MAMOR 最新号

4月号

定価:780円(税込)

 指揮官を補佐する「幕僚」。その幕僚教育を行う、陸上自衛隊教育訓練研究本部、海上自衛隊術科学校、航空自衛隊幹部学校の現場の空気を知るために、それぞれの教官と学生に、どのように指導しているか、また、どのような点に留意しているのか、コメントをもらった。

陸上自衛隊教育訓練研究本部

作戦全体をふかんして計画する、上の視座を持った幕僚を育成

 目黒駐屯地にある陸上自衛隊教育訓練研究本部は、2018年に組織改編され、将来の指揮官や高級幕僚を輩出するための育成を行っている。

「学生には、紛争国出身の留学生もいますが、彼らの姿勢にすごみを感じます」と話す鵜川優一郎2等陸佐

教官「指揮幕僚課程で学ぶ学生には、作戦の全体像をふかんする力や未来予測、洞察力が求められます。任務の達成だけでなく、その後に部隊やその周囲の状況がどうなるかを見据えて、計画を設計する必要があります」

「社会が自衛隊をどう見ているかも、状況判断には必要な情報です」と話す重丸太一1等陸尉

学生「教育中に留意しているのは、自己の意見を論理的に説明することと、自分と違う意見や視点を吸収することです。指揮官の関心事項を敏感に察知し、担当部門では120パーセントの補佐ができる幕僚を目指したい」

海上自衛隊第1術科学校

専門知識・技能を身に付けながら、「論理的思考力」を養う

 海上自衛隊の第1術科学校は、隊員に必要な知識と技能を習得させるための専門教育を行うかたわら、中級幹部としての教育も実施している。

「世界の安全保障情勢を知るために、意識して新聞や書籍などを数多く読む」という前田龍志3等海佐

教官「中堅幹部としての幕僚教育では、自己の職域に関する、より専門的な知識を習得させるとともに、客観的に状況を分析し、現実的な解決策を導き出す『論理的思考力』を身に付けることが重要になります」

「さまざまな専門分野を学んだ同期がいるため、広い視野で意見交換できます。」という須々木宏介1等海尉

学生「幹部中級課程の教育中は、第1術科学校長の『術科のプロであれ、周到な準備を行え、正しく伝えよ』という言葉から、自分に足らないもの、習得しなければならないものが何であるのか見えてきました」

航空自衛隊幹部学校

それまで培った知識・技能をもとに、自ら考えて気概を見せる

 航空自衛隊幹部学校は、幹部自衛官に対し、安全保障や防衛戦略などの幕僚に関する教育を行う教育機関。防衛省目黒地区(東京都)に所在している。

谷口弘尚2等空佐は「不測の事態に備えるため、想像力や考える力を養成していくことが重要」と語る

教官「幹部学生は自分の頭で考えることがとても大切です。幹部普通課程の学生はすでに各職種のスペシャリストですから、ここではそれをもとにどう考えるか、実際にどう使っていくのかを徹底的に学ばせます」

「目標とする司令官は加藤隼戦闘隊の加藤建夫隊長や栗林忠道大将」と話す坂下広剛1等空尉

学生「教育中に印象に残っている言葉は『指揮官先頭の気概』。指揮官が率先垂範することで、命令は元より、心で部下が動くようにしたい。そのため失敗を恐れず、臆せずに意見を述べることが重要だと思っています」

<文/古里学 写真提供/防衛省>

(MAMOR2022年3月号)

勝つために幕僚がいる!

画像: 出典:国民保護ポータルサイト(https://www.kokuminhogo.go.jp/kunren/hinan/30-02H300610m-gunma.html)

出典:国民保護ポータルサイト(https://www.kokuminhogo.go.jp/kunren/hinan/30-02H300610m-gunma.html

 弾道ミサイル攻撃などを想定した、日本に対する武力攻撃に対して、国民の安全を守るための法律が制定されている。その法律に基づいて、国や地方自治体が国民の避難に関する訓練や避難施設の指定など、さまざまな有事対策を講じている。それを知っておくことも、いざというときに自分や家族の身を救うのに役立つだろう。

国や地方自治体などには国民の生命を守る義務がある

 他国から武力攻撃などが行われた際、国民の生命や財産などを保護し、国民生活などに及ぼす影響が最小になるようにするための措置を規定した法律「国民保護法」があるのをご存じだろうか。

