首位打者の03年と打点王の05年は、打ち方を180度変えていた。持論は「打率と打点は両立しない」
よく「悪球打ち」や「感覚派」といわれたが、この頃は正反対で、機械のように、ひたすら投手に向かってインサイドアウトでバットを振ることだけを意識していた。
これは難しいインコース攻略にも役立った。ボールとの距離が近いので、詰まると思い、ついヘッドを先に出してしまいがちだが、インサイドアウトで振れば、ヘッドが最後まで残り、インコースもさばくことができるのだ。同じように、アウトコースを打てば、打球はライト方向のヒットゾーンへ飛ぶ。基本に忠実な打法は、安打が出やすくなる一方で、本塁打が出にくい打ち方でもあった。
岡田彰布監督就任2年目の05年、打順が5番に変更されたことで、シーズン中に「非常識打法」に変えることを決意。もっと本塁打を打って打点を稼ぐためである。
アウトコースの球に対し、これまでは押っ付けて確実にライト前ヒットにしていた球を、外側からバットをかぶせ、強引に引っ張って本塁打を狙った。確実性は落ちるが、そっちの方が打球は飛ぶ。その結果、ほとんど狙って29本塁打、今でもプロ野球歴代3位の記録となる147打点を叩き出すことができた。代償として、6月まで3割を超えていた打率は.279に降下した。僕の持論は打率と打点、単打と長打は両立しないということだ。
阪神は03年、05年にいずれもリーグ優勝。僕は1番、5番打者として、役割を果たすことができたのだろうか……。
以前、常識から外れてみることを勧めたが、僕が入団したばかりの頃、そんな選手が阪神にいた。