昨日は散々だった..........
アミッドさんにいきなり抱き着かれたのをリューさんに目撃され問い詰められ終わったかと思ったら今度はその帰りに偶々会ったレフィーヤに何故か女性と会っていたと言い当てられ怒られ、ホームに帰ればアルテミスにもと何が彼女らにとってそんなに気に入らなかったのか俺にはもうわからない......
そんなこんなで今日もダンジョンに行こうとバベルに来ていたところだった
「ん?アイズじゃん」
「あっ、ノクス。おはよう」
「おはよう。そう言えばランクアップしたんだっけ?おめでとう」
アイズ達の無事なことを聞いた時その時に彼女のレベルが6になったことを聞かされていた。遂にこの年下のお姫さんに越されてしまったわけだ
「ありがとうノクス。だから今日は朝からダンジョンで調整するつもり」
「レベルアップ後の感覚の違いがあるからな。今日は俺も一緒に行っていいか?」
「ん。慣れたら手合わせして」
「良いけどもう少しレフィーヤ見たく女の子らしい趣味でも作ったらどうだ?息抜きも必要だぞ?」
俺もこれはフィンさんによく言われたことでもある。なんだかんだそれがいい意味で俺に影響をもたらしてくれたこともあり、そのせいかアイズにどうしても口酸っぱくいってしまう。
「でも.........私強くなりたいから........」
「.........一応俺はお前より年上なんだから強くなりたいっていうお前を応援もするしできる限りは手合わせなんかもしてやる。でも、お前にもレフィーヤみたいな後輩がいるんだ。あんま根を詰めてると自分もそうだがアイズを尊敬したり慕っている周りも辛くなる」
正直言っててあまり自分が何を伝えたいかあまりよくまとまらない。そもこれに関しては感覚的なものなのだ。ただ、余裕と言うものがあるとないとでは世界が変わって見える。それこそ戦いだって今までに見えないものまで見えてくる
「まぁ、つまり..........そうだな、俺が言いたいのは年上の俺に頼れ。妹分の一人二人くらいなんでも面倒見てやるさ」
アイズはここに来たばかりの俺によく似ている。正確には俺の方がオラリオに来た日は遅いので間違ってる気もするが家族の全てを失い荒れたオラリオでアルテミス以外すべてが敵だと思い込んでた時の強くなることに執着していた俺に
フィンさんに俺は道を示され結果今の様に変われたが彼女はまだ変わり切れてない。変化に戸惑いながら憎悪を抱えているように見える。俺にだってモンスター全般に家族を奪った存在だと憎む気持ちは今でもあるが、俺以上にそう思えてしまうアイズがどうも放っておけないのだ。
「って悪いな。勝手に口出して............俺も年寄りみたいになって複雑だ」
俺はアイズの事を妹のように思ってる節がある。だからか年より見たくお節介したがる自分に苦笑を隠せない。それを誤魔化す様にそれだけ言ってさっさと行こうとしてると.........
「心配してくれてありがとう.........また、今度この前みたいに皆で買い物しよ?」
「.......おう!」
前言撤回。変わり切れてない........そんなことなんてない。変わっている。ただ、彼女はそれがどうすればいいのかわからないだけだ。でも、あの買い物はやっぱりアイズにちゃんといい意味で影響を与えてるようだ
(良かったなレフィーヤ?)
彼女のことを大切に思うレフィーヤにそう内心でそう語りかけていた
そんなこんなでダンジョンに入ろうとしてると...........
「ノクスにヴァレンシュタイン氏」
「エイナか。これから視察か?」
「うん、そうだよ。ノクスはヴァレンシュタイン氏とこれからダンジョン?」
「そっ。お互いお仕事頑張ろうぜ」
俺達はそれぞれ別れようとしていると.........
