第37話 凍道チャンネル「祟神機関八咫烏スペシャル⑫」

「同じように、朝廷の失墜と武士政権のきっかけを作ったのは崇徳天皇の呪言のせい、みたいな創作がされてるけど、実際にそのきっかけを作ったのは、藤原四兄弟や足利義満のように天皇の祖父となろうとしていた平清盛もまた、「平家にあらずは人にあらず」とかいう驕り高ぶったセリフを言ったのだと伝わってる。といってもこれ、清盛が言ったセリフじゃないんだよね。平時忠が言ったセリフ。知ってる?平時忠」


『知らないのだ』『誰?』『大納言どののだ』


「今日は平家物語オタクもおるねwそう、平大納言、時忠。平時忠は平氏なんだけど、清盛とは別の流れの平氏なんだよ。高棟流っていって、高棟王っていう臣籍降下した皇族の流れ。清盛は同じく高望王って臣籍降下した皇族の流れ。つまり、今の時代に佐藤さんだといっても、別に佐藤一族で全部つながってるわけじゃないように、違う流れの平氏だったんだよ。時忠は公家平氏、清盛は関東をおもな根城としていた武士平氏の流れ。だから、清盛が皇族の親戚にまで出世したってのは、会社で佐藤専務が次期社長候補にまで登りつめたんだけど、別の佐藤家出身の役員である時忠常務は苦虫を噛み潰してたとか、そんなかんじ。時忠の流れはどっちかというと清盛と対立して、対清盛では天皇側についてた勢力ではあったよ」


『なんで負け筋が平氏じゃないのは人じゃないとか言ったのだ?』『はえー平氏って一種類じゃないンゴね』


「で、この時忠が平家物語で平家にあらずは人にあらずとのたまうわけだけど、それ以外にも時忠は時々登場する。たとえば三種の神器のくだりだね。壇ノ浦で安徳天皇と草薙の剣が海の底へ入水したあと、源氏武士が船に乗り込んで三種の神器が入ってる箱を見つけ、こじあけようとすると目眩におそわれ、鼻血をふいてしまう。美味◯んぼかな?」


『いけませんのだ!』『鼻血が・・・』『連載は休止中です!』


「で、時忠がのたまう。「それは神器なる!凡人が見ようとしてはならぬ!」と。これも完全に祟りエピソードだよね。神器は、凡人は見ようとするだけで鼻血を吹いて倒れるんだよ?もし肉眼で直視したら死んじゃうんじゃないかな?そう、平家物語を聞いた人は思うだろうね。三種の神器を見てやろうなんて、恐れ多くてたくらめないようになるだろう。こういうのも朝廷、天皇によるプロパガンダだと思うけどねえ」


『またアカデミアの席がぶっとんだな』『ワロタ』


「時忠は神器を回収した功で、平氏の偉いやつだったのに死罪を免れたことになってる。後白河法皇といっしょに源義経に近づいていろいろ吹き込んだっぽい。その後、義経が頼朝に討伐された原因は、後白河法皇と平時忠の策謀にしかみえない。まあ義経も野心があってだろうけど、軽率だったね。うまく手のひらで転がされて神輿にされたけど、武士は頼朝を主と見てたから謀反に失敗。あえなく捨てられたって感じ。平時忠も、まるで朝廷の恨みを代弁するかのように、平氏は驕ったからだめだったのだって語り部のよう」


『義経って乳丸出しの人だっけ』『悲しいのだ』


「ところでさあ、1200年代前半に誰かが作ったとされるこの平家物語ってさ、三種の神器は「剣は壇ノ浦に沈んで見つからなかった」「勾玉は海女が壇ノ浦を潜って捜索し見つけた」「鏡は時忠が確保して朝廷に返した」ってなってるのね。そして、三種の神器について、なぜか平家物語では「三種の神器草薙の剣は崇神天皇が本物を伊勢神宮に収め、それを景行天皇が持ち出したが熱田で死亡したので熱田神宮に収められた」みたいな逸話がでてくるわけ。800年頃書かれたという「古語拾遺」の1200年代前半の写本にも、三種の神器は剣と鏡はあくまでレプリカを天皇が持っていたので壇ノ浦に沈んだのはレプリカだ、とでてくるわけ。でもおかしくない?認知プロファイリングするまでもないかな。崇神天皇が、三種の神器なんて超重要なものをどうこうしたなら、なんでそれ古事記とか日本書紀に書かれてないの?」


