資産価値の高い中古マンションの買い方
こんにちは。マンション好きの外資コンサルと申します(Xでのアカウントです)。本業の傍ら、タワマンの購入や売却を細々と投資兼趣味でやっており、東京・大阪・埼玉・神奈川・千葉で計11回の購入を経験しています。2024年度は計4件、4億8,500万円分を新規契約し、現在進行形で自分のリスクマネーを張って市況を見ているので、普通の人よりは少し知識があります。
当アカウントには以前から何十件もDMでマンション関連の相談が来ていました。しかし本業が忙しく余力もなかったので、いっそ有料で真面目に相談に乗ろうと去年9月から細々と1時間2万円の有料相談フォームなるものを作ってみたのですが、Xであまり宣伝していないのに半年で140人以上の方からご相談をいただきました(超忙しかった…)。その中で多いのは資産価値の高い中古マンションの買い方やどの物件が良いか?というご相談。新築タワマンはSNSの話題を掻っ攫う花形ですが、近年は倍率が上がりすぎて買えなくなり、中古への注目が高まった構図と理解します。昨日終わったリビオタワー品川1期1次(最高倍率139倍)の過熱なども見て「これは無理だ」と悟った人も多いのではないでしょうか。まずはマンションマニアさんも言う通り、良質な物件を1つ買ってから、当たっても外れても大丈夫な状況を作ってから新築はチャレンジするものです。
ポジションセット済みだからこそ落選しても笑っていられる(もちろん悔しいですけども…)
— マンションマニア (@mansionmania) March 17, 2025
本当の本当にポジションセットを最優先されることをおすすめしたいです
ポジションセット後に人気の新築マンションへチャレンジすることもできるのですから
中古マンションの購入には再現性のある思考プロセスがあり、いつもそれに則ってアドバイスをしているので、公開すれば皆さんの役に立てるのではと思いnoteを書いています。以下の記事では、予算を決める→エリア候補を決める→物件候補を決める→部屋を決める→買い方の順で整理しています。私自身、5回中古タワマンを買っており、新築で疲弊するよりも中古で早く良い物件を買うのが最適解になるケースを知っているので、疲弊している方々に早く良い中古を掴んでいただければと思います。(私も2024年だけで15回抽選に落ちて疲弊しましたw)
※1:私のような投資家系アカウントに相談に来るのは当然「資産価値の高いマンションを買って資産形成をしたい」という方しかいません。今回ご紹介するものもあくまで「資産価値が高い中古マンション(自宅利用)を買うには」に特化しているので、ご了承ください。資産価値とは、価格保持力(インフレ相場での上昇期待値)と定義します。
※2:私が様々な投資判断で学んだプロセスの紹介になるので、一応これに従って高い成果は出していますが、あくまで我流であることをご承知おきください。出来るだけ数字で裏付けしていますが、一部は私の現場感覚に依拠するものもあります。他にも色々な考え方があると思いますし、これを唯一無二の正解というつもりもありませんので、最後は皆さん自身で採用不採用をご判断ください。
Step1. 予算を決める
全ては予算から。マンション購入はこの予算の中で何をどこまで妥協するかの調整であり、予算無限なら購入に困ることはありません。結論からですが、基本的には年収の8倍程度の金額に抑えることをお勧めします。一般論になりますが、毎月の収入に占める住宅ローンの返済比率は25%程度に抑えることが推奨され、この時の年収倍率目安が7倍です。ただし他の支出を少し削って30%程度までなら問題ない範囲とも言われておりそれが8倍程度です。8倍を超えてくると、金利変動耐性が弱まったり、NISAなど有価証券への投資余力がなくなって不動産一本足打法の偏ったポートフォリオになりリスク取りすぎの水準になります。
ただし銀行の審査基準では10倍程度まで借りられることが多いです。
以下のケースにおいては10倍まで背伸びすることも選択肢に入ります。
A.今後も年収が伸びていく余地が大きい
まだ若い30歳程度のパワーカップルなどですね。今後も夫婦ともに年収が伸びていく期待値の高いキャリアを歩んでいるなら、将来的には年収倍率も自然と下がるのでリスクを許容しやすくなります。世帯年収1500万円のカップルの予算が1.2億→1.5億に伸びればかなり選択肢は広がりますね。
B.金融資産が厚めにある
フリーに動かせる金融資産が数千万円~1億程度ある場合ですね。
