連載〈SNSと選挙〉②全3回
2024年は衆院選や東京都知事選、兵庫県知事選などで、YouTubeでバズった(話題になった)政党や候補者の躍進が目立ち、「SNS選挙元年」とも言われた。
動画の作成や配信を担い、今や選挙結果を左右するほどの影響力を持つに至った「政治系YouTuber」とはどんな人たちなのか。3回にわたって紹介する。(佐藤裕介)
切り抜き動画 オリジナルの動画の一部を抜粋し、解説などを加えて編集した動画。特定の政治家や政党の配信動画を素材とした切り抜き動画がYouTubeやTikTok、Xで繰り返し再生され、選挙結果に影響したとみられるケースも増えている。若年層の人気を集める数十秒~数分ほどの「ショート動画」にも使われる。
◆石丸伸二氏の「推し活」からYouTuberに
北海道の会社員、時海(ときうみ)流太郎さん(32)=仮名=は、兼業で政治系Youtubeチャンネル「ガッツリ国会ch【葉子の政治解説】」を運営する。編集や配信の作業は全て、北海道内の自宅で完結させている。
時海さんは、昨夏の東京都知事選で約165万票を獲得して話題となった石丸伸二氏の「推し活」を経て、YouTuberになった。まず、Instagramで「石丸伸二.com【応援チャンネル】」を開設し、石丸氏に関する切り抜き動画の投稿をスタート。フォロワーは1800人ほどまで伸びた。
昨年9月ごろから「政治に関心を持って発信する人が増えないと、社会制度は変わらない」と考えるようになり、YouTubeチャンネルも始めた。
◆釣り見出しは書かないと決めている
時海さんは、平日の午後9時ごろからPCに向かい、政党幹部の記者会見や国会中継をチェック。奈良県在住の共同作業者「葉子」さんと電話やLINEでやりとりし、注目を集めそうなテーマを選定する。
葉子さんは、そのテーマについて解説する動画をスマホで自撮りし、時海さんにデータを送信。時海さんは、記者会見や国会中継の動画から必要な部分を切り取り、葉子さんの「解説動画」を織り込みつつ、10分程度にまとめる。動画の「表紙」となるサムネイル画像を付けて公開する。
必要な機材はスマホとPC、それに動画編集ソフトとネット環境だけ。1本の動画編集にかかる時間は5時間程度だ。
サムネイルに埋め込む「見出し」について、時海さんは「多少は強気な書き方でないとクリックされないが、うそや(内容を誇張した)釣り見出しは書かないと決めている」と話す。
◆聞き取りやすいリズムを意識
現場に足を運ぶYouTuberもいる。「伝統保守チャンネル―最期は笑って」を運営するkokoさん(36)は1月20日夜、東京都世田谷区内で、参政党の松田学前代表の街頭演説をライブ配信していた。
松田氏は、昨秋の自民党総裁選で高市早苗氏が石破茂氏に敗れたことに触れ、「どうも隣の大きな国の力が働いたみたいですね」などと主張。数十人の聴衆が「そうだ!」と応じ、拍手を送っていた。
気になる政治テーマがある時は、自身の考えを解説する動画を発信することも。編集では「あの」「その」など話の流れを中断するつなぎ言葉をカットし、聞き取りやすいリズムを意識しているという。
◆編集せずに配信すればセーフ、無断で切り抜くと
自分で撮った街頭演説の動画や、政党の公式な記者会見動画などの切り抜きを配信することに、法的問題はないのだろうか。
著作権法に詳しい中島博之弁護士は...
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