姫路市・手柄山に残る「姫路モノレール遺構群」が、土木学会の選奨土木遺産に認定された。旧手柄山駅舎(現手柄山交流ステーション)などが優れた近代土木構造物として顕彰された。同市内の物件が認定されたのは初めて。
姫路モノレールは、姫路市が姫路駅前から手柄山までの1・6キロを結んで昭和41年に運行開始。しかし、赤字経営が続き、49年に休止、54年に廃止された。
土木学会は「全国に先駆けた自治体経営のモノレールで、戦後姫路の躍進と大志の結集体」として、旧手柄山駅舎と施設内で保存されているモノレール車両、屋外展示されている台車を土木遺産に認定した。
一方、同市中心部にはモノレールの橋脚や橋桁も一部残る。老朽化し、安全性や景観上などの問題があるとして、市が順次撤去していく方針を示していることから、これらは認定から除外された。
姫路モノレールの文化財的価値を訴えてきた岡田昌彰・近大理工学部教授(景観工学・土木史)は「昭和45年の大阪万博より4年早く姫路大博覧会というイベントを手柄山で開催し、モノレールも開通させるという、姫路市の壮大な志の証し。認定を機に、改めて姫路モノレールへの関心が高まればうれしい」と期待している。
土木遺産は、土木学会が平成12年度に創設。完成から50年以上を過ぎたさまざまな土木関連施設が対象で、毎年20件程度を認定している。