具体的には、有価証券からの配当を年4~5%受け取る想定で計算をして、実質的な年収を見た目よりも上げた時に年収倍率が8倍程度に収まればOKという考え方です。年4~5%の配当なら米国債権で受け取れますし、アメリカ合衆国が吹っ飛ばない限り元本も確実に返ってくるので実質的な安定収入と見て良いでしょう。
尚、余談ですが私の相談者さんには世帯年収3000万円オーバー、金融資産1億円以上の両方を満たすようなパワーカップルがゴロゴロいます。また、地方や郊外のお金持ちなど、数億~十億単位のお金の使い道に困っている方なども来ます。高騰したタワマンを誰が買ってるんだ?どうせ外国人だろうと決めつける人がネットでは沢山見られますが、実は日本人の購買力は捨てたものではないのです。
Step2.エリアの候補を決める
次に、どんなエリアを狙うかを決めます。私が常に重視しているのは再開発を期待できるエリアになります。後述しますが、区分マンションの価格は驚くほどこの再開発と深い関係があります。尚、ここで言う再開発とはマクロとミクロの再開発があります。
①再開発の種類
A.マクロの再開発:
広大な面積を丸ごと作り変えるような開発
B.ミクロの再開発:
新しくタワーマンションを建設する再開発
Aについては、今で言うと築地の再開発や、高輪ゲートウェイの再開発、大阪駅前うめきたの再開発や、その他にも新しく新路線を開発するものなど、全てデベロッパーや行政が数千億円から1兆円規模の投資を行うものです。これは分かりやすく土地の価値が変わり、人流が変わり、その周辺地域の地価を押し上げます。
三井不動産と東京都肝入りで、向こう5年で最も楽しみな開発
2025年3月現在。間もなく街びらきとなる最もアツい開発の1つ。
Bについては、近隣で新築のタワーマンションが建設されるものです。
日本は強烈なコストプッシュインフレが続いており、建築費の上昇が止まりません。この環境で新規建設されるタワマンは確実に周辺の中古よりも高い原価で建設され、必然的にかなり高額な値付けで売られることになりますが、その価格を見た検討者が周辺中古タワマンに流れて価格が上昇する効果です。この威力は以下のnote の3-③に例示しているのでご覧ください。
②再開発エリアの候補
では、どんなエリアが候補になるのか?相談者さんには詳細にお話ししていますが、流石にnoteで1つ1つ取り上げると検討者が殺到して僕自身も買えなくなるので、大枠のエリアの考え方だけ示します。
「都市再生緊急整備地域」に指定された場所を見ておくと良いです。
これは簡単に言うと日本及び都市の競争力を高めるために、都市機能を強化していくことを政令で指定した地域のことで、このエリア内においては
土地利用における規制の緩和や事業許可等における手続期間の短縮
国土交通大臣の認定による特別な金融支援及び税制措置
などの恩恵を受けられます。
分かりやすく言うと、ドデカい工事をやりやすくなるエリアです。これが無いエリアで、住居地域のど真ん中に大型ビルを建てるのは実質出来ないのですが、都市再生緊急整備地域内ならデベロッパーも大きな再開発やタワマン建設を検討しやすくなります。再開発が既に検討されているものも多く、また後から開発計画が立ち上がる可能性も格段に高いです。尚、この地域であれば何でもOKなわけではなく、開発のある地域と無い地域、動きが止まっている地域などもあるので、よく調べて判断してください。
尚、B.ミクロの再開発である「新築タワーマンションの建設」は非常にマニアックな情報なのですが、以下の超高層ビル・都市開発研究所さんのサイト内、「建設中/計画中リスト」に今後の計画はほぼ網羅されており愛用しています。本当に素晴らしいサイトです。
③再開発の威力
再開発の有無と区分マンションの値動きを定量的に相関を測った公式データはありませんが、以下のDr.マンションさんの投稿の通り、全国で地価上昇率が高かった地域と都市再生緊急整備地域の分布は概ね一致します。
マンションの値動きも、開発があるエリアと無いエリアは極端に大きな差が出ますし、以前敬遠されていたエリアが開発を通して一等地になった事例はいくつもあります。これはほとんどの専門家の方(マンクラや不動産会社の方々)も同意ではないでしょうか。
東京の湾岸エリアなどはその代表例で、元は何もないエリアで住宅地として人気があったわけではないですが、開発に次ぐ開発、タワマンに次ぐタワマンで今や都内屈指の高額エリアの一角。以下はこの20年での分かりやすいBefore Afterです。次に変わっていく街を探しましょう!
