余生で使い切れないほどの巨万の富を築いた実業家たち。彼らは何が生きがいなのか。何に幸せを見出すのか。ご本人に直接聞いた。
年収3億4000万円!
「私の父から授かった言葉に『富貴在天』というものがあります。人のためになるような道理にかなった行いをし、生きていることに感謝を忘れず、しっかりとした目標を持って日々真剣に生きること。そうすれば、おカネは天から降ってくるものだと諭すよう伝えてくれた父親の言葉は、今も私の中で生きています」
こう話すのは、エディオン会長の久保允誉氏(75歳)である。久保氏は父が創業した家電小売店を'92年に継承し、中部と西日本を中心に約1200店舗(フランチャイズ店含む)を展開する巨大家電量販チェーンに育てた。
同社の株式を225万株保有する個人筆頭株主であり、配当収入と役員報酬を合わせると収入は年間3億4000万円にも上る。紛れもなく日本屈指の大金持ちである。
そんな久保氏は「幼い頃からおカネに執着はなかった」と言い切る。
「祖父の時代は戦前から刀剣屋を営んでいて、父は戦後、(エディオンの前身となる)第一産業を起こしたので、多くの従業員のいる環境で育ちました。恵まれていたのだと思います。ありがたいことに、おカネについては困ったという経験はありませんでした。だからかな、おカネへの執着心というものがないのです。
私生活においても、仕事の面においても、『おカネが欲しい』と思ったことは、実は一度もありません。まず自分の何かしたいという思いが、お客様や地域の人たちの利益になるかどうか。そこからスタートすると、不思議とおカネに困ることはありません。おカネは稼ごうとして稼げるものではない、ということですね。綺麗事に聞こえるかもしれませんが、本当です」