「住民の避難に関する措置」、「避難住民等の救援に関する措置」、「武力攻撃災害への対処に関する措置」の3本柱で成り立っており、国や地方自治体などの責務と役割分担が決められている。

 また、政府が定める国民の保護に関する基本指針に基づき、地方公共団体や指定行政機関は「国民保護計画」を作成している。上記の3つの措置を行うための実施体制などを定めたもので、住民の避難や救援などに関する事項、平素において備えておくべき物資や訓練などに関する事項も決められている。

住民の避難を想定した国民参加訓練が行われている

画像: 2017年7月に富山県高岡市で行われた「弾道ミサイルを想定した住民避難訓練」で、警察官の誘導のもと、地下街へと避難する住民

2017年7月に富山県高岡市で行われた「弾道ミサイルを想定した住民避難訓練」で、警察官の誘導のもと、地下街へと避難する住民

 国民保護法に基づき、国と地方公共団体が共同して行う国民参加の「国民保護共同訓練」が行われている。2021年度は述べ20府県で実動・図上訓練(注)が2回、図上訓練が16回実施された。実動訓練では、都道府県や市町村の区域を越える広域的な避難などの国民保護に関する訓練が行われた。

 そのほか、「弾道ミサイルを想定した住民避難訓練」も、17年3月に秋田県男鹿市で初実施されてから21年度末までに、45都道府県182市区町村で、489回実施されている。

注:地図などを使って状況判断などのシミュレーションを行う訓練

弾道ミサイル攻撃などを知らせるのがJアラート

「Jアラート」は、弾道ミサイル攻撃に関する情報や緊急地震速報、津波警報、気象警報などの緊急情報を、人工衛星と地上回線を通じて全国の都道府県、市町村などに送信し、市町村防災行政無線などを自動起動することで、人手を介さず警報音によって瞬時に住民に伝達するシステムだ。

 国民保護に関する情報は内閣官房から、防災気象情報は気象庁から発せられる。現在は、国から携帯電話会社に配信したJアラート情報を個々の携帯電話利用者にEメールで伝達するルートも整備されている。

これが警報音だ!

いざというときに冷静に判断できるように前もって国民保護ポータルサイトの視聴ページで警報音を聞いておこう! これが鳴ったら弾道ミサイルなどか飛んでくる知らせだ。

※混乱を生じる恐れがあるため、周りに人がいるときは急にサイレンを鳴らさないでください

避難施設は「国民保護ポータルサイト」から確認を

画像: 内閣官房が開設している「国民保護ポータルサイト」には、弾道ミサイル落下時の行動なども示されているので、見ておこう

内閣官房が開設している「国民保護ポータルサイト」には、弾道ミサイル落下時の行動なども示されているので、見ておこう

 国民保護法において、都道府県知事は住民を避難させ、または避難住民などの救援を行うため、政令で定める基準を満たす施設を避難施設として指定しなければならない。

「国民保護ポータルサイト」の「避難施設」の項目を見ると、21年4月1日現在、全国に9万4125カ所の避難施設が指定されているが、そのうち弾道ミサイルの爆風などから直接の被害を軽減する効果がより高い一時的な避難に活用できるコンクリート造りなどの施設は5万1994カ所、さらにそのうち地下施設は1278カ所ある。

一時的な避難先としての地下施設例

 46都道府県にある187カ所の地下施設を以下にまとめた。紹介できなかったほかの施設も多いので、気になる方は国民保護ポータルサイト「避難施設」一覧表(https://www.kokuminhogo.go.jp/hinan/index.html)より確認されたい。

画像: (出典/国民保護ポータルサイト)

(出典/国民保護ポータルサイト)

(MAMOR2022年9月号)

<文/古里学>

災害・有事を生き残る自衛隊サバイバル術

※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

 小銃は、入隊した陸上自衛官1人に1丁が貸与されるミニマムな火器の1つ。

 防衛装備品がどれだけ進化しても、最後に国土と国民を守るのは近接戦闘といわれている。そのときに威力を発揮する小銃の最新モデルが2020年に登場し、高性能ぶりが話題に。そこで、これまでの小銃の歴史にも触れて小銃を特集した。