Step3. 物件候補を決める
設定した予算×エリア候補での中で、買えそうな物件を決めていきます。
ここで私が常に大事にしているのは「タワマンであること」です。タワマンか否かで明らかに値動きが変わります。同じ立地・同じ時期にタワマンと非タワマンを建てたら、竣工後の値動きは原則1.5倍変わります。何故タワマンばかり値上がるのか、その理由は以下のnoteにまとめてるのでご覧ください。個人的力作です笑
厳密には板状マンションでも大きく値上がる事例は多々あるのですが、タワマンよりも更に立地に拘る必要があり、むしろ高額な予算が必要になります。タワマンは「建物価値」が圧倒的に高く、立地を少し妥協しても値上がりを期待できる、むしろ初心者向けのマンションなのです。逆説的に、お金も経験もない素人ほどタワマンの方が安心という持論です。
その前提の上で、予算×エリア×タワーで検索をかけてみましょう(Suumoでは、検索条件に「タワー」を入れることが出来ます)。そこで出てくる物件達が購入候補ですが、その中でも以下がより優先されます。
①外観がカッコよく・大規模であるほど良い
上述のnoteにある「ランドマーク性」というモノです。タワマンではデカくて目立つ物件ほど正義です。規模は目安300戸以上、出来れば500戸以上あると良いです。他の条件をほとんど同じ2つのマンションでも規模がデカいだけで坪単価が大きく変わります。大阪梅田に建つグランメゾン新梅田タワーの2棟はブランドも立地も築年数もほとんど同じ条件で、規模だけが違いますが、坪単価は27%も違います(550万vs700万円)。
他にも物件の規模別に新築時からの値上がり率を調査したデータなどもありますが、明らかに大きい方が値上がっています。とにかく、マンションは迷ったら脳死でデカい方を買いましょう。
外観デザインは感覚的な指標ですが、ご自身の感覚を優先いただきつつ、自信が無ければXで物件の名前を入れて検索しましょう。カッコいい物件は多くの人に何十回・何百回も「カッコいい」とポストされています。以下などはデカくてカッコいいマンションの好事例ばかりですね。
マンションの資産性は「曲線美」にあり!他とは明らかに違う、唯一無二性が求められていると感じる🧐
— ようすけ@不動産好きの自由人 (@pride_9924) March 15, 2025
パークコート青山
パークコート北参道
ブリリアタワー堂島
豊海タワーなど pic.twitter.com/uxK4ogDuUX
②共用部は豪華なほど良い
エントランスやEVホール、その他共用施設が豪華だったり素敵なほど良いです。出来るだけ無駄な施設が沢山ついているマンションを選んでください。これが他の無数のマンションに対する差別化になります。これも前述のnoteに書いた通りですが、買い手の理性を狂わせる要素を多数持つマンションは高く売れます。他のマンションにない共用施設は理性を飛ばすのに一役買います。ここで初心者が陥りがちな罠が「自分はそんなに共用施設使わないから無くていいや」という判断です。あなたが使わなくても他の人は使うのです。自分が住む家なので自身の生活を想像するのは大事ですが、資産価値を考えるときには自分のことは無視して、他の人(次に買ってくれる人)がどう思うかを重視してください。
東京の湾岸だと「駅から遠い代わりに共用施設や眺望に振り切りました」みたいなマンションがいくつかあります。代表例はパークタワー晴海とスカイズタワー&ガーデンなのですが、この2つは徒歩12~15分にも関わらず、2024年に湾岸エリアでもトップクラスの値上がりを記録しています(PT晴海が+45%、スカイズが+35%)。不動産の常識である駅距離至上主義・立地至上主義を覆すような現象が起こっていますが、それだけ共用部を含む建物価値がタワマンでは重要なのです。
③築年数は新しいほど良い
相場が上がる時は、同じエリアでも築年数が浅いタワマンほどきれいに値上がります。築年数が若いほど好まれるのは感覚的に当然ですが、やはり新しい物件は最新のデザインセンスを取り入れており、逆に古い物件(築15年超が感覚的には1つの目安)は良く管理されて綺麗でも、外観・内観共に「一昔前のテイスト」と感じやすくディスカウントポイントになります。