「あっ!待ってノクス!少しお願いがあるの!」
急に引き留められる
「どうしたんだ?俺でよけりゃ勿論聞くけど」
「えっとね......最近ベル君サポーターを雇ったみたいで、そのサポーターの所属ファミリアがその.......ソーマ・ファミリアなの」
「アイツ.........少しは俺に相談とかしろよ。まぁ、エイナにはその感じだと相談はしてきたみたいだがそれだけじゃないってことだろ?引き留めたんだからなんか拙いことになってるとかだろ?」
ソーマ・ファミリアは別に犯罪まがいのことをしてるとかではない。だが、アイツらはなんというか金の亡者というかとにかく換金騒ぎを起こすことで有名だ。関わらないほうがいい奴ら認定されていたりするのだ
「うん..........なんかほかの冒険者に狙われてる..............かもしれないの。だからベル君のこと追ってくれないかな?」
「わかった。ヘスティア様にも頼まれてるし引く受けた........にしてもどうせまた女の子だとかで騙されかけてんだろうなあのお人好しは............」
俺は何となくでそう口にすると...............
「あははは..........ノクスもベル君の事よくわかってきたみたいだね」
「.........おい、まさかとは思うが.............そのサポーター女か?」
「うん...........」
つくづくベルは女に弱いというか..........騙されやすい
「まぁいい......アイズ悪いが俺、聞いての通り急用ができちまったから...........」
「私も行く」
俺が一人で行ってくれていいと言おうとしたところでそれを遮るようにアイズは自分も行くと声を上げる
「そりゃついてくるのは構わないけどいいのか?」
「うん。私もあの子を傷つけたから償いがしたい」
「......そうか。そんじゃ速くいこう」
******************
(にしてもレベル6か............たった一つしか違わないなんて思ってた俺をぶん殴りてぇ)
ノクスはアイズと共に冒険者の証言を聞きながらベルのいるであろう階層に向かうために走駆していた。そしてそんな中アイズの様子を見てそんな感想を零していた
ノクスとて別にアイズより自身が絶対的に強いだなんて思っているわけではない。だがそれでも一つぐらいのレベル差ならまだ自分の方が上だとどこかアイズの事を甘く見ていた。
だがアイズの速さはレベルアップを得てさらに磨きがかかっていた。本気でもない彼女に並んで走るのが初めて苦しく感じているのだ
(いつかは抜かされるかもなんて思っていたが............こうなるとやっぱ悔しいし負けたくねぇな)
そう考えていると証言通りベルがいるであろう10階層についた
高台から見渡していると誰かが戦っている戦闘音にすぐに気が付く。恐らくはベルだろう。アイズに目配りしてすぐに駆けていくとそこでベルは戦っているのだが..............
(ベル.......だよな?アイツいつの間に魔法まで..........それに10階層まで来てるのもそうだがこの成長速度尋常じゃないぞ?)
ほんの前までベルは間違いなく初心者で才能はあるように見えてもまだまだだった。でも今目の前で戦ってるベルに初心者なんて面影はなく間違いなく一人の冒険者だった。それほどまでに戦いに慣れ動きが格段に良くなっていた
(確かにまだ甘い.......でも、見違えるほどだ。全く、俺の周りの奴らの成長スピードはバケモンかよ)
隣りのアイズも驚きを隠せない感じで珍しく表情に出ていた。だが、聞いていたサポーターの姿が見当たらない上ベルも何か焦っているようだ
「アイズ。俺達で片付けるぞ」
「うん」
俺とアイズはそれぞれ愛剣を抜くと直ぐに戦場を駆け抜けベルよりも早く敵を倒していく。ベルがそのことに困惑しているのに気づくも今はモンスターの掃討に優先する
(相変わらずロストヴェインの切れ味はスゲェ.........でも、アイズの動きが少し前と全く違うのが一番の驚きかもな)
新たな剣の切れ味を味わいつつアイズの成長したその動きを感じながらノクスもモンスターに集中しているとあっという間に掃討が完了した
「よし、ベ.....「すいません!急いでるので先に行きます!」........行っちまった。まぁ、たいした怪我もなさそうだし追わなくても大丈夫だろ」
「ノクスこれ」
そう言って俺に見せたのはプロテクターだった
「プロテクターか。状況からするにベルのだろうな...........俺が今度私に行くから預かるぞ」
俺がそう言ってそれを預かった時だった。不意に第三者の気配を感じた俺とアイズはすぐに剣を構え迎撃態勢に入る
『流石は【剣姫】と【
「貴方は誰?」
アイズもノクスも警戒心を隠さず油断なく見つめていると静かに答える
『以前、ルルネ・ルーイに接触したもの、と言えばわかるだろうか?』
(アイズ達からは事のあらましは聞いているが..........どうにも、うさん臭いなこの人?)
