2024年問題 二刀流で打開する企業も
- 2024年5月21日
「2024年問題」という言葉、よく聞くことも多いのではないか。荷物がすぐには届かないなどの影響が懸念される中、発想の転換、「シフトチェンジ」でこの難局を乗り越えようという企業が高知県にあった。
(高知放送局 記者 中川聖太)
2024年問題で何が変わるの?
働き方改革に伴って2019年から多くの業種で時間外労働に上限が設けられたが、運送業と建設業、それに医師は準備期間として5年間、適用が猶予されていた。それが2024年4月からこれら3つの業種にも規制の適用が始まることになった。
働く人たちにとっては業界の慣習となっていた長時間労働の是正につながると期待されている。その一方で労働時間が減ることで例えば物流では荷物がすぐには届かないといった影響が懸念されるため、「2024年問題」と言われているのだ。こうした規制の強化を受けて発想の転換、「シフトチェンジ」でこの難局を乗り越えようという企業があると聞き、取材に向かった。
2024年問題 高知の企業は?
取材したのは、高知県の最西端、土佐清水市にある水産卸会社。魚やペットフードの加工品を全国に運んでいる。この会社に勤める遠山武史さんはドライバー歴10年。これまで長距離運送を専門としてきた。長距離ドライバーはどのような働き方をしているのか聞いてみた。
1日目、遠山さんは土佐清水市を出発して、700キロ離れた静岡県に向かう。2日目、製品を降ろしたあと鹿児島県に。途中、福岡県で1泊し、3日目は鹿児島県で水揚げされた魚を積み込み、土佐清水市へ出発。四万十市で1泊して土佐清水市の会社に戻ってきたのは4日後だった。こうした仕事を月で7回こなし、時間外労働は100時間ほどに上ることもあったという。
当然、法律で上限が設けられたことでこうした働き方はできなくなった。会社は、拘束時間が長い長距離運送の回数を半分近くに減らすことを決断した。
(山下英社長)
2024年問題に対して現状維持できるようにクリアしていくこともわれわれの大変な課題ではないかと思っています。ただ単に運ぶだけでは相当苦しいと思います、この先。
「専門職」から「二刀流」に「シフトチェンジ」
仕事が減ると会社の売り上げが減るのは自明。ドライバーに給料をどう払っていくのか。会社は思い切った決断を下した。
3月下旬、遠山さんの姿は土佐清水市にある漁港にあった。会社が取った秘策、それは「専門職」から「二刀流」へのシフトチェンジだった。
この日、遠山さんが行っていた作業は仕入れた魚の箱詰め。そして、漁港から5分ほどのスーパーへの配達。3時間半ほどの労働時間だった。
トラックを乗る回数を減らす一方で、こうした業務にあてることで労働時間を削減しつつ給料も維持するのが狙いだ。
ほかにも本業とする運送業務も、日帰りできる中距離の運送と組み合わせることで柔軟な働き方を導入している。
(トラックドライバー 遠山武史さん)
いろいろやることがあるんですけど、それはまたちょっと面白いというか面白みはあるんで。やりがいはやっぱりありますね。
(山下英社長)
市場で3時間くらい働いてもらってその日は終わらすという「二刀流」って言い方もおかしいですけど、いろんな培ってきたノウハウを利用してまだ多角化できたら、それがベターだとは思ってます。
こうした1人が2役、3役をすることはいわゆる“マルチジョブ”と言われている。航空業界でも取り入れられ、労働時間を調整する上でほかの業種でも導入しやすいとされている。人手不足も深刻となる中、さらに広がる可能性がある。ただ、この会社では長距離輸送は削減せざるを得ず、働き方改革と物流事業をどう両立させるのか、今も模索が続いている。
2024年問題 高知への影響は
民間のシンクタンクの試算では、もともとの人手不足に2024年問題の影響を加えると2030年には対策を打たなければ国内の35%の荷物が運べなくなるおそれがあると指摘されている。中でも高知県は42%の荷物が運べなくなると試算され、9割以上の自治体で運送サービスの質が低下する可能性があるとされている。
労働時間の規制の強化によってこれだけの影響が出るということは、言いかえればそれだけ経済や社会が物流業界の長時間労働に頼ってきたことの裏返しでもある。これを転換点と捉えて、私たち消費者も含めた社会全体で意識を変えていくことが重要だ。
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