個人的には2010年築以降、出来れば2015年築以降の物件の購入を勧めます。上記のデザインテイストに加え、1番は将来売る時の築年数に影響するからです。もしあなたが築20年の物件を買って10年後に売る場合、築30年になった物件を35年ローン×高値で買ってくれるのは誰でしょう?そこの解像度に自信が無ければ築浅の方が安心です(築10年→20年は実績として価格を十分維持できています)。
尚、ランドマーク性や立地など、唯一無二でスペシャル要素が高い物件は築年数が経っていても余裕で値上がりまくります。汐留唯一無二の東京ツインパークスや秋葉原唯一無二の東京タイムズタワーなどは代表例です。
④駅から近いほど良い
当たり前すぎますが、駅から近いに越したことは無いです。強いて言うなら、再開発は駅の近くで行われるケースが多いので、再開発エリアの場合は出来るだけ駅に近い(再開発に近い)ことを重視したいです。デカい再開発のある品川エリアは残念ながら駅遠の物件だらけなのですが、品川Vタワーだけはデッキで駅直結徒歩5分。これだけ再開発に近いのはここしかなく、2003年築でも余裕で坪1000万円近くで取引されています。
(最近18億円のヤバい部屋が出ていることで大いに界隈をざわつかせました)
品川Vタワー 42-43階 2LDK 285.62平米・価格180,000万円(坪単価2,083万円)・管理費93,700円(平米328円)・2003年築・南東・南西の角住戸。「LD天井高 約5,150mm」で「当住戸のみ2層吹き抜けペントハウス」とのこと。この開口部はやばいですね。https://t.co/6b0zNbxGKp pic.twitter.com/0XJSkuStP9
— トリノミアル (@nthdistrict) March 1, 2025
⑤もし迷ったら・・・
ここまで代表的な検討ポイントを並べましたが、同じ予算内・同じエリアで比べれば物件Aは駅から遠いけど築浅・大規模・共用部豪華、物件Bは駅から近いけど小規模で築年も経ってる、などトレードオフの連続となり、何をどう決めたらいいか分からないと言う事態に基本なります。このように迷ったときに私が指標にしているのは、去年値上がり幅が大きかったマンションを優先する、です。このデータはマンションレビューというサイトで拾うことが出来ます。
https://www.mansion-review.jp/
各物件ごとに、1年間で何%値上がったかが表示されています。成約ではなく売出価格ベースで算出しているので厳密には測れないのですが、「同じデータの取り方をしている」点において、同条件(Apple to Apple)で比較できることに価値があります。例えば勝どき駅徒歩5分のドゥトゥールと、11分のザ・パークハウス晴海タワーズを比較すると、感覚的には駅近のドゥトゥールを選びたくなりますが、値上がり率は意外と変わらないと分かります。ほぼ同じエリアにつきどちらに特別有利な状況だったということも無いので、値上がり期待値としては意外に同等と評価します。このように自身の感覚を過信せずに出来るだけ数字で修正していくというアプローチが重要で、この数字の絶対値をそのまま鵜呑みにはしませんが、数字の大小は物件間の比較でかなり参考にしています。
ここで初心者が陥りやすい罠が「値上がったマンションAは割高だから、値上がりが緩くて買いやすいマンションBを選ぼう」という考えです。残念ですが、多くの場合、この後マンションAの方が更に値上がり、Bとの差が開く一方になることの方が多いです。選ばれている物件・選ばれていない物件には合理的な理由があり、何か明確な逆転イベントが無い限りBが急に加速することはなく、Aの方がむしろ加速していきます。株式投資の世界でも、好決算を出した企業の株価はガツンと値上がり、高値になった後に新規で買うのは億劫ですが、むしろ恥を忍んで高値で買い進んだ方が儲かると言われたりします。頭と尻尾はくれてやる(底値で買うことも、最高値で売ることも出来ない)というスタンスがマンションでも重要です。
尚、例外はありますし(≒不当に評価されていなかった物件価値が再発見される)、私自身その相場ギャップで儲けたこともあるのですが、この例外を見つけること自体に審美眼と経験が必要で再現性に欠けるのでお勧めしません。
Step4.部屋候補を決める
ある程度候補の物件を絞ったら、最後は部屋(専有部)を決めます。どの条件も当然、良いに越したことは無いので、どちらかというとこれを下回らないという最低条件に留意してください。
①面積を決める
