「なんだか疲れやすい」「寝ても疲れがとれない」。そう感じたことはありませんか?実はそれ、自律神経の乱れが原因かもしれません。改善のカギは体と心、双方にアプローチすることです。本記事では「体」の疲れをとる簡単習慣を紹介します!最後に今すぐできる「心と体をゆるめるプチ技」情報もあるのでお見逃しなく!!
教えてくれたのはこの2人
久手堅司さん(くでけん・つかさ)さん「自律神経失調症外来」等を開設する、せたがや内科・神経内科クリニック院長。『不調にさよなら! 自律神経を整える50のこと』(宝島社刊)他著書多数。
久手堅さんのコメント
「体がだるい、やる気が出ない」など、一般的に“疲れ”と捉えられている症状の多くは、自律神経の乱れによる“不調”です。病院で検査しても異常は出ないため“ただの疲れ”で片づけられがちです」
漢方専門医、帯山中央病院理事長。1997年に北里研究所で日本初の「冷え症外来」開設。『医師がすすめる漢方生活:365日の養生』(Gakken刊・共著)他著書多数。
体の疲れをとる鍵は「筋肉の緊張を緩める」こと
「何かと忙しい現代人は、交感神経の働きが過剰になりがち。常に全身に力が入り、筋肉が緊張している状態が続いています」と久手堅さん。自律神経のバランスを取り戻すには、まずは適度な運動や、深くゆっくりとした呼吸などで、筋肉の緊張をゆるめることが近道だと言います。
さらに、漢方専門医の渡邉賀子さんによると「漢方医学では“冷え”も自律神経の乱れと密接な関係があるとされています。ハルメク世代の女性は、加齢にともなって筋肉が減り、冷えやすくなっています。冷房の効いた室内で過ごすことが多い夏は、特に要注意です」とのこと。
そこで次からは、久手堅さんと渡邉さんに聞いた、家で簡単にできる「体の疲れをとる10の習慣」をご紹介します。
体の疲れをとる小さな習慣10選
1. お風呂はぬるめが正解熱過ぎるお風呂は交感神経を刺激する上、血圧の乱高下につながるのでNG。筋肉をゆるめるだけでなく、内臓から温めるためにゆったり浸かれる38~41度がベスト。体温がゆっくりと下がるタイミングで入眠できるよう、寝る2時間前の入浴がおすすめ。(久手堅さん)
2. 夏こそ腹巻きをする自律神経は深部体温の調整機能を担っており、寒暖差が7度くらいまでなら無理なく調整できます。が、夏場に冷房の効いた室内と灼熱の屋外とで10度以上の差があると要注意。室温の低い部屋に長くいる場合は、腹巻きなどでお腹を温めておくことが大切です。(渡邉さん)
3.ホットタオルで目元を温める目のまわりを温めると、脂を出すマイボーム腺を刺激し目を保護してくれます。さらに副交感神経優位になってリラックスできることが知られています。疲れたなと思ったら自分が気持ちよく感じる温度のホットタオルを目元に数分当てるのはとても効果的です。(渡邉さん)
4.よく噛んでゆっくり食べる噛むことで副交感神経の働きが高まるだけでなく、唾液がたくさん分泌され、消化吸収がよくなります。胃腸の不調は自律神経の乱れに直結するので、その意味でもよく噛むことはおすすめです。ちなみに、メジャーリーガーがベンチでガムを噛むのは、緊張を和らげるためといわれています。(久手堅さん)
5.夕食は鍋がおすすめ自律神経の調節には食事も大切な要素。摂取カロリーの約75%は、体温維持に使われるため、大豆製品などのたんぱく質や緑黄色野菜を中心にバランスよく食べることが重要です。魚、肉、野菜など多くの食材を温かい状態でとれる鍋は、暑い季節にもおすすめです。(渡邉さん)
6.ストレスを感じたら酸っぱいものを漢方医学の考えでは、「肝」は心と体を結び自律神経調節の役割を担っているので、「肝」が不調になると自律神経が乱れ、頭痛や肩こりが生じ、怒りっぽくもなります。酸っぱいものは「肝」の働きを整え、高ぶりも抑えてくれます。ストレスを感じたら、柑橘類、梅干し、酢の物をとりましょう。(渡邉さん)
7.楽しくなくても笑顔をつくる笑う=リラックスすることは、副交感神経を刺激しますが、楽しくなくても口角を上げるだけで「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンやオキシトシンが分泌され、副交感神経の働きを高めてくれます。心と体を軽くするため、笑えないときこそ笑顔を心掛けて。(久手堅さん)
8.時には思い切りおしゃれをする夜や睡眠時は、締め付けのない服でリラックスして副交感神経優位にするのがおすすめですが、友達とお出掛けするときなどは、バシッとおしゃれして、交感神経優位の活動モードに。交感神経・副交感神経それぞれの働きが優位になるよう、メリハリが大切です。(渡邉さん)
9.座りっぱなしはNG!!1時間に1回は立ち歩く座ると、猫背や反り腰になりやすく、骨格がゆがんで脊髄が圧迫されます。脊髄は自律神経の通り道なので、この状態が続くと、バランスが乱れる原因に。筋肉を動かすためにも、1時間に1回は立ち歩きましょう。軽いストレッチを加えるとさらに効果的。(久手堅さん)
10.すきま時間の習慣にしたい「あごエクササイズ」自律神経の不調は筋肉の過緊張や食いしばりにつながり、歯だけでなく肩こりや頭痛などの悪影響も。口を軽くあけ、下あごだけゆっくり前に出して数秒キープし、戻して口を閉じる。これを5回繰り返したあと口を開け、下あごを左右にゆっくり5往復。すきま時間の習慣にしましょう。(渡邉さん)
心と体をゆるめるプチ技紹介
ツボ押し気持ちを落ち着かせ、副交感神経の働きを高めるツボをご紹介。いきなり強く押すのではなく、1、2…と数えながら少しずつ力を入れ、気持ちいいと感じる程度の圧で約5秒押したら、1、2…と数えながら離します。これを数回繰り返しましょう。
【神庭(しんてい)】
鼻の延長線上で、髪の生え際より指1本分上。イライラや落ち込みなどに効果的。
【膻中(だんちゅう)】
左右の乳頭を結ぶ線の真ん中。過緊張や不安感などに効果がある。
【曲沢(きょくたく)】
ひじの内側、曲げたときに出る腱の小指側にあるくぼみ。精神を安定させる作用がある。
【神門(しんもん)】
手首の内側、曲げたときにできるしわの上で小指側のくぼんだところ。不安やイライラ、気分の落ち込みに。
呼吸は、自律神経のオン/オフの調整を、自分の意志で直接行える唯一の方法。息を吸うとき交感神経が、吐くとき副交感神経が優位になります。5回を1セットとして、1日3~4セット行うことで、自律神経のバランスが自然に整います。
【準備】
背すじをしっかり伸ばし、骨盤を垂直にしていすに座り、肋骨の下に手を添えます。
3秒かけて口から吐く
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5秒かけて鼻から吸う
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5秒かけて口から吐く
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5秒かけて鼻から吸う
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3秒かけて口から吐く
次回は、心の疲れをとる簡単習慣7選を紹介します。
※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。
取材・文=松尾肇子、原田浩二(ともにハルメク編集部)、イラストレーション=金子なぎさ
※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年7月号を再編集しています