 戦略アナリスト・かのよしのり氏に監修をいただき、本記事では自衛隊発足以降に使われた小銃と、小銃の未来を紹介する。

1930年ころ〜 自動式

 引き金をひく度に弾丸が発射され、同時に次の弾丸の装てんなどが行われる自動式。世界の小銃の主流になっている仕組みだ。

自衛隊制式採用 1950〜70年ころ:M1カービン(アメリカ)

画像: 自衛隊制式採用 1950〜70年ころ:M1カービン(アメリカ)

<SPEC>全長:約900mm 口径:7.62mm 重量:約2.6kg

 1950年の警察予備隊発足から自衛隊の創早期に使われていたアメリカ軍供与の小銃。比較的小型で日本人の体格にもマッチしていた。

画像: M1カービンの弾倉。15発入りで、この弾倉の中に7.62ミリの弾丸を入れて装てんをする

M1カービンの弾倉。15発入りで、この弾倉の中に7.62ミリの弾丸を入れて装てんをする

自衛隊制式採用 1964年:64式7.62mm小銃(日本)

画像: 自衛隊制式採用 1964年:64式7.62mm小銃(日本)

<SPEC>全長:約990mm 口径:7.62mm 重量:約4.3kg 発射速度:最大約500発/分

 日本人の体格に合わせて1960年ころから開発された、戦後初の国産自動小銃。現在も海・空両自衛隊を中心に配備されている。

自衛隊制式採用 1989年:89式5.56mm小銃(日本)

画像: 自衛隊制式採用 1989年:89式5.56mm小銃(日本)

<SPEC>全長:約920mm 口径:5.56mm 重量:約3.5kg 発射速度:最大約850発/分

 弾丸が5.56ミリに小口径化された国産自動小銃。引き金をひくと3発発射される3点制限射(3点バースト)機能が付加されている。

折り曲げ式の89式小銃

画像1: 折り曲げ式の89式小銃

戦車などの車両乗員などが使用する銃床を折り曲げると全長670ミリメートルまで小さくなる89式小銃。銃床を折り畳んだ状態でも射撃が可能だ。

画像2: 折り曲げ式の89式小銃

 自動式は、薬きょう内の火薬が爆発した際に生じるガスの圧力を利用し、排きょうや次弾の装てんを自動的に行う仕組み。

 装てんのみ自動で、引き金をひく度に弾丸が発射される「半自動小銃」(セミオートマチック)と、機関銃のように引き金をひけば連続で発射される「自動小銃」(フルオートマチック)がある。

 1880年代には開発が始まっていたが、本格的な普及は1930年代で、今もなお軍用小銃の主力となっている仕組みだ。

20XX年〜 電気式

レールガン(日本)

画像: 2023年10月17日、海上自衛隊の試験艦『あすか』にレールガンを搭載し、世界初となる洋上での射撃試験が行われた 写真提供/防衛装備庁

2023年10月17日、海上自衛隊の試験艦『あすか』にレールガンを搭載し、世界初となる洋上での射撃試験が行われた 写真提供/防衛装備庁

 防衛省は約10年前から電気の力で弾丸を発射する『レールガン』の研究に本格的に着手。2023年に世界初の洋上試射まで到達しているのだ。

電気で極超音速弾を発射。火薬を使わない未来装備

レールガンに電流を流すと砲身レールに磁界が発生。これにより発生した電磁力を利用して電気エネルギーで弾丸を発射する仕組みだ

 レールガンの原動力は、火薬ではなく電気エネルギー。その仕組みは、電気を通しやすい素材で作ったレールの間に弾丸を置き、電流で磁界を発生させ、磁界のなかで電気を流すと発生する力で弾丸を発射する。

 これは中学校の理科で習う「フレミングの左手の法則」が元で、モーターや発電機など身近に使われる技術が基礎になっている。

画像: レールガンの弾丸。左の銀色に光る部分は電気が通る「電機子」で、中央にある黄色のロケット状の部分が弾丸の本体「飛しょう体」だ 写真提供/防衛装備庁

レールガンの弾丸。左の銀色に光る部分は電気が通る「電機子」で、中央にある黄色のロケット状の部分が弾丸の本体「飛しょう体」だ 写真提供/防衛装備庁

 レールガンの利点は、火薬を使う砲よりもさらに高速で弾を撃ち出せること。これにより弾の威力は増し、射程が伸び、目標到達までの時間が短くなり、命中率の向上が見込めるという。さらに極超音速で飛ぶため、探知・迎撃されにくく、発射に火薬を使わないので安全性も高い。