今のタワマンは広ければ広いほど良いのが鉄則です。アパート投資の世界だと60㎡の部屋よりも30㎡の部屋を2つ作ったほうが賃料が高いから良いという細分化していく戦略もあったのですが、少なくとも区分マンションは広いに越したことは無いです。理由は2つあり、
1希少価値が高い:
建築費の上昇で年々マンションの単価が高くなる中で、デベロッパーは1部屋あたりの面積を削ることでユーザーの手に届きやすくしようとしています。その結果、年々広い部屋の新規供給が少なくなり、逆に広い部屋の価値が高まる現象が起きています。
2購入者の予算が上がる:
ファミリー世帯が対象になるか否かが大事です。子供のいるファミリーは物理的に面積を妥協できないので、狭い部屋を妥協して買うよりも広い部屋を頑張ってペアローンで買う傾向の方が強く、現在では70㎡や80㎡以上の部屋への需要が高いです。逆に一人暮らしが対象になる50㎡以下などは、買い手が単身世帯になるので明確に予算の上限が来やすく、同じマンション内でも面積による価格の伸びの格差は開き続けています。
以上が広い部屋が大事な理由ですが、個人的には常に60㎡以上を買うように心がけています。ここを境に単身~DINKSが対象になるかファミリーが対象になるかでエンドユーザーの予算帯が変わってくるからです。同じマンション内でも59㎡と60㎡だと売れ行きが異なります。仮説ですが、やはり十の位が5→6に上がる心理的な広さの感じ方の違いや、Suumoなどポータルサイトでの検索条件の引っかかりやすさの違い、そして60以上ならファミリーでも子供が小さければ住める一方で60を切るとちょっと苦しくなるという境目なのかなと考えています。
以下は比較的最近見た1つの事例です。グランドシティタワー月島の同じ眺望の南向き2LDKが7部屋同時に先着順販売される中で、50㎡台の4部屋はまだ売れてないのに60㎡台の部屋は2/3部屋が申込済になっていました。単価は同じで、むしろ低層フロアにも関わらず60㎡以上からやはり売れていくんだなとしみじみ再認識したものです。
低層にも関わらず右下の方から売れていきました。
②間取りを決める
間取りについては、他の要素ほど価格への影響度は多くないのですが、留意するのは以下だけです。
・4LDK>3LDK>2LDK>>>>>>1LDK
1LDKは明確に止めた方が良く、クリティカルなディスカウントを食らう可能性が高いです。一方、2LDKか3LDKか迷ったときに、2LDKだからと言って大幅に変わるほどではないので、必要十分な面積が担保されていれば好みでどちらでもいいと思います。(3LDKの方がベターなのは間違いないです)
1LDKと2LDKの超えられない壁も基本的にはファミリーが対象になるか否かの違いと考えます。どんなに広い部屋でも1LDKをファミリーで使うのは厳しいですね。2LDKなら子供部屋と両親の寝室を分けられるのでセーフなラインになります。同じマンションの中でも1LDKは中々価格が上がらず、2LDKや3LDKから売れていきます。例えば武蔵小杉で出ている以下の最上階王様部屋などは、なんと坪600万を切っており条件的には絶対悪くないはずなのですが元々4LDKを1LDKに魔改造しているせいで、ファミリー特化の街武蔵小杉で出口が狭くなり、いつまで経っても売れていません笑(勿体ない)
尚、嫌う人が多い3LDKオールリビングイン(3つの洋室がリビングに直結している)は意外に単価に影響を与えません。僕自身、住むならまず買いませんが投資で買う場合はリビングインも気にせず買っていきます。また、タワマンにおける角部屋の付加価値は高い(眺望が広くなり間取りも良くなる)ので適正価格で買える場合は強くお勧めします。
③眺望を決める
タワーマンションの武器は眺望です。前述の通り買い手の理性を飛ばせるかが勝負なので、出来るだけ眺望には拘りましょう。
1大幅加点要素:シンボルが見える
以下のような目立つものが見えると大幅加点になります。
東京タワー>>>レインボーブリッジ>>スカイツリー≧富士山≧海など
特に東京タワーが見えるマンションは非常に限られており、中古流通価格も跳ね上がります。2021年の東京カンテイの調査では、東京タワーが見える部屋は、見えない部屋に対し10~25%程度坪単価のプレミアムが乗るとのことでした(感覚では最近はもっとですね)。買える範囲の物件比較で迷ったら、特色のある眺望があるマンションを買うと手堅いです。
