「さて…ここからどうしましょうかね…」
ダイダロス通り方面から出るのは無しだ。脱出した後に地上で迷うような間抜けになりたくない。それよりはダンジョン側から脱出する方が良いらしい。
幸い服に関しては貫頭衣があったのでそれを着ている。足は裸足だがこれは我慢するしかあるまい。中層くらいならダンジョンの知識があるアルフィアさんとこの身体の能力だけで「帰還は充分に可能」とのこと。
運良く
そうして出た場所は外伝でレフィーヤがベルと共闘した場所付近だった。
「18階層…【
そのまま上の階に向かおうとして、リヴィラの街の方で騒ぎになっていると思ったら原作イベント真っ只中だった。
「よりによって、
「ルゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
リヴィラの街で大勢の冒険者が黒いゴライアス相手に大立ち回りしている。その中心の1人の中に
アルフィアさんから歓喜の感情が流れ込んでくる。だが丁度ベルはダウン中でヘルメスが何やら語りかけている。もう最終局面っぽいな。
「この身体の身体能力はレベル3相当くらい」だからこのまま参戦しても足手まといにはならないはず…ただ武器の類はない。それに今この場には2柱の神様がいるはずだから…いた!あれだ!
ダッシュでその場に駆けつける。
「初めましてっヘスティア様っ私を貴方様の眷属にしてくださいっ今この場で!」
「いいっ!?今!?誰なんだいっキミはっ!?」
───後にヘスティアは語る。「アレは見事なジャンピング土下座だった」と。
その唐突に現れた謎の幼女はなんというかベルによく似ていた。眼の色は違うが白髪だ。
「私は彼…ベル・クラネルの
「分かったよ今は緊急事態だ、キミにボクの恩恵を分けよう」
「恩恵無しでこの階層までどうやって」とか「そもそも10歳くらいにしか見えない」とかツッコミどころが多かったのだが、「確かな力になれる」という言葉にも嘘はなく、神としての勘は単なる思い込みでもなく事実だと告げている。
胸元を隠したまま背中を晒し、差し出した彼女にそのまま
「急ぎなんで写しは結構です!それより発現した魔法名を教えてくださいっ!」
「ああ!魔法名は…【サタナス・ヴェーリオン】と【シレンティウム・エデン】、【マギアレコード】だ!…詠唱文は…」
「もう知っているんで結構ですっじゃあ行ってきます!」
【ジェノス・アンジェラス】じゃなかったか…まあ全く同じでもつまらないだろう。【マギアレコード】…文面的に期待通りのものだといいが…某ソシャゲは関係ないだろう。取り敢えず今は【サタナス・ヴェーリオン】だけで充分だ。
「
「グオ!?」
特徴的な甲高い音が響いてゴライアスの巨躯が揺らぐ。
(出力的に恐らくレベル2…魔力補正スキルもあるなこれは…)
アルフィアさんが冷静に分析する。流石にレベル1からじゃなかったか。身体能力的にはレベル3相当らしいし…
基礎アビリティを溜められなかったことについてはあまり気にしなくても良さそうだな、これは…発展アビリティが気になるけど。
任意で本人の同意もあれば人格を切り替えることも出来るのだが、現状アルフィアさんはメインで動く気がないらしい。
主人格を私の方と認めてくれているのだ。本人的には私の「知識」だけで充分楽しめたし、後はベルを一目見れれば充分らしい。
だがベルは絶賛ダウン中だ。これでは若干不満だろう。まあいつか別の身体を用意してあげられれば良いのだが…私が移る方でも構わない。
「「「は???」」」
「今の魔法はっ!?」
間近で見ていた者達は、
「「アルフィア…?」」
見覚えある魔法にリューとヘルメスが目を剥く。
「せっ【静寂】の!?」
二人の
「あははははははは!
「そうらポンコツエルフに胃痛メガネ王女!こんな幼女に見せ場取られていいのか!?
原作知識を使って自然と煽る言葉が沸いてくる。多くの魔道士達が何十発も攻撃魔法を与えても、高い再生能力で耐え切っていた黒いゴライアスが揺らいでいる。たった1人の闖入者である幼女の魔法の連発で。
「そうら早く起きろ!
とは言ったものの流石にレベル2でレベル5クラスの階層主相手は正直
ゴライアスの周囲のモンスターもほぼ1人で削り切っている。リューやアスフィもいるとはいえ決め手に欠ける。
「無茶苦茶だ…ぐ…俺だって!
何やら葛藤していたヴェルフ・クロッゾが勝手に自己解決して奮起してクロッゾの魔剣を解き放った。
(ほう…)
アルフィアさんも少し感心したらしい。「魔剣」という分類の中では最強らしいからな。【
そうして先程から響いていた
【響け大鐘楼】だっけか…やっぱり血縁者なんだなぁとしみじみ実感する。周りではベルを中心に祝福されている。私にも視線が集まる。さて、ここからどう乗り切るか…つい興が乗って色々口滑らせたし…