 防衛省では2022年度より早期実用化へ向けた各種試験が進行中で、装備品化を目指している。

写真/本人提供

【戦略アナリスト かのよしのり氏】
1950年生まれ。戦略アナリスト。著作に『銃大全』(SBクリエイティブ刊)など

(MAMOR2024年6月号)

<文/臼井総理 撮影(特記を除く)/山川修一(扶桑社) イラスト/ナーブエイト>

自衛隊の小銃がすごい!

※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

 日本の空を守るためには、さまざまな分野で活動する専門家や技術者が必要だ。

 全国には4万人以上の航空自衛官が約60種の職種に分かれて活躍している。

 その中から主な21の職種を選び、それぞれを担当する隊員たちの声を聞いた。今回は後半の11つの職種を紹介する。

⇒前編はこちら

通信:無線通信からデータ通信、情報システムのサイバー防護も行う

画像: 通信:無線通信からデータ通信、情報システムのサイバー防護も行う

【宮田容平空曹長】
土佐清水通信隊総括班・サイバー運用係長。約30年通信員として勤務後、「サイバー運用員」に転換した

「データ通信、無線通信を用いて全国の基地・分屯基地との情報伝送や器材の整備・管理を担います。私の任務は、空自の運用する情報システムへのサイバー攻撃などの未然防止、攻撃を受けた場合の対処を行っています」

武装:戦闘機に搭載する武器や弾薬などの整備を一手に担う

【河野陸玖空士長】
第5航空団装備隊武器小隊所属。武装の任務のほか、小隊員の休暇・代休の管理など庶務業務も行う

画像: 戦闘機にミサイルを搭載する隊員ら。危険物の取り扱いに関する資格をもつ隊員も

戦闘機にミサイルを搭載する隊員ら。危険物の取り扱いに関する資格をもつ隊員も

「戦闘機に搭載する武器弾薬やレーダーなどの整備を行う職種です。武器や弾薬を扱うため常に危険と隣り合わせの仕事ですが、防空任務を直接行うパイロットに対して、間近で支援できることに大きなやりがいを感じます」

航空機整備:空自が運用する航空機や搭載機器などの整備を行う

【井出理奈空士長】
飛行教育航空隊整備隊・救命装備品整備係。パイロットのヘルメット、救命胴衣などの整備を担当

画像: エンジン整備を行う隊員。整備項目は多岐にわたり、高度な知識が必要だ

エンジン整備を行う隊員。整備項目は多岐にわたり、高度な知識が必要だ

「航空機の機体やエンジン、搭載する各種装置の整備に関する業務を行う航空機整備。中でも私の担当する救命装備品整備は直接パイロットが身に着け、いざというときに命を守る重要な装備品なので、責任の重い仕事です」

施設:基地の滑走路や建物の維持補修、電気、ボイラーの管理も行う

【青山右京3等空曹】
第15警戒隊・基地業務小隊施設班所属。土木建築係員として基地の建物および工作物の維持補修を担当

画像: 重機を操縦する青山3曹。職務に必要な資格・免許は入隊後にも取得できる

重機を操縦する青山3曹。職務に必要な資格・免許は入隊後にも取得できる

「施設は、基地のインフラの骨幹を維持する大切な任務です。重機などの操作に加え、建材も扱うので体力も使う仕事ですが、手がけたものが形になり、何年も残ります。作業中の充実感や終えた後の達成感はほかでは味わえません」

輸送:貨物搭載などの空港業務も担当。人や貨物の運び手

【梶原瑠要空士長】
第5航空団基地業務群管理隊輸送小隊員。約6年高射操作員として勤務後退職、一般企業を経て再入隊

画像: 航空機に荷物を積み込む梶原空士長。技能向上を図り自己研さんを行うことも

航空機に荷物を積み込む梶原空士長。技能向上を図り自己研さんを行うことも

「人員・装備品などの輸送や、輸送機に搭載する貨物の準備、物品などの輸送手配などが主な任務です。無事故で任務を達成したときが最も達成感を感じる瞬間です。さまざまな車両を運転するので車好きにはピッタリです」

