケットぴあ経由で買うためPコード(592-995)が分かっていると便利。画面案内の通りに選択したり、名前を打ち込んだりして発券用の紙を出し、レジで発券してもらった。レジの表記が1765円になっているのは、ホーム自由席の前売り価格1600円と発券手数料165円の合計金額。
筆者はセブンイレブンでチケット購入
後輩はネットサービスの「Jリーグチケット」で購入。高知Uのホームページから「購入はこちら」に進み、希望の試合を選択。座席を決めたり支払いを済ませたりしよう。JリーグIDの登録が必要なのでお忘れなく。
Jリーグチケットでの購入イメージ
後輩からの申し送りによると、「チケットの取り置きは9分間」「支払いはd払い、楽天ペイ、クレジットカード」「システム手数料は1枚発券につき110円」だそうです。
次に、チケットの出し方です。Jリーグのサイトにログインした状態で、右上のQR発券をタップ! 購入しているチケット一覧がでてきます。1試合で2枚以上購入している場合は「譲渡/分配」(URLかLINE)もこちらからできるようです。右の画像は購入翌日の朝8時、メールにQRチケット画像が送られてきた時のもの。パスワードなどが分からなくなって慌てないよう保存しておくといいかも。
チケットを発券
チケットは高知U事務所(高知県高知市本町3丁目2-4)や、量販店のエースワン・エーマックスなどでも取り扱っている。予定が立つなら前売り券が割安でお得だし、何度も行きそうな人はシーズンチケットという手もある。詳しくはチケット情報をご確認ください。それではぜひ楽しい観戦を!