「服のサイズ大丈夫か?」
「助けてもらったうえ服まで.......本当にすいません」
ノクスは血で汚れた少年を連れダンジョンに備え付けのシャワールームまで行くとシャワーを浴びている間に汚れた服の代わりの服を上のバベルで買ってきたのだ。
その際少年はすごく申し訳なさそうにしていたのだがこちらの責任でもある事、そしてもらえるべきものはもらっておけと言って半ば無理やり服のサイズを聞き出したのだ。因みに中層まで一緒に上ってきたロキ・ファミリアに何も言わず先に戻るのはいけないと思いアイズに礼と先に戻る理由を伝えたので問題ないだろう。
「謝らないでくれ。むしろ謝るべきはこっちなんだ。本当に不手際のせいで危険な目に合わせてしまって申し訳ない」
ノクスはシャワーで血を流してきた少年に対して頭を下げ誠心誠意謝罪する。明らかに非はことらにあるので被害者の少年に謝られては立つ瀬がない
「わっわわわ、頭を上げてください!僕だって調子に乗って五階層に来てしまったのが悪いんですし大丈夫ですって!」
「だが.............せめて何かさせてほしい。食事でも装備のことでもでもなんでも要望を聞くから何でも言って欲しい」
「えぇぇぇ!?服もらったのにそこまでされるわけには...........」
(謙虚すぎやしないか?普通ぶんどれるだけぶんどる場面だろ...)
ノクスは目の前の少年の余りの謙虚さに少し心配すら抱く
「.......迷惑かけたこっちが言うのもアレだがもう少し貪欲ににならないと損するぞ?」
「はははは..............実は同じこと神様にも言われた気がします」
苦笑いを浮かべそう言う少年にノクスはやはりかと内心で思っていた
「ここまで謙虚な冒険者なんて絶滅危惧種みたいなもんだぞ...........それより名乗ってなかったな、俺はアルテミス・ファミリアのノクス・リータスだ。年が近いと思うからもっと砕けた感じで接してくれないか?」
「そこまでですか.............僕はヘスティア・ファミリア所属ベル・クラネルです。えっと.........じゃあよろしくノクス!」
(ヘスティア.............あれ?なんか聞いたことある気がするな..........)
「とりあえず謝礼の件は後にしてギルドに行かないか?換金だけさっさと済まようぜ?」
「ホントにいいのに.......でもそうだね行こうか」
**
「五階層に行ったですってーーーーー!?!?」
「ごめんなさいエイナさん!!」
俺たちがギルドに行くとベルは俺の担当アドバイザーでもあるエイナ・チュールに怒られていた。
「全く.............ノクスが間に合ったからよかったもののあと一歩で死んでたかもしれないのよ?」
「エイナもそのくらいにしてあげなよ。今回に限っては俺にも非があるわけだし」
「もう、それもそうだけど......大体ノクスもよ!本当はパーティー組んで欲しいんだよ?いくらノクスが強いのは知ってても下層のソロ攻略は危険なんだから」
「それはまぁ、仕方ないだろ?それに偶には成り行きで組むから許してくれって」
ノクスのファミリアは全滅しただのどうのとの噂と以前少しした件でノクス自身が怯えられてしまい人員が増えないのだ。それも知ってるからこそエイナはそれを言われては言い返せない。
「はぁ~本当は金属装備もつけて欲しいけど個人の戦闘スタイルにあまり口を出し過ぎてもいけないし.........」
エイナは心からの心配で少しでも安全にするため金属装備を付けて欲しいと思っていたりするのだがノクスは試す素振りすら見せないためもうほとんど諦めていた。
「でもまさかノクスも担当アドバイザーがエイナさんだったんだね」
ベルはそんな二人の砕けたやり取りを見て仲良さげだな~と暢気に思っていた。実際ノクスとエイナの年は1つしか違わなく、変にお互い敬語を使うよりも関わりやすいと理由から砕けたやり取りをするようになったために仲もいい。
「それは俺も驚いたよ。でもよかったなベル?エイナは本当に優秀なアドバイザーだから言うことは聞くほうがいい」
「そう思ってくれるなら君もある程度固定のパーティーメンバーをせめて一人くらいは作って欲しけどね?心配してるんだから」
「心配させてるのは心苦しいけど......まぁ、それは追々....な?」
2人のやり取りを本当に仲が良いなぁ~という風にしか見てないベルはノクスの言うことは聞いたほうがいいという言いつけに対し元気な返事を見せその場はお開きとなった。
**
「ねぇ、ノクス?わざわざ神様にまで謝罪しに来なくても.........」
ノクスはギルドから出ると自らベルの主神への謝罪がしたいと申し出た。そしてその道すがらに買った菓子折りをもってベルの案内の下ベルのホームに来ていた
「あのなぁ~ベル?お前がもしこれからパーティーができたとしてそのメンバーを危険にさらした相手がいて何も謝罪しない相手をどう思う?」
「そ、それは...........」
「それにな?家族ってのは本当に大切な存在なんだ。それが一人だけとなればなおさらだ。いいかベル?自分の価値を見誤ったらいけないぞ?」
ノクスだからこその含蓄のある言葉。ベルもノクスの表情から何かを感じ取ったのか黙り切ってしまう
「?どうしたベル暗い顔して...........ほら中に入ろうぜ?って謝罪に来た奴が言うことじゃないけど」
「う、うん。さぁ、こっちだよ」
(ノクス.........もしかして昔何かあったのかな?)
**
「本当に申し訳ありませんでした!」
ノクスは中に案内されると神ヘスティアに自己紹介し挨拶すると訪問理由を伝え謝罪をする
「なッ!?君のせいでベル君が死にかけただって!?」
「ちょ、神様それは僕も.....「ベル君は少し黙ってて!!」....はい」
「ベルいいんだ。これは完全に俺が悪いんだからベルは堂々としてないとダメだぞ?」
「.......わかった」
人が好過ぎるベルは納得はしていないようだが一応はこの先を見届けるつもりになったようで申し訳そうなのは隠しきれてないが俺の言う事を心掛けるようにしていた。
ヘスティア様はかばおうとしたベルに真剣な表情でそう告げるともう一度こちらに怒りの籠った視線を向ける。
「君もわかってると思うがベル君はまだ初心者なんだ!そんなベル君がミノタウロスなんかと遭遇したらひとたまりもないことくらいわかるはずだろ!!」
「言い訳するつもりもありません。責任は自分にあります。本当に.........本当にすいませんでした」
ノクスは再び深々と頭を下げて謝罪する。
「.................でも、君がベル君を助けてくれたことには素直に感謝する。もし、君みたいな真面目な子じゃなかったらベル君は今頃死んでいたかもしれない。だからそこは本当にありがとう。でも二度とこんなことがないように気を付けてくれよ?今回はベル君を助けてくれたこともあるから許すけど次は許さないからね?」
「はい必ず。二度とこんなことがないように努めます」
「さて、説教はおしまいとして......にしても君がアルテミスの子とはね~あの子が男の子を眷属にするのも驚きだけど........やっぱりこうして正直謝りに来るあたり君はアルテミスの子だよ」
先程までの怒っていた雰囲気はなくなりとても接しやすい女神さまといった雰囲気になるとそう話題を切り出してきた
「もしかして知り合いなんですか?」
「そうだとも!アルテミスはボクの神友だよ。聞いてないかな?」
ノクスは少し記憶を探るように視線を上にそらす。そう言えば昔聞いた気がするとぼんやりながら当時の記憶を呼び起こす
「そう言えば昔聞いたことがあります。まだ小さいときに聞いた話だったので今思い出しました」
「そうかい。それでなんだけどアルテミスは元気かい?」
「...........はい。〝今〟は元気ですよ」
どう返そうか悩む質問だった。確かに表向きには元気だと思う。でも本当のところはきっと違うのかもしれない。だからこそ......
「..........そうか。アルテミスにボクが会いたがっていると言っておいてくれたまえ」
どうやら流石は神と言うべきか言葉の裏の意味を察してくれたみたいだ
「?」
ベルは流石にわからなかった様子だ。まぁ、他人に言いふらすような話でもないためそれいいだろう
「はい必ず。きっとアルテミスも喜びます...........あっ、これつまらないものですがせめてもの気持ちです」
ノクスは道中で買ったものを差し出す
「こういう律義なとことか本当に君はアルテミスの子だね...............ってこれは!?」
「あの~嫌いなものですか?」
ヘスティアは渡されたものを見て目を見開き驚く。なぜなら...........
「い、いいのかい?これはかなり高級な菓子包みじゃないか!」
ベルが遠慮していた理由の一つはその買った菓子折りである。道中にある高級店に躊躇いなく入っていくと「これ謝礼の品な」といったので零細ファミリア所属であるベルはあまりに縁がないもので完全に混乱していたのだ。
「大丈夫ですよ。むしろこれくらいは当然です。命とお金は代えられません。ですがせめてもの気持ちとして貰ってもらえませんか?それにこれくらいじゃ足りないこともわかってます。他にも要望があればできる限りを尽くしてその要望に沿わせてもらいます」
「ホント君はアルテミスの子だよ..............分かった。じゃあボクは君に一つお願いするよ」
「はい、何なりと」
「ベル君の事見守ってあげて欲しい。もうわかると思うけどこの子はお人好しが過ぎて危なっかしいんだ。だからできるだけ面倒を見てあげて欲しい」
(あぁ......なんかわりに予想通りな内容だな。しかも、確実にいつかベルはそれ関連でやらかしそう)
そんなことをノクスが考えていると............
「神様、僕そんなお人よしですか?」←自覚なし
まるでほわほわ~といった擬音語が聞こえそうな雰囲気を携えてそう言うベルにヘスティア様はやっぱりだめだ........といった風に頭を抱える
「................美点ではあるんだが、この通りなんだ。お願いできるかな?」
頭をおさえてそういう神ヘスティアにベルは「え?え?」と予想通りの反応を見せる
「.............はい。わかりました。自分もさすがにこれは放っておけないレベルだと思うので」
「ノクスまで!?」
こうしてヘスティア・ファミリアの訪問を終えるのであった。また、ノクスはベルと後日行きつけのお店で食事をおごることを約束したのだった。
だがまさかこの時地雷を踏むことになるとは思いもしなかった
**
日は変わりノクスがヘスティア・ファミリアを訪れた後日の夕暮れ
「へい、お待ち!今日のおすすめだよ!」
「ありがとうございますミアさん。ほらベル遠慮するなって」
「いやそれよりも多くない!?僕そんな大食漢じゃないよ!?」
ノクスはベルを連れ行きつけである『豊穣の女主人』に来ていた。
ここは西の大通りでもひときわ大きな一店であり出される料理はどれも甲乙つけがたい程に美味しいお店でノクスもアルテミスとよく訪れる。今日はアルテミスはヘスティア様と食べに行くようで眷属同士楽しんでくるといいとのことなので別行動なのだが。
「何言ってんだこれくらい食わないと強くなれないぞ?」
ノクスはそこそこな大食らいなため大した量ではないと考えてはいるが、普通にかなり多めの量であると言えるものがカウンター席に座る二人の前に並べられベルは圧倒されていた
「もしかして俺のおごりだから財布の心配してるのか?気にするなって、ソロでもそれなりに稼ごうと思えば稼げるんだからこれくらい余裕だぞ?」
「そういうわけじゃ..............」
ベルは諦めて目の前に並べられた山の様な料理に手を付ける。どれも本当においしいので案外全部食べれそうだと思っていると..........
「来てくれたんですねベルさん。楽しんでますか?」
「シルさん........ええ、楽しんでますが圧倒されてもいます」
彼女はシル・フローヴァ。ここの店員で朝にベルにお弁当を渡したらしく、それを申し訳なく思っているベルに来て欲しいと声を掛けていたところ偶々ノクスの誘いもあったため楽しみしてますと伝えてたらしい。
(にしてもベルよ..........美人局に遭いそうだなマジで.......)
いや、実際に遭っているようなものなのでこのお人よしには早急に教育が必要だなとノクスは考えていた
「それにしてもベルさんがノクスさんと知り合いとは驚きました」
「あの~やっぱりノクスって有名なんですか?」
ベルは自分を助けてくれた時のことを思い出しノクスの只ならぬ動きから相当強いのだろうとは予想はしていたが会ったばかりのため詳しくは彼のことを知らない。
「あら?知らないんですか?ノクスさんはレベル5で二つ名は〝
特に後半の
「えぇ!?ノクスそんなすごいんだ!!」
ベルはシルからそう言われてキラキラとした目をこちらに向けてくる
「大したことないさベル。俺から言わせてもらえばベルにも才能あると思う。だからちゃんと積み重ねればきっと今じゃ考えられないほどに強くなる」
すこしベルからの純粋すぎる視線に照れて口早にそう伝える。
「凄いですねベルさん!ノクスさんに才能があるって言ってもらえましたよ!」
「あははは............僕なんかまだまだですよ。でも、ノクスにそう言ってもらえるのはやっぱり嬉しいです」
そうやって三人で談笑していると...........
「こんばんわリータスさん」
「あっ、リューさんこんばんわ」
彼女はリュ―・リオン。ノクスがオラリオに来たばかりのころに彼が裏路地で倒れこんでるところに助けたことが出会いの切っ掛けだった。その場には当時からの行きつけであったこの店の定員のシルとともに偶然買い出しに付き合っていたために彼女と店までリューさんを運びその後はそのまま従業員として勤めることになったのだ。彼女にも何やら酷い過去があるようだが俺は聞かなかった。アイズも同じだが話したくないだろうしリューさんは本当に気高くて、優しくて、本当にいい人だ。なので信じてるからこそ聞こうが聞かなかろうが彼女に対しての尊敬は変わらないだろう。
「大変言いにくいのですがリータスさんがその........同年代の男性といるのは珍しいですね?」
「ははは、違いないですね。悲しい話同年代の男の知り合いってなぜかいないんですよね。こんな職業してる癖に」
圧倒的に冒険者の男女比で言えば男が多いはずにも拘らずノクスの同年代男子の知り合いはベルを除き皆無だ。女性の方ならアイズとかティオナにエイナそれに目の前のリュ―さんも含まれる。その他にもそこそこいるのにも拘らず本当に解せない。
「それでリータスさん。また今度朝練に付き合ってもらえませんか?」
「ええ、勿論大歓迎ですよ。こっちからお願いしたいくらいです。リューさんから得られるものは本当に大きいですしね」
「もう貴方は十分私よりも強いですが........そう言ってもらえて悪い気はしませんね」
本心からそう思っているのがわかる彼女の控えめな笑顔
ノクスは定期的にリューと早朝に訓練をしたりする。それは出会ったころからのことでそれもありノクスはリュ―に対して一定以上の尊敬の念を抱いているのだ
(ん?待てよ..........ベルも呼ぶのもいいかもな......)
ふとベルも呼ぶのもありかとノクスはリュ―との会話のなかで考えていた。
そんなことを考えながらリュ―やシルとの会話をはさみつつノクスとベルは楽しい食事の時間を過ごしていると..............
「ご予約のお客様ご来店にゃ~」
そう大きな声で迎えられた客はロキ・ファミリアの面々だった
「そう言えばロキ・ファミリアの行きつけでもありましたね」
「そうですね。それに先日遠征から帰還したばかりなのでその打ち上げなのでしょう」
そう会話を交わして二人はロキ・ファミリアの面々の様子を窺うと―――
「よっしゃー!ダンジョン遠征みなご苦労さん!今日は宴や!存分に飲めえぇぇぇ!!!」
神ロキの音頭を取り宴会が始まったその様子を見てノクスは一応後で挨拶に行くとして今はこっちで楽しむかとベルたちとの食事を続けていた
だが、ここにきて事件が起こる
少ししてこちらがほとんどの料理を平らげたころ、離れた席に座るロキ・ファミリアの面々は酔いが回ってきた様子だった
「そうだアイズ!あの話聞かせてやれよ!」
そうベートの大きな声が響く。その声は普段と違ってやや呂律が回ってないようだがはっきりとノクスの耳にも聞こえた
「.......?」
アイズは小首をかしげ、話の先が見えていないようだった
「アレだって、帰る途中で何匹か逃がしたミノタウロス!最後の一体をお前とノクスで追いかけて始末した時にいたトマト野郎のの話だって!」
アイズは自分の憧れで目標でもある剣士が助けた少年の事だと理解する
「ミノタウロスってあの集団で逃げ出した奴?
ティオナは彼がいち早く行動を起こしてくれたおかげで被害という被害はなく済んだと思い出していた
「それそれ!奇跡みたいにどんどん上層に上がっていきやがってよ~」
ティオナのその確認により調子づくベートに嫌な予感を覚えるアイズ
それに対してノクスらは..........
「.....クッ!」
ベルはその話の切り出しに歯を食いしばり悔しそうにしていた。ノクスもそれは聞こえていたため今にも逃げ出しそうなベルに声を掛ける。
