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犬飼貴丈いぬかいあつひろ
俳優

犬飼貴丈

1994年生まれ、徳島県出身。2012年、「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞。17年、『仮面ライダービルド』で初主演をつとめ注目を集める。主な出演作に、映画『イタズラなKiss THE MOVIE Part3 プロポーズ編』『GOZEN-純恋の剣-』『ぐらんぶる』、ドラマ『サレタガワのブルー』『ケイ×ヤク-あぶない相棒-』『初めましてこんにちは、離婚してください』、舞台「七転抜刀!戸塚宿」など。NHKでは、プレミアムドラマ『おしい刑事』『やっぱりおしい刑事』、大河ドラマ『青天を衝け』、朗読番組『おやすみ王子』ほかに出演。連続テレビ小説『なつぞら』に続き、24年度後期連続テレビ小説『おむすび』では、言語聴覚士・杉沢聡として存在感を示している。

50音
「い」
出身地
徳島県

 

 杉沢聡は、大阪新記念病院で働く言語聴覚士。主人公の米田結(橋本環奈)が所属するNST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム※)の一員です。朝ドラは『なつぞら』に続いて約6年ぶり。最初に『おむすび』出演のお話をいただいた時は、朝ドラにまた帰ってこられたんだなという喜びがありましたね。言葉にフォーカスした言語聴覚士という役を演じるにあたって、友人の医師にこういう役をやるんですっていう相談をして、所作などを教えてもらったりしましたね。
※患者さんの栄養管理を多職種で実施する医療チーム

 

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杉沢聡は、「話す」「聞く」「食べる」に関するリハビリを担当する言語聴覚士。NSTメンバーの一人

 

 病院にいる職員の方って、基本的に笑顔で明るくて優しいイメージがあるんです。病院に入院している方は不安な方が多いから、こっちとしてはその不安を少しでも取り除いてあげられるような話し方だったり、表情だったりっていうのを、言語聴覚士だという以前に、人としてそういったところを意識しなきゃいけないなと思いながら演じています。初めて共演する方も多い現場なのですが、心地よさと安心感があって空気感はすごく良いんです。カメラが回っていない所でもNSTそのままって感じの楽しい雰囲気なんですよ。

 

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患者それぞれの飲食物を飲み込む「嚥下(えんげ)機能」について、情報をNSTメンバーに共有する

 

 杉沢の人物像、表には出ない裏設定をまとめた資料を、撮影が始まる前にプロデューサーさんからいただいていて、それには杉沢がなぜ言語聴覚士という仕事を選んだのかというようなバックボーンが書かれていました。そういう設定や事前の認識があったから、杉沢という人物を深く知ることができて役に入り込めたというか…、彼が何を大事にしていて何をしたいかが理解できたので、演じるうえですごく助けられました。実は彼は、ロックとコーヒーが好きなんです。僕自身も楽器を弾いたりバンドをやっていたので、杉沢に親近感を感じるというか、役と自分がリンクしている感覚がありますね。

 

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普段は、ロックファッションを着こなす

 

 この役を演じてみて、患者さんは「患者さん」である前に一人の「人」であって、それぞれに人生があるんだという、そういう忘れがちな感覚に気付かされましたね。入院という、人生のターニングポイントに僕たち病院職員が関わって、その人の人生を背負うというわけではないんですけど、少しでもいい方向に向かうようにしていくみたいな。大切なのは結局、人と人の関わりなんだと。NSTのメンバーになった結が患者さんにどんな影響を与えていって、最終的にどのように人と人がつながっていって、輪になっていくか…。結がこれまで培ってきたこととか、今後人にどんな影響を与えていくのかっていうのを楽しみにしていただければと思います。

 

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 このお話をいただくまでは、鹿児島の桜島については深く知らず「名前はもちろん聞いたことがある」程度の認識でした。桜島付近は噴火も多く、降灰すれば洗濯物を干すことも困難な土地です。農作物にも多大な影響が出る、そんな桜島で鹿児島市の災害対策にあたる職員、森薗洋平役を演じています。森薗は、過去の噴火災害に向き合いながらも、それでも桜島を愛しているんです。

 

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森薗洋平は、鹿児島市で災害対策にあたる職員

 

 僕も自分の地元の徳島県が大好きで、毎年仕事で阿波おどりの時期に帰らせていただくんです。仕事が終わって、次の日に仕事がない時とか阿波おどりを見に行ったりして。そういう意味で、自分の生まれ育った土地を大事にしている森薗は僕に似ているかもしれないなと思いますね。

 

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恋人の坂元知花に、距離を感じている

 

 鹿児島の方言を覚えるのは本当に難しかったです。初めての言語に触れたような気がして、新鮮な気持ちになりましたね。ただ、オール鹿児島ロケで行われた撮影で、僕はまるで旅行にでも行っていたんじゃないかというくらい楽しんでいた思い出があります。撮影が終わったら、「何をしようかな」とか「何を食べようかな」とか(笑)。一人で鹿児島を満喫していましたね。

 

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 小芝風花さんとの撮影もすごく楽しかった思い出です。小芝さんはお芝居ももちろん素晴らしいですけど、人柄がすごく素敵な方だと思いましたね。フランクで接しやすくて。「やりづらくないですか?」とかいつも細やかな気遣いや気配りをしてくださっていて。僕としてはお芝居も、オフの時も、すごく自由にやらせていただいたなという印象があります。

 

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知花(小芝風花)を守り亡くなった父を思い涙する知花。手を握って安心させる洋平
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 記念すべき初めての大河ドラマ出演作です。僕の周りは大河ドラマファンが本当に多くて。母親や祖父や祖母に報告したときに本当に喜んでくれましたね。僕も親孝行が出来たような気持ちになって、すごくうれしかったですね。

 

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福地源一郎は、外国奉行の通詞(つうじ)を務め、海外事情に精通する

 

 僕が演じた外国奉行支配の福地源一郎は、長崎で蘭学を学び、外国奉行の通詞(つうじ)として活躍します。幕府使節の一員として二度渡欧したことで開かれた新しい文化を体感して、新聞記者への夢を抱き、維新後は大蔵省に入ります。そしてやがてジャーナリストに転身。そのあと友人である渋沢栄一(吉沢亮)から徳川慶喜(草彅剛)の伝記についての相談を受けるんです。歴史上の人物を演じると、その方の情報を集めて再考したり学んだりして、新鮮な視線を持ち直せるのがうれしいんですよね。

 

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維新後は東京日日新聞の記者となる

 

 時代が江戸時代末期から昭和初期にかけての物語で、登場人物が全員、自分の信念や志をきっちり持っていると感じました。何かに向かってまっすぐに生きている人が多い、純粋な時代だったと思うんです。今の時代は良いか悪いかは別にして、信念が無くても普通に生きていけますよね。昔の人たちが信念を持って良い時代を作ってきてくれたからこそ、今のような平和な時代がある。この役を通じてそういうことを忘れないで日々を大事にしていきたいと感じるようになりました。

 

人物録_犬飼貴丈さん_青天を衝け_3

 

 渋沢栄一を演じられた吉沢亮さんには、この作品に取り組む姿勢のすごみを見せていただいたような気持ちがあります。主人公を演じる吉沢さんのスケジュールはタイトなので、自然と体重も落ちていってしまうそうなんです。でも、渋沢栄一は恰幅(かっぷく)がいい役柄だったので、それに少しでも近づけるために、わざわざ食べてから寝るようにしていたと聞いて。役に対して取り組む姿勢を勉強させていただきました。

 

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 圧倒的な「ゆるさ」みたいなものがこの作品の最大の魅力なんじゃないかと僕は思っていて。もちろん、トリックは緻密に練られたちゃんとしたものなんですが、どこかちょっとズレていて面白い。クスッと笑えるようなコメディに全振りしている刑事ドラマって今までにあまり無かったので、そこがすごく良いなって思うんです。

 

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横出徹は、刑事課強行犯捜査係の刑事

 

 僕の演じる横出徹は刑事課強行犯捜査係の刑事。主人公の押井敬史(風間俊介)とコンビを組んで事件を解決していきます。押井は検挙率100%の伝説の刑事だったのですが、とある過去により広報部に左遷されて…。しかし、突然の辞令で現場に復帰。優れた推理力で犯人を追い詰めるもいつも最後は思わぬ展開で手柄を横取りされてしまう、そのドタバタ感も楽しいんですよね。

 

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主人公・押井敬史(風間俊介)の後輩だが、押井を見下していうような態度を取る

 

 風間さんのお人柄のおかげで、みんなが萎縮せずに発言できるような、本当にアットホームな空気っていうのが現場に流れていて。キャストもスタッフも全員それに引っ張られて、すごい和気あいあいとした感じで撮影していたんですよ。みんながリラックスして、自分がやりたいことを自由にやれた環境が、画面越しにも伝わってより良い効果が出たように思います。休憩中もお互いが好きなラーメンの話をしたり、風間さんに影響されて僕もディズニーの年間パスポートを買ったり。今でも風間さんとはコンスタントに連絡を取ったりしていて。ちょうど昨日も連絡していましたね(笑)。

 

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並外れた推理力で押井が犯人を追い詰めるものの、最後の最後に横出や同僚たちが、手柄を横取りする

 

 横出徹というキャラクターの、上下関係を気にしない性格や、話し言葉のくだけた感じ…、いつもの自分とはかけ離れたキャラクターだったんですが、演じ慣れていくとそういう別の人格でいる自分が単純に楽しかったですね。他人に対して「こう思われると嫌だな」とか「これ言うとこう思われちゃうな」ってことを、気にせずあえて失礼な態度ができるので(笑)。でも撮影が終わってからも自然と横出の口調になってしまって、その癖が抜けるのに苦労しましたね。

 

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 僕が演じる山田陽平は、主人公の奥原(坂場)なつ(広瀬すず)に大事なことを告げる役割が多かったように思います。北海道で生きる決意をした弟の山田天陽(てんよう/吉沢亮)の決断を、家族の一員としてなつに伝えたり…。最も印象深かったのは、陽平自身も、天陽の死を受け入れられていない状況にも関わらず、なつにそれを知らせるシーン。

 

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山田陽平は、主人公・奥原(坂場)なつ(広瀬すず)の幼なじみ、天陽(吉沢亮)の兄。なつがアニメーターを目指すきっかけを作る

 

 天陽の死を伝える時に僕自身が苦労したのは、陽平の人物像に迫るシーンの少なさです。描かれていない分、自分で彼の人物像を補完しながら演じないと、と思ったんです。変に作り過ぎてしまわないように、台本の行間までをしっかりと読み込んで、自分が作りあげた陽平が勝手に独り歩きしないように注意しましたね。本当のことを伝えなきゃいけないんだけど、言いづらい葛藤、形にならない部分を意識してお芝居したのを覚えてます。

 

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天陽が亡くなったことを報告しようとなつを呼び出す

 

 僕はプライベートでも、アニメが好きでよく見るんですけど、山田陽平を演じるにあたってたくさんの資料をいただきました。もともと好きで身近な分野だったこともあり、スムーズに頭にセリフも入ってきたし、アニメの専門的な技術を勉強するのも、自分の知識が増えていくようで楽しかったです。演じた後には、多くの方がどれだけの時間をかけて作品を作っているんだろう?みたいな新しい視点も増えた感じがします。

 

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 途中から撮影に参加させていただいた『なつぞら』でしたが、そんな僕にも皆さんが気さくに話しかけてくださったり。ヒロインの広瀬さんは、本物のなつみたいな、本当に人懐っこくて誰にでも平等に接する方で。途中から入ってきた僕が居づらくならないような雰囲気を作って下さったりして。現場もすごく良い雰囲気で、楽しく過ごせたので、難しい役ではあったんですが良い思い出ですね。

 

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