『あっ』『あっ察し』『あっ』


「これさー、本当は三種全部本物が壇ノ浦に沈んだでしょ。で、勾玉だけは回収できたから、勾玉は本物だったことにして、剣はあくまでレプリカだったことに。鏡はレプリカで戻ってきたことにしたでしょ。で、古語拾遺とかの、書き換えられる歴史書を書き換えて、三種の神器は崇神天皇の時代にレプリカを作ったことにしたでしょ。だから古事記とかには、レプリカを崇神天皇が作ったことは記されなかった。そして、なぜ崇神天皇がレプリカを作ったことにしたのか?認知プロファイリングをすると、やはり崇神天皇こそが実在した初代の最強天皇で、それ以外の天皇がレプリカを作ったことには恐れ多くてできなかったんじゃないか?」


『こちらがアカデミアの席が爆発した跡地です』『いや面白いけど現存する三種の神器は偽物説はいけませんよ!』『これは戦時中なら特高につれていかれますわ』『これが凍道味(み)なんだよなあ』


「余談だけど、実は源頼朝もまた、平清盛と同じく、天皇の親戚となろうとした野心家ではあったんだよ。ただ、義経とは後白河法皇のせいで揉めさせられ、朝廷工作の協力者だった一条親子がいきなり病死し、頼朝もいきなり病死したからかなわなかったけど。本当にこれ偶然なのかな?これも崇神天皇からはじまった、病気を操る朝廷の特務機関による暗殺とかじゃないのかな?一条親子なんて20代と50代なのにほぼ同時に死んでるんだよ?」


『偶然だぞ』『偶然のだ』『怖いからその辺にしとくのだ』


「日本の朝廷(天皇)ってのは世界でも最長の皇族で、朝廷ってのは、崇神天皇が400年頃とすると1600年ちょっと続いてるわけでしょ。普通、王朝ってのは滅んだりして、前の王朝にはこだわらないから、ある意味ではそのおかげで、正しい歴史がそのまま残ったりするわけ。でも、日本の場合、都合の悪い歴史を書き換えようという動機がある朝廷(天皇)がずっと滅ばずに存在しつづけた。そんな日本の歴史が、朝廷(天皇)の都合のいいように書き換えられなかった、なんてのはただの甘い考えで、どう考えても朝廷(天皇)による歴史の書き換えやプロパガンダは行われてきたと見るべきなんじゃないか?それが俺の認知プロファイリングなのよ。朝廷特務機関、仮称『八咫烏』が暗躍し、都合の良い歴史を書いた。その被害者が、朝廷(天皇)の権力を脅かした結果、驕り高ぶった発言をしたことにされたり、潰された、藤原四天王、藤原道長、平清盛、源頼朝、足利尊氏、足利義満、織田信長といった日本で革命を起こし王になれたかもしれなかった、そしてだからこそ朝廷(天皇)に潰された英雄達。朝廷(天皇)とはただ平和に残ってきたのではなく、ときの権力者達と謀略で戦い、そして勝ち残った、謀略においては最長にして最強の勢力だったんじゃないかなって」


『言い過ぎw』『不敬罪ですの!』『あーあ ポイント・オブ・ノーリターンだよ』『終わりだね』『終わり』『面白かったのだ』


「ポイント・オブ・ノーリターン?なにそれ?それじゃ、今日のスペシャルはこれまで。おついて~」


『おついて~』『おついて~』『あーあ』『おつ~』『おついて~』

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認知プロファイリング探偵松尾光 暇空茜 @himasoraakane

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