自宅敷地内のプレハブ小屋で10年以上にわたり長女の柿元愛里さん=当時(33)=を監禁し凍死させたとして、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた両親の裁判員裁判が7日、大阪地裁で始まる。統合失調症と診断された愛里さんを約2畳の「隔離部屋」に閉じ込め、モニターで監視していたとされる事件。両親は起訴内容を争うとみられるが、公判で何を語るのか注目される。
2月上旬、大阪府寝屋川市の幹線道路沿いにある民家。高い壁で囲まれ、敷地内の様子はうかがえない。ただ愛里さんの監視に使っていたカメラとみられる装置は、今もその場に取り付けられていた。
「人が閉じ込められているなんて思ってもいなかった。あまり思い出したくない」。近隣女性は言葉少なに話した。
事件は平成29年12月、両親の柿元泰孝(57)、由加里(55)の両被告が大阪府警寝屋川署に自首したことで明らかになった。
遺体で見つかった愛里さんの体重はわずか19キロ。「骨と皮の状態」(捜査関係者)で、死因は凍死だった。内側から開けられない二重扉と監視カメラを設置した小屋内に閉じ込められていた。
起訴状などによると、監禁は19年3月から始まったとされる。愛里さんは全裸で生活し、胃に内容物はなかった。
関係者によると、泰孝、由加里の両被告はすでに保釈され、事件現場とは別の場所に住んでいる。
別の関係者によると、愛里さんは小学6年の3学期以降、一度も通学していない。16~17歳のころに統合失調症の診断を受けており、両被告は捜査段階で監禁の理由を「療育のため」と説明。「娘がかわいく、私たちなりに考えていた」と監禁の犯意を否定していたとされる。
ただ、診断後に継続して病院を受診させた形跡はなく、両被告は計1千万円超の障害年金も受け取っていた。遺体発見時の壮絶な状況と療育目的という説明は矛盾しているとの見方もあり、小屋に閉じ込めた動機の解明も公判での焦点となりそうだ。