──これは、ある英雄の
彼女は、人間以上の存在、竜の因子を持った人と竜の混血として生まれた。
即ち竜の機能を持った人であった、所謂概念受胎である。
そして彼女自身も、自分が「理想の王」として創りだされた存在であることを自覚し、その為の教育を受けた。
しかし彼女には、王になる為の支配欲や、義務感、信仰等の動機など無かった。
自分自身に返るものなど無く、他人から与えられた在り方であったとしても、王になれば、自分以外の誰かが救われる、人々の何気ない笑顔が護られるのだと信じる。ただそれだけだった。
そして彼女は躊躇いなく剣を抜き王になることを選び、魔術師マーリンの予言の元、弱冠15歳で
その時、少女としての短い人生はそこで終わってしまった。 当時は王権は男のみに与えられし特権である故、
女の身の上では王として振る舞うことも叶わないために彼女は致し方なしに男の騎士王として就くことになったのだ。
選定の剣を抜き、王の証を手に入れた後は、剣を使いこなせるようになるまでは鍛錬しながら一部族と拠点を構え、湖の乙女から
次期ブリテンの王として名乗りを上げた。
その後、卑王即ちブリテンの暗黒を倒し、キャメロットを完成させる。
円卓の王となった彼女は使命のもと理想の王を目指し、私情を捨てて騎士達が望むような「完璧な王」として振る舞おうとする。その結果、十一の会戦を全勝で制したこともあり、ブリテンは束の間の安寧な時間を手に入れ、騎士たちの物語が花開いた。
しかし、島の外からの敵により、暫くしてまた戦続きになってしまう。
その中での彼女の合理主義的な決断は、理想論的な騎士道精神を掲げる騎士達と相容れることはなく、やがて円卓の中で孤立していくこととなる。
「完璧な王」という機能に徹するあまり、部下の苦悩や国民の限界を察することが出来ず、また部下達も彼女の事を正しく理解しないまま盲目的に崇拝していた。
これが理想の王として取り返しのつかない傷を付け、結果、円卓の騎士は思い違いや愛憎などに翻弄され、最後は
彼女が一時代を築いたブリテンは急速に破滅の道を突き進んでしまう──
「──ッ!」
今日は勢いよく目が覚めた。
原因は自分と顔立ちがよく似た彼女の壮絶な人生の追体験だ。
彼女は、普通ではない。それでも人なりに民衆の声を聞き、慕ってくれる騎士の声を聞き、己の全てを捧げ国の為に尽くした。
しかし、その想いも虚しく理想の王を遂行した挙句、彼女の愛した故国は滅亡した。
報われない、そう思った。
未だに俺が転生した理由は分からないが、
きっと夢に出てくる彼女達が満足のいく
今日も1日元気に──
「あっ、やべ、もうこんな時間。また
急いで、ダンジョン入り口近くの待ち合わせ場所に向かう。
「ごごごめんアルフィア、遅れた・・・怒ってない?」
「........怒ってなどいない。さっさといくぞ」
このあと滅茶苦茶、
つまり耐久があがったってこと。
■■■
──今日もいつも通り俺が前衛でアルフィアが後衛でモンスターを狩っていたら、急に後ろから自分目掛けて魔法が飛んでくるので疲労困憊だ。
彼女に問い詰めても、「お前は後ろに目が付いているから不可視でも当たらんだろう」と言われ参っている。
ステータスの詳細を言うことは女神様に禁じられているので『心眼』のことは言えないが、
遅れた俺が悪いんだけど、どうも彼女は執念深いらしい。
けれど、冒険者登録して3ヶ月で11階層到達はとても早いことだと一緒にギルド職員の方に褒めてもらった。
いつもポーカーフェイスの彼女も満更ではないようで、少しその事をいじったら音速パンチが飛んで来たので避けた。
そして現在は、朝起こさずにホームを出てしまったのでお怒り心頭中である主神の元へ帰還中だったのだが、
全身をローブで覆い隠すように服を着ている女性とぶつかってしまった。
「きゃっ!」
咄嗟に出た声であるはずなのに、
意識を奪われてしまいそうな透き通った綺麗な声だ。
「ご、ごめんなさい!!あの・・・大丈夫ですか!?」
「ええ、・・・とりあえず手を貸して頂けるかしら?」
言葉通りに、彼女の綺麗な手に自分の手を差し伸べる。
そうして立ち上がると服越しであるのにも関わらず一目で分かってしまうほどの
「本当にごめんなさい!俺、なんてことを・・・」
つい反射的に言葉が出るほど彼女を意識していた。
「そんなに謝らなくても大丈夫よ、怪我もないし。
それより貴方、それは拾わなくていいのかしら?」
「あっ大丈夫です!自分で拾いますからっ!
良かった・・・・痛んでない。」
そう言って、主神のご機嫌取りのために摘んできた花を拾う。
「あら、綺麗なお花ね。」
「は、はい。これ、さっきダンジョンで見つけたんですけど。すごく綺麗だったんで、ホームに飾ろうと思って摘んで来たんです。」
「ふふ、果報者ね、あなたの主神は。」
言葉一つ一つに色気がある。
そして、どことなく真剣な時のアフロディーテ様に似ている気がする。
「・・・・・あの、良かったらこれ、お詫びに貰って頂けませんか?あっ、でもよく考えたら、一度落としてしまったものを差し上げるなんて失礼ですよね、」
彼女の雰囲気に飲まれ、つい焦って失礼な事を言ってしまった。
「戴くわ。綺麗なものは好きだし、何よりも貴方の気持ちがこもっているのだから。それに、あの子にも勝ったっていうことになるわ」
そして最後に「ありがとう、大切にするわね。」と言って去っていった。
しばらくその場に佇んでいたのだが、アフロディーテ様が怒って待っていると察して急いで帰った。
◆ ◇◆
「・・・・・・アルトリア、今日も頑張ったのね」
長い沈黙の後、主神はそう告げ、こっちに来なさいと手招く。扉を開けた途端、重い空気が流れていたので何を言われるか準備していたのだが、無駄足だったようだ。安心して、いつものように唯一信頼の置く神様の隣に座る。
「ん?違う女の匂いがするわ!!ヘラの子とは違う匂い!
こ、これはフレイヤ!?まさか魅了を!?」
急に取り乱すことは日常茶飯事なので、自分はもう落ち着いている。帰りの途中にぶつかってしまった女性は神様であることは分かった。
「大丈夫です、アフロディーテ様。何もされてません。ただぶつかってしまったので手を差し伸べただけです。」
「そ、そう!良かったわ!にしてもライバルが増える前に圧倒的な差をつけておく必要があるわね、、はっ!アルトリア、ステータスの更新をするわよ!横になりなさい。」
言われるがまま、ベッドに転がり彼女に背を向け、
『
アルトリア
Lv.1
力 B 782
耐久 B 715
敏捷 SS 1099
器用 S 979
魔力 S 999
【心眼】G
《魔法》
【縮地】
・移動魔法
・無詠唱
・距離はレベルと敏捷に依存
《スキル》
【
・早熟する
・憧憬が続く限り効果持続。
《宝具》
【無明三段突き】
・対人魔剣
・防御不能
・威力は能力に比例
詠唱『一歩音超、二歩無間、三歩絶刀、無明三段突き』
▼new!!
【
・対城宝具
・魔力値依存
詠唱
輝ける彼の剣こそは
過去・現在・未来を通じ戦場に散ってゆく
全ての兵たちが、今際の際に懐く哀しくも尊き夢
その意志を誇りと掲げその信義を貫けと糾し
今、常勝の王は高らかに──
手に執る奇跡の真名を謳う
「うぴぇぇぇぇぇぇえええぇええ!!!」