2加点要素:階数が高い / 眺望が遠くまで抜けている
シンボル的なモノが見えなくても、タワマンならではの遠くまで抜ける気持ちい眺望があれば及第点です。ちなみに、階数が低くても目の前に遮るものが少なく眺望が抜けていれば購入しても全く問題ないです。
3減点要素:壁ドン部屋
タワマンにも関わらず目の前(目安30m以内)に別のビルが被っていて眺望が見えないなどがあると大きく減点要素になります。素敵な生活を想像しながら買いに来る内見者を一気に冷静にさせるポイントです。その分価格が物凄く抑えられていれば別ですが、基本は避けましょう。
まとめると、タワマンなら出来るだけ分かりやすいシンボルの見える部屋が欲しい。基本は眺望の抜ける部屋を選びたい。予算的に届かないなら最低限壁ドン部屋は避けつつ、低層でもある程度先(目安50~100m程度)まで見える部屋を価格が抑えられていれば買ってOKと考えています。
※尚、住戸の方角はほぼ資産価値に関係ありません。世間一般では南向きが人気で北向きが不人気(採光の問題)と言われますがタワマンではほとんど関係ないです。タワマンは北向きでも他の建造物に反射した日光が入りまくるので関係ないですし、むしろ南向きや西向きはちょっと暑いくらいですね。
Step5.物件の買い方
上記の流れ(予算→場所→物件→部屋)で大体買うべき候補は絞ることが出来ます。その上で後はどのように買うかのポイントを簡単に記載します。
①相場感覚を養う
ある程度物件の候補まで絞れたら、その物件や周辺の相場感覚を養うことが大事です。相場感覚とは、この物件のこの部屋なら大体この程度の価格で売れる、売れないな、という判断センスのことです。相場感覚が無いとうっかり割高部屋を掴んでしまったり、逆に買い進むべき物件を臆して買えないと言ったことが起こるためです。では、「相場感覚」はどのように養うのでしょうか。
ポータルサイトを毎日徘徊する
これが地道ながら一番の近道であり、毎日の筋トレみたいなものです。
エリアや物件候補を決めたらそれをポータルサイトの検索条件に落とし込みます。(エリア、駅、徒歩、築年数、㎡数、タワー or 非タワーなど)
その検索結果を毎日リロードして、数十件、数百件眺めるだけでも少しずつ分かります。次に、気になった物件があればお気に入りに入れていき、その物件がどのくらいの期間で消えるか(≒売れるか)を見ます。気に入った物件なのにずっと売れ残ってる or やはりすぐに消えたなどの経験を繰り返していくと相場と自分の感覚が一致していきます。
尚、Xにいるマンションクラスタという人達は自分が買う時でも買わないときでも365日ポータルを徘徊している変態の集まりで、得意なエリアであれば物件名・面積・階数・向きを聞けば1秒でほぼ誤差なく現在の目安の価格を言うことが出来ます。これが磨き上げられた相場感覚です。
1つ、初心者向けにお勧めのツールを紹介すると、アットホームは良いです。これは各物件を何人がお気に入り登録をしているかを見ることが出来るのが素晴らしいです。通常は0~5の♡くらいですが、見た瞬間に「あーこれは安いな」と感じるような物件は20とか30くらい♡が付いています。最初の内はこの♡の数を見るだけでも、どれが安いと思われているのかは分かるようになります。
アットホームの面白いのは他の人がお気に入りした数が分かること。割安物件に付く♡の数は他物件と一線を画す。
— マンション好きの外資コンサル (@escapejapan2023) September 27, 2023
普通は大体0〜2つくらいで、良くて5つくらい。でも先日の例のドゥトゥールとかだと出て2日で10以上の♡が付く。相場感に自信がないうちはこれを見てるだけでも感覚が養われます。 pic.twitter.com/pldoLwzmNB
②割安部屋に拘らない(早押し競争をしない)
個人的にはこれを強く主張したいです。資産価値の高いタワーマンションを狙う場合において、最近は割安部屋を買おうとしていると全然買えません。2023年頃まではこの勝負も有効でしたし、何より私自身がそういった競争に身を投じて相場-10~20%の物件を4部屋ほど中古で買った経験があるのですが、タワマン人気の過熱に従って2024年から段々厳しくなり、2025年現在は素人にはほぼ無理です。