目の前に突如現れたローブに身を包んだ魔法師のような存在にノクスはそんな感想を抱く。その存在があの時怯えていた冒険者のクライアントと言うのは今ので分かったがなぜ俺達に接触してきたかは謎だ
『単刀直入に言おう。【剣姫】もしくは君たちに24階層に向かって欲しい』
それから説明されたのは今回の依頼の詳細だ。24階層で起きている異常事態、食糧庫そしてそれにかかわっているだろう赤髪の調教師。そんな説明をノクス達は淡々とした口調で説明された
(多分アイズに依頼するつもりだったけど俺も偶々居合わせたからついでにって感じだなコレ)
俺個人としては受けることのメリットに関してはまだしも、依頼相手の信用がなさすぎるのもあり正直断りたいところだ。だが..........
「わかり、ました...........」
「おいアイズ。勝手に受けていいのか?確かにこの人?が真剣だと俺も思うが信用は出来ないぞ?」
「うん..........でも、受けなきゃいけない。そう、思うの」
『【
「正直に言えば受けるべき案件だとは思う。貴方の話が真実なら24階層の問題も調教師に関しても捨て置けない。だが、この話が真実だという根拠がない。そうやすやすと知り合いに行かせるも気が引けるってもんだろ?」
『そうだろうな.......なら、お前の分身を使えばいいのではないか?』
(なんでこいつロストヴェインの力を知っていやがる?)
確かに俺もこうなった以上使うつもりだった。アイズ一人で行かせるわけにはいかないから先に分身に行かせておいてロキ・ファミリアに応援を呼びに行くつもりだったのは事実だ。だが、まだロストヴェインを手にしてから昨日の今日なうえ何より魔剣としての力は公の場では使ってはいない
「..........余計疑わしいな。なんでこいつの力を知っている?」
腰に吊った剣に手を這わせ問う
『守秘義務だ........それで、どうする?【
「わかってる癖に........アイズ。ロキ・ファミリアに俺は行くから何か伝言あるか?」
それから俺は分身を残し、伝言と応援を呼ぶためにロキ・ファミリアに走っていくのであった
「なんやって!?アイズたん24階層にいただってぇ?」
ロキ・ファミリアに行き事情を話して通してもらい庭園にいるロキ様となぜか来ているディオニュソス様とその付き人としてきているとある噂から知っているフィルヴィスに事のあらましを説明した
「すいません。一応は止めましたが聞く様子はないので分身を同行させました。分身と本体である自分は今本来の能力より1割弱体化してるのもありますが事が事なだけにロキ様の眷属のどなたかに応援を頼むべきだと思っていますがどうでしょうか?」
「何や分身とか気になりはするが.......取り合えずアルテミスのとこの子である事とフィンたちがノクスの事信用してることもあるからウチもノクスの事信用したる。ついでにウチらのファミリアと同盟結んどこうや。どうせノクスは次の遠征参加するんやしな」
同盟........確かにメリットのある話だ。うちは俺一人の弱小ファミリアなのもあるがロキ・ファミリアほどの大陣営と同盟関係を結べるのは願ったりかなったりだ
「同盟に関しては喜んで受けさせてください。ただ、その詳細に関してはまたアルテミスと一緒の時でいいですか?」
「そうやな。そんじゃそう言う事で............あぁ、それとレフィーヤとベート館から呼んできてくれや」
「わかりましたけど..........俺が勝手に入ってていいんですか?」
「かまへん。同盟相手やしウチもノクスの事結構きにいっとるんやで?」
「光栄です。それじゃあ呼びに行ってきます」
俺はそうしてロキ・ファミリアの団員に聞きながら両名を連れ戻ると俺とレフィーヤにベート、そしてフィルヴィスを含める4人の臨時パーティでアイズの応援に向かうことになった
のだが...............
「ノクス........これ大丈夫ですかね?」
「........正直レフィーヤだけ来てほしかったかも」
ダンジョンに入ってすぐ俺とレフィーヤはそんな会話をしていた。何故ならベートとフィルヴィスさんがとても険悪なためである
ベートはまぁ..........誰でもそうなる気はするが今回に限っては特に拙かったかもしれない。と言ううのもフィルヴィスさんはある噂があるからこその険悪な態度と言うのもあるのだろうがこれじゃあ万が一のときに支障がでる
(はぁ..........柄じゃないし嫌だけど万が一放置したせいでレフィーヤにけがされるのは嫌だしな。仕方ない......)