会計:使用する物品の購入や給与、出張旅費の計算・出納をおこなう

【横山竜也3等空曹】
第5航空団基地業務群会計隊旅費係。隊員の出張や転勤に伴う旅費の計算や支払いを担当する

「物品の購入や隊員の給与、出張旅費などの計算や出納にまつわる業務を担当します。自衛隊の予算を取り扱う、非常に責任の伴う仕事ですが、相談を受けた際に『ありがとう』と声を掛けてもらったときが一番うれしいですね」

警備:基地を警備し、施設と物品、そして隊員の安全を守る

【田所清伸2等空曹】
航空気象群基地業務隊・管理小隊警備班所属。武器係として基地で保有する警備火器の維持管理を行う

基地警備の訓練を行う田所2曹。装甲車を盾に銃を構えて射撃体勢をとる

「来訪者の受け付けをはじめ、基地の警備を担当します。空自の中でも小銃や拳銃、機関銃などの警備火器のスペシャリストでなければなりません。射撃はもちろん、格闘訓練も欠かせません。安全に訓練を終えたときにはホッとします」

救難:航空機に搭乗し、遭難者の捜索・救助・救急処置を行う

【新藤翔也3等空曹】
新田原救難隊飛行班員。航空機による捜索救助活動、離島地域における救急患者の輸送を担う

ヘリからホイストで降下する新藤3曹。救助を行うため、日夜訓練を行っている

「いついかなる状況にも対応できるよう日々訓練を積んでいます。任務は幅広く、空からの捜索はもちろん、山や海にも展開し、雨の日も雪の日も遭難者救助にあたります。過酷な任務ですが、人の命を救うという、大切な仕事です」

補給:使用する物品の取得から、保管、管理、配分などを担う

【池田蓮空士長】
第5航空団補給隊器材小隊所属。廃品の出納管理業務を担当。不用物品の管理や処分を行っている

フォークリフトで補給物資の搬入を行う池田空士長。常に整理整頓を心掛けている

「裏方ではありますが、航空機を運用・整備する上で重要な職種です。必要な部品を素早く供給できるようきちんと保管・管理し、在庫がない場合には他基地と連携して入手するなど、物品の取得から保管、処分までを担います」

音楽:演奏で隊員の士気高揚を図るほか、各種式典での演奏を行う

【無安波里州3等空曹】
航空中央音楽隊演奏班・サックス担当。空自入隊前は北九州市消防音楽隊に所属していたことも

「演奏を通じて士気高揚を図るほか、国家行事、儀式・式典などでの演奏、さらには広報活動や災害派遣に伴う慰問演奏などを行います。聴衆の方々から『感動しました!』との声をいただいたときには、こちらも感動します」

衛生:隊員の健康管理、衛生環境を担い、隊員の病気・けがに対処する

【永妻美子2等空曹】
第7警戒隊・総括班衛生係。看護師資格を保有して入隊。高尾山分屯基地(島根県)に勤務する

担架で負傷者を運ぶ訓練を行う隊員ら。その後は迅速に負傷者の処置を行う

「隊員が培った能力をいつでもフルに発揮できるよう、心身の健康維持のために活動しています。病気・けがの予防、健康診断の実施、不測の事態に備えた救護訓練などを行っています。災害派遣でも活動機会が多い職種です」

まだまだある、航空自衛隊のさまざまな職種

法務:航空自衛隊の活動に関する損害賠償や民事裁判などの訴訟業務を担当するほか、各種作戦における法制面を担う

語学:外国軍との共同訓練や国際活動などで翻訳や通訳を行う

情報:外国の航空機やミサイルなどに関する情報収集や分析を行う

工作:航空機の塗装や部品の溶接、道具の製作、部品修理などを行う

給養:食事を作り隊員に提供するほか、献立の作成、食材の準備・管理、喫食者の集計、厨房の衛生管理なども行う

印刷製図:部隊で使用する教材製作のほか、広報などで使用する写真撮影、映像や写真の加工・編集などを行う

総務:部隊の行動に関する公文書の作成や保管、部内行事の運営など庶務に関する業務を行う

人事:自衛官の昇給や昇進に関する業務や人事異動、表彰や懲戒処分などに関する業務を担う

厚生:隊員の福利厚生や各種保険に関する業務のほか、宿舎の管理、基地内で営業する業者の対応も担当する

教育訓練:航空自衛官としての基本教育の訓練指導や服務指導など、入隊者に対して教育を行う

(MAMOR2024年7月号)

<文/臼井総理 写真提供/防衛省>

ありがとう、航空自衛隊!