割安物件の旨味も減っており、以前は2割の値付けミスとかありましたが今は良くて1割程度ですし、1割安いだけでも大量の買取再販業者とセミプロアマチュアが殺到してくる時代です。1割の安さに拘って買い逃しまくるよりも相場価格で早く買った方が金銭的に得をすると考えます。私は熾烈な競争の果て、2023年冬に今の自宅を相場価格より大幅に安く買うことに成功しました。自宅は1年4か月経って購入時より68%値上がっています。この68%の含み益を分解すると、購入時の割安さ16%+相場上昇52%になります。同じ時期に同じマンションを相場価格で普通に買った人たちも+52%得してます。つまり、割安に拘らなくても、ここまで書いたような要素を満たす高資産価値の物件であればインフレ環境においてバッチリ値上がります。
Xでは割安部屋を買うテクニックで盛り上がることもあり、不動産仲介会社のHPを見ろ、Suumoは1日4回チェック、Suumoよりもアットホーム、アプリよりブラウザ、、、など僕もかつてやっていた戦術が紹介はされているのですが、やれば分かりますがマンションオタクじゃないと激しく苦痛ですし、今は正直そこまでやる旨味がないと思います。競争の激しくない普通の板状マンションや戸建てならやる価値あると思いますが、人気タワマンでこれやってると全然買えなくて死にます。そもそも割安物件が出なかったり、上手く1番手で申込んでも現金買いにすぐひっくり返されたり、買い上がり(値上げしてでも買いたい人の登場)があったり、売り止めになったりと、自分でコントロールできない事象が多すぎて1割の利ザヤのための時間コストや買えないリスクが釣り合いません。訓練されてるはずのマンクラでも人気の築浅大規模タワーで超割安中古をつかめたという人はこの1年見ていません。見たのは水面下でのアンダー販売や竣工前転売物件など普通ではない売り方のものだけですね。Xで成功談を紹介してくださってる方々も、2年以上前の経験だったりして、今は無理になってる場合もあります。
まとめると、多くの皆さんには、
A:先述のポイントを満たした良質な物件を
B:相場価格で普通に買う
が最も再現性があり、これで十分です(とは言えモタモタするのは禁物ですが)。上記のAが担保できていることの方が遥かに重要です。素人でも割安で買える物件は競争率が低くてそもそもAを担保できていない物件のことが大半です。
私が過去にアドバイスした方々で、割安さに拘っていつまでも買い逃してる人が沢山いて危機感を覚えたので警鐘を鳴らします。大体、相場価格の物件に見向きもしていなかったり、相場価格の物件に指値しまくっていたり、新築の高倍率部屋に突っ込みまくっていたりというケースでしたね。投資は「頭と尻尾はくれてやれ」です。
③人にアドバイスを求めるとき
ここまでの情報があれば自力でも買えるようになるはずですが、デカい買い物で不安だから詳しい人に相談したいというニーズはあると思います。
その際に絶対に気を付けていただきたいのは、
「貴方と同じ予算で買っている人に相談する」
あくまで現在進行形で同じリスクマネーを張っている人じゃないとダメです。自分事として同じ投資判断の経験があるかどうかが解像度を劇的に分けます。特に取引の性質上、不動産仲介会社の人に相談する機会が多くなると思いますが、現在の相場高騰に自身の金と与信で付いて行けている人は実は非常に限られていますし(大手仲介の部長でようやく年収1500万円程度です)、とにかく何でも良いから貴方に買ってもらえれば勝ちのビジネスモデルです。予算1億の人が2億の物件の購入判断の相談に乗っている、などのケースを多々見るようになり、話を聞くと頓珍漢なことを想像でアドバイスしてることも多いです。
これなー。買ってない人、買えない人の意見に意味は無い。
— マンション好きの外資コンサル (@escapejapan2023) January 2, 2025
尚、買えない人の「買った方がいい」と言う助言も無意味と思います。
最近、マンションに「詳しそうな人」が増えて、予算1億の人が2億のマンションの相談に乗ってたりするんですが、貴方2億の投資判断リアルにしたことないでしょ、と。 https://t.co/dR3nqyiFX9 pic.twitter.com/mn1zfkgu7X