レフィーヤは完全に被害者なため心配はするが迷惑をかけてる二人など一度痛い目を見るのがちょうどいいとすら思う。
「お前ら二人さ............迷惑だから帰ってくんない?」
「ちょ!?ノクス!?」
俺の突然の喧嘩を売るような発言に戸惑うレフィーヤ。レフィーヤが止めに入ろうとするので小声で「大丈夫」とだけ伝えると...........
「おい!ノクス!!てめぇ、強いからって調子乗ってんじゃねぇぞ!!!」
「遺憾だが同意だ........レベル5だからと舐めてるのか?」
二人して敵意丸出しで睨みつけてくる。だが、全く怖くない。だって癇癪を起してるガキにしか見えないからだ
「調子に乗ってる?舐めてる?それはどっちだよ........どう考えてもお前らだろ?」
「「ッ..........!!!」」
俺は馬鹿二人に本気の怒気をぶつけると二人はひるみ一歩後ずさる
「お前らさぁ仮にも俺達は今パーティー組んでんだぞ?ソロじゃないんだぞ?仲間危険にさらして満足か?今の状態で万が一があったら責任取れんのか?ダンジョンは何が起きても不思議じゃねぇんだぞ!お前らみたいな馬鹿がついてくるくらいなら俺とレフィーヤの二人だけで充分だ!!」
怯みながらもフィルヴィスは異を唱える
「私はパーティーを........「組んでないって言いたいのか?」..........」
俺は途中で口をはさむ。この場で大切なのは組んでる組んでないじゃない
「お前が組んでないと思うのは勝手だ。だがな!同じ場所に同じ目的で行く以上ミスはお前だけのもんじゃないだよ!噂の事で距離を取りたいのかもしれねぇが、最低限の協力もできないなら冒険者なんて辞めて田舎にでも帰りやがれ!!ベートもだ!気に入らないのはわかるが少しは抑えろ!!」
俺も途中までは演技で通そうと思ってたが正直思ってた以上に腹が立ったので思いっきり怒鳴りつけてやった。ソロはどんなことがあろうと全部自分自身の責だ。だが、複数人いれば全く違う。一つのミスはその場の全員に影響を及ぼす
「ケッ..........協力すりゃいいんだろ」
「.............」
取り合えずある程度は落ち着いて場の空気も.........まぁ、ましになった
「冷や冷やしましたよ!?何やってるんですかノクス!!」
「俺もちょっとカッとなっちまった。心配させて悪いな?ただ、こうでもしないと誰かが怪我しかねないからな」
「それはまぁ..........そうですけど」
コソコソとそう話しながら俺達は歩いていく
「レフィーヤ一つだけお願いがある」
「何ですか?昨日女性と楽しんでいたノクスが私に何を頼みたいんですか?」
「まだそれ引っ張るの?今度埋め合わせするって話で落ち着いたんじゃないですか?」
「知りません!私だって............ッ////////何でもありません!!それよりもなんですか!?」
突然キレ気味に返されもう女性ってほんとわかんないと困惑しながらも話を続ける
「お、おう..............フィルヴィスさんのこと気にかけてやってくれ。俺じゃダメだからな」
「まさか今度はフィルヴィスさんですか?」
ジト目で睨まれるがわけが本当にわからない
「何が今度だかわからないが...........ちょっとあの人には訳ありでな。どうにかしてやりたいと思うほどお人好しってわけでもないが...........顔見知りになっちまったら放っておくのも後味悪いしな」
「訳ありですか?」
「あぁ、俺から言ってもいいが...........何となく俺が言うのは違う気がするからな。まぁ、事情があるってことだけ覚えといてくれればいい。同じエルフの方が色々と話しやすいだろうし頼んでいいか?」
「いいですけど........そう言うとこですよノクス?」
「どういうことだ?」
「.............優しいのは美点ですが余り誰これ優しくするのはやめたほうがいいですよ」
「?俺はそんな優しかないぞ?俺が優しくするのは親しい奴だけだし.........」
(この無意識...........)
レフィーヤは内心少し不機嫌になりつつもこうして歪なパーティーによる冒険が始まるのであった