※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

 400人余りの日本代表選手が出場し、世界中を熱く盛り上げた2024年パリオリンピック。自衛隊体育学校に所属する7人の自衛官アスリートもそれぞれの活躍を見せてくれた。

 今回は、見事銀メダルを獲得した柔道女子70㎏級・混合団体・新添左季2等陸尉に凱旋報告をしてもらった。

【新添左季2等陸尉】
1996年、奈良県出身。両親、兄、弟の5人家族。バラエティーやドラマ、アニメを見るのが好き。好きな食べ物は揚げ物全般

課題だった寝技を特訓し、コーチと臨んだオリンピック

 観客からの大きな期待と歓声を受け、仲間とつかんだ柔道混合団体銀メダル。代表選手として出場するまでの道のりは決して順調なものではなかった。

「コロナ禍に入る前くらいから海外であまり勝てなくなってきて。自分の戦い方をいろいろ直さないといけないと思いました」

 新添2尉の得意技は内股。一方、課題となっていたのは、これまであまり極めてこなかった寝技であった。全日本柔道連盟から強化選手として選ばれる実力を持ちながらも結果が出ない状況が続くなか、新型コロナウイルスが流行して軒並み試合が中止に。

 自分の技を磨く時間が増えたことで、寝技の強化を始めたという。練習メニューは、コーチの池田3佐に自分の状態を客観的に分析してもらい、相談しながら組んだ。

 また、オリンピックでの優勝経験もある体育学校の柔道選手、濵田尚里1等陸尉に直接寝技を教えてもらうこともあったという。寝技のほかにも、得意の投げ技につなげるための組み手も池田3佐にアドバイスをもらいながら練習を重ねた。

「出稽古ではバスを出してもらったり、暑い夏は基礎体力強化のためにプールを使わせてもらったりしていました。監督やコーチは客観的に見て意見をくれて、でも押し付けるのではなく提案してくれる優しい人たち。おかげで練習に専念できました」

趣味の漫画とアニメの言葉を励みに

画像: 柔道混合団体の準々決勝にて、セルビア選手相手に豪快な内股で一本を取った新添2尉 代表撮影/日本雑誌協会・東川哲也

柔道混合団体の準々決勝にて、セルビア選手相手に豪快な内股で一本を取った新添2尉 代表撮影/日本雑誌協会・東川哲也

 地道に努力を重ねる日々の中でも息抜きは欠かせない。趣味は漫画とアニメで、「スポーツ漫画でいうと、『ハイキュー‼』(集英社)が好きです。柔道とバレーボール、競技は違いますが“刺さりました”」と語る新添2尉。

 作品の中に出てくる言葉に勇気をもらうことも多く、思うような結果が出せないときにも、心に残った言葉を思い浮かべて気持ちを切り替えていたそう。また、同じ部屋で過ごした柔道女子チームについて、「選手同士が気持ちを1番理解できるから、みんなと話す時間に私も救われた」と感謝の気持ちを述べた。

 オリンピックという大舞台で神経質になる選手も多いなか、持ち前の切り替え上手でメンタルをコントロール。個人・団体と気持ちを切らさずに最後まで戦い続け、柔道混合団体で銀メダルを獲得することができた。

 オリンピック後、休養期間に入っている新添2尉。今後については「いずれ指導者になったときには、自分が救われたアニメの言葉で選手を育てていきたいですね」と前向きに未来を見据えた。柔道の苦しさも楽しさも知っている新添2尉は、これからも努力を積み重ね、柔道の魅力を伝えていくだろう。

(MAMOR2025年1月号)

<文/ナノ・クリエイト 写真/増元幸司>

自衛隊体育学校アスリートの強さとは?

※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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