私自身も人の相談に乗っていますが、あくまで専門は東京と大阪の1億~3億のタワマンです。そこは自分でも買ったことがあり、買うことが出来、リアルに今現在もヒリヒリと冷や汗をかきながら、損する可能性も踏まえて投資判断をしているので、自分が同じ状況ならどうするか?を語れますが、それ以外の物件は経験が無いのでアドバイスできません。3.5億を超える物件については解像度が浅くなるのを自分自身で感じるので、予算5億で買ってる投資家の意見を募りますし、8000万円未満なら相談に乗れませんと断ることもあります。これはマンションマニアさんも同じスタンスだったかと思い、共感しています。
「マンションのアドバイスをします!」という人は増えているのですが、「詳しそうに見える人」に相談するのではなく、相談する際にはどんな価格のどんな物件を買った経験があるのか、今は何を買おうとしているのかを聞いてから相談しましょう。
※尚、これも例外は多くいらっしゃるので、自分で買えない・買ってない人はダメだと全員断じるわけではないですが、実力以上のことを吹かしたり、浅い知識で騙してくる有象無象も激増して危機感を感じているので、一般的な傾向としてはその目線で見ておいた方がハズレが無いです。
④長く住みたいと思える家を買いましょう
最後に、「資産価値」の話とは一見相反する話をしますが、迷ったら自分が長く住みたいと思える部屋を買うことが資産形成のリスクヘッジにおいても超大事です。共用部のところで述べた「資産価値を考えるときには自分のことは無視」と矛盾することを言ってすみません。理由は2つです。
値上がるか / 値下がらないかは誰にも分からない
インフレ相場が続く前提においては、この記事で述べたポイントを押さえて買えば基本は負けないはずですが、市況が今後どうなるかは神のみぞ知るです。人類史はインフレの歴史ですし、今後の不動産二極化トレンドなども踏まえると好立地のタワーが暴落したまま戻らないような事態はあまり考えていないですが、絶対に値下がらないと断言できるものではないですし、期待リターンの裏には常に背負うリスクがあります。
住居としては気に入っていないけど金目当てで買いました、みたいなマンションがもし値下がったりしたら、自分を許せなくなりますよね。あくまで自宅なので、最悪値下がっても住んでいればいいやと思えること自体が最大のリスクヘッジになります。下落相場を5年耐えることは想定するべき
暴落したまま戻らないことは考えていませんが、最長5年程度の下落期間を耐えるシナリオは常に想定しています。今後のマンション価格が下がるシナリオの大本命はグローバル金融危機の発生だと考えています。いつ、どんなマグニチュードで起こるのかは分かりませんが、過去事例はリーマンショックが参考になります。下記をご覧いただければ分かる通り、当時は23区のマンション価格は最高値から15%下落し、回復に5年かかりました。
つまり、過去を参考にすれば購入した後のどこかのタイミングで5年は売り辛い時期が来るというダウンサイドシナリオを想定し、逆に不況を5年住んで耐え抜くという選択肢を持っておけば大きなリスクヘッジになります。その際、交通アクセスや広さなどで自分が長くは住めないと感じる部屋を無理して買うと、下落局面で手放さなければいけなくなり損をする可能性が高まります。特に部屋面積は長期保有でクリティカルですね。小さい子供が1人なら下限は60は欲しいですし、2人なら70が下限。大きい子供なら1人でも70は欲しいところです。
以上の2つの理由から、長く住みたいと思える部屋を買うことが資産形成のリスクヘッジにおいて超大事と断言できます。市況リスクが顕在化した局面で「住んでやり過ごす」ことが出来るのは自宅投資の最強の武器です。もし物件選びの最後に悩んだらこのポイントで選ぶと後悔が少ないです。
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今後の市況見通し、投資価値的に買いの物件の選定、買替戦略、住宅ローン・投資ローンの考え方、利確した金融資産の運用方法などが代表的な相談ですね。Xで話すとアウト or 自分が不利になるので言えない情報などもクローズドな場なので一応話せます。累計約140人のご相談と15人のご相談待ちがあるので、お返事・日程調整が遅くなる場合がありますがご容赦ください。
ご依頼が多くて大変なこともありますが、役に立ててる実感があるのと、まだサステナブルに出来ているので、しばらくはこのまま続けるつもりです!




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