才禍の怪人


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作:でるぱ
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第7話 開戦前


ヘイズさんピンク髪だったんですね
【黄金】とか言われているからてっきり金髪かと…


戦争遊戯(ウォーゲーム)への出発直前、アリスへ頼んでアルフィアは分身魔法(エインセル)で表に出ていた。

 

「珍しいですね、自分から『出たい』だなんて…」

 

「なに…次の戦争遊戯(ウォーゲーム)が終わったらホームも変わるだろう?暫く教会(ここ)に来ることはないだろうから、見納めにな…」

 

最初はベルと腰を落ち着けて話し合うことから逃げていたお母様を引っ張り出すために【エインセル】という有効手段を見つけたまでは良かったのだが、「教会地下で4人は狭い」と言われたら全くもってその通りだったので出てくるのは控えていたのだが…

代わりに人格改変魔法(ダインスレイヴ)で無理矢理引っ張り出したりしたが。

 

「『来たい』と言えばまたいつでも付き合いますよ、それに私達には変身魔法(シンダーエラ)があるじゃないですか。1人でも問題なく気軽に来れますよ」

 

「つくづく反則だな…お前の魔法は…」

 

「今は貴女の魔法でもあるでしょう?」

 

「そうだな…病気もないからレベル2以下(チンピラ)程度にはこの状態でも遅れ取らんしな…」

 

「それに新しいホームはこれからどうやっても騒がしくなりそうですからね…」

 

「気持ち的にはお前とベルと私だけでもいいんだがな…まあ身体への負担とかも既にないから昔ほど騒々しいのが苦手なわけじゃないんだがな…」

 

「あら、それは良いこと聞きました…というかあの広いホームで3人きりとか流石にないですよあとそれ聞いたらヘスティア様とリリが泣きますよ?」

 

(おも)にうるさいのはそいつらだろう…」

 

「それに結局本来と同じ攻城戦かあ…」

 

「面倒だな…(ジェノ)らないか?」

 

「そんな『福音(ゴスペ)る』みたいに気軽に言わないでくださいよ、それ【ジェノス】じゃなくて皆殺し(ジェノサイド)ですよね?流石にチマチマ【サタナス・ヴェーリオン】だけで削るのは止めにしましたけどね…」

 

「フレイヤに『派手に()れ』とオーダーを受けてしまったからな…」

 

「それなんかニュアンス違くありません?彼女別に血が好きなわけじゃないでしょうに…どこかの盗賊団の頭じゃあるまいし…」

 

鎮魂歌(レクイエム)…奏でてやってもいいか…」

 

「誰に?」

 

「それは…ザルドあたりか…?奴も筋肉達磨(ダルマ)だしな」

 

「おっそ!遅いですよ!一体いつの話をしてるんですか!?疑問形じゃないですか!?とっくに天に昇ってますって!死んだ後もその扱いって…オジサマカワイソウ」

 

ゼウス(やつら)ヘラ(わたしたち)の力関係というか縮図だな…」

 

「女傑達の尻に敷かれる元最強()ファミリア…オッタルとか『俺は一体何を追っていたんだ…?』とかなるんじゃないですか?おじさま『失望した』とかどの口で…」

 

暗黒期(あのとき)はそーいうノリだったんだ…許してやれ」

 

「ノリでピンチに追い込まれるエイユウノミヤコカワイソウ…」

 

「はあ…それと確かに『静寂(おかあさま)の後継者』と名乗りを上げるなら【ジェノス・アンジェラス】で城ごと奴らを葬るのもアリですが…そんなことして『恐怖の象徴』みたいにはなりたくないので、控えめにいきましょうか

レベル2同士でもあんなの使ったら余程コントロール上手くなきゃ皆殺しになりますし…レベル1も結構いるのに」

 

「しかしアレだな…『攻城戦』って欠陥ルールじゃないか…?城を簡単に壊せる力量の者が攻城側に居た場合防衛側が不利過ぎるだろう」

 

「私らみたいなのがそうそう居ないからじゃないですかね」

 

「ポンコツエルフ師弟でも出来るんじゃないか?【フレイヤ】でも猪と陰険眼鏡あたりは出来るだろうに、私達の頃は別に魔導士じゃなくても単純な腕力(パワー)だけでイケる奴も結構…」

 

「あーあーそんな闘国(テルスキュラ)がクソザコ化しそうなエリート蛮族時代のことなんて聞きたくないでーす」

 

知識としては既にお母様の記憶から知っているし。

 

「2人とも行くよー」

 

教会の外からベルに呼ばれる。

 

「じゃあ行きますか」

 

再び1つに戻り出立する。

 

そうして──────戦争遊戯(ウォーゲーム)開戦前───【シュリーム古城跡地】その舞台の付近で【ヘスティア・ファミリア】は開戦前の最後の会議をしていた。最初に口火を切るのはアリス───見た目は10歳の少女だが、この場の誰もがそう扱わない。

 

「まず、ヴェルフと(ミコト)は、お兄ちゃんのために改宗までしてくれたのは有り難う。それとこのまま黙っているのは不義理だから先に謝っておくわごめんなさい。ぶっちゃけ私が加入した時点でお兄ちゃんと2人だけでも勝てたわ。

『有能な貴方達が入団してくれるなら儲けもの』と思ってタケミカヅチ様達の好意に甘えてしまったの、ごめんなさいね?」

 

「覆面エルフさんもごめんなさい、貴女とは長い付き合いになるだろうからと思ってまた一緒に戦ってみたかったの」

 

「なんだそんなことですか」

 

(ミコト)がまず返す。この場の面々には薄々理解っていたことだ。ゴライアス相手に【サタナス・ヴェーリオン】一本で大立ち回りをして、今は更に強力な魔法を使いこなしているときた。

あの時ですら恩恵貰いたてだったのだ。最初からレベル2というのはちょっと訳が理解らないが前例がないわけでもないらしい。

 

「タケミカヅチ様は『アリス殿(あやつ)(そば)で戦うのは絶対良い経験になる』と言って快く送り出してくれました。私に損は有りません」

 

アリスは何度かタケミカヅチに稽古を付けてもらっていた。力加減が下手糞な一般的な冒険者には難しい芸当だ。当然のことながらべた褒めだった。「地上でこれ以上の才能は見たことがない」と。

「お母様譲りですから当然です」と大して誇ることでもなかったが。ちなみにアルフィアの場合でも才能とは自分が持っていて当然のものなので誇るものでもなかったりする。他者にそれを押し付けることはしないが。なんだかんだ似ているのだ。

(ミコト)はリューの並行詠唱に憧れたが、殆ど練習をしていない10歳の少女がそれと同等以上のレベルで並行詠唱を使いこなしていることに全く思うところがないわけではないが…

一騎当千の少数の仲間と共に大軍を相手にするという舞台(シチュエーション)(ミコト)は武者震いがしていた。

 

「私の場合は『貴女のお母様』から直接頼まれましたからね…」

 

「う…ごめんなさい、あの時はお母様も私がここまで早く強くなれるとは思っていなかったんだと思います」

 

「都市外からの助っ人1人」はあっさり認められた。私への対応でそれどころじゃなかったのだろう。禁止されるパターンもあると思っていたが。勝つだけなら「開幕ジェノス・アンジェラス」で瞬殺だ。余裕がなかったらやっていただろうが、やるまでもない。

「お母様?」と首を傾げる(ミコト)とヴェルフ。未だアルフィアと面識はない。そのあたりは新ホームでゆっくりとする予定だ。

 

(ゴライアスの時は準備なしの飛び入りだったからなこれが本当の「デビュー戦」のようなものだな)

 

ベルを含め全員が割りかしリラックスをしていた。「【ヘスティア】の連中には【ロキ】の面々も入れ込んでいる」という噂も立っていたし、特訓中の様子もこっそり眺めた。

(ベル)は凄いが、(アリス)は更にやばい」とは全員が知るところだ。「時代の中心、歴史に残る人物とはこういう者達なのだろう」と全員が漠然と感じていた。

 

「じゃあ行こうかみんな!」

 

「「「「「応!」」」」」

 

この高揚感は他の第一級冒険者が仲間に居ようと感じられないだろう。これから怒涛の日々を送ることになる【ヘスティア・ファミリア】の初期団員達のデビュー戦が始まるのであった。

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