また、両被告は愛里さんの様子を記録したカメラ映像を膨大に残していた。こうした記録が、監禁の実態や期間を特定し起訴する裏付けとなったが、映像を残した理由や経緯についても、公判で語られるとみられる。
■相次ぐ家族の障害者監禁
障害者が家族に監禁される事件は、愛里さんのケース以外でも各地で相次ぎ起きている。精神障害者の家族でつくる全国精神保健福祉会連合会(東京)の小幡恭弘事務局長は「監禁は許されない」とした上で、「社会や情報から孤立し、適切な支援を受けられていない家族は少なくない」と指摘する。
同会の全国調査(29年度)では、重度の精神障害者の家族の44・5%が福祉サービスを受けていないと回答。精神障害への社会の偏見や無理解が背景にあり、「外部に頼れず、家族が隠そうとする風潮は根強い」(同会)。福祉サービスに頼らない場合、一日の大半を家族が面倒をみているとみられる。
支える家族の負担も大きい。調査では73・3%が「日常的にストレスを抱えている」、60・4%の親が「精神的な健康に問題を抱えている」と答えた。小幡氏はこうした監禁事件について「当事者である家族間の問題だけでなく、福祉のアプローチが適切だったかについても明らかにしてほしい」と求めた。