夢を見た。
一つ、聖剣で幾度なく国を勝利に導いた王の夢を。
二つ、神の啓示を聞き国を勝利に導いた英雄の夢を。
三つ、国の秩序を守ろうとする希代の天才剣士の夢を。
◆◇◆
頭を抱える眷族達を他所に、
彼女は迷宮都市の外へ『
しかし、今回も運命を見つけられずにオラリオに戻り、暇も持て余す。
オッタルを苛めて、子供達を眺めて、オッタルを苛める。
これまでと変わらない、けれど漫然とした日々。
下界は刺激的。そこに嘘はない。
子供達の織りなす物語を耳にすれば笑みは浮かぶし、
けれど・・・・・・心のどこかが満たされないのも事実。
そう思っていた時だった───
とても小さな魂の輝き。
けれど綺麗だった。透き通っていた。
私が今まで目にしたことのない魂の色。
『欲しい』
一目見た瞬間から、そう思った。
だから、『彼』を私のモノにしようって、決めたの。
あの魂はこれからどんな色に変わるのかしら?
それとも透き通ったままでいるのかしら?
何より私の『望み』を叶えてくれるかしら?
まず、名前を知ろう。
それから所属している『ファミリア』も。
前のときは失敗してしまったから、
しばらく成長を見守るのもいいかもしれない。
貴方をゆっくり知っていけばいい。
そして距離を埋めていけばいい。
そんな無駄と思える積み重ねも、
きっと必要なものの筈だから───
◆◇◆
女神様の眷属になって、数日。
とりあえず自分自身について分かったことを明記しようと思う。
まず、日本人である以外、前の記憶がまったくないということ。
次に名前がアルトリアと言うこと。
最後になにやら特別な力を持っているということ。
神様によると、この下界には《宝具》と呼ばれる能力を持つ冒険者はいないとのことだ。
オンリーワンの能力である。
神様は自分と同じだと大層喜んでいたので、一緒に喜び合った。
でも、神様の唯一無二はなんなのだろうか。
次に状況について明記する。
ここは、世界唯一の迷宮都市オラリオ。
広大な都市の中央にはダンジョンを起点にして天を衝く白亜の
その特性からオラリオには数多くの冒険者が存在し、
その冒険者が向かうダンジョンにはまだ見ぬ『未知』が眠っている。
そしてまた、神は新たな英雄を永久に求めているのだと。
そう、今は神時代。下界に降りた神が人々に恩恵を与え能力を授ける。
しかし、オラリオは暗黒期である。
様々な犯罪活動を行い冒険者、一般人関係なしに多くの傷跡を残している。
傘下の団員は幹部を除いて、一様に顔を隠した黒装束に身を包んでいることが多い。
オラリオ最大の二代派閥、【ゼウス・ファミリア】・【ヘラ・ファミリア】が健在であるが故、現在は活動を闇に潜めているが、いつまで歯止めが効くか分からない状況である。
───うん、絶対襲ってきたのそいつらやん。
★★★
とある小さな宿の一室。
「神様〜起きてください。美容に悪いですよ・・・?」
俺を拾ってくれた小柄で金髪のドジで噛ませキャラの可愛い、属性たっぷり女神様を起こすのは毎日の日課である。
「・・・んぅ、、はっ!アル!美の神は意識せずとも肌は綺麗なままなのよ!!」
絶対に最初焦ったが、思い出したのか自慢げに言ってくる。
おそらく、全ての神の特権なのだろうが、感嘆するとアフロディーテ様はすぐ調子に乗るのでここは敢えて褒めないでおく。
2,3日一緒にいることで、扱い方が分かってきた。
「アフロディーテ様、今日から本格的にダンジョンに潜るので帰り遅くなりますが、安心して待っててくださいね。」
と言って扉に向かう。
しかし、神様は後ろから手を握って初めての眷属の足を止める。
「───アルトリア、貴方はダンジョンに何を求めるの?」
俺はまだ、神様が満足できるような答えは出せないかもしれない。
でも、夢に出てくる彼女達がどのような道を歩いたか、
そして自分にはどのような道が歩けるのか知りたい。
「・・・俺は、自分の未知を知りたい。」
彼女はその言葉に満足して微笑む。
「いってらっしゃい、私の
今は、まだこの喜びを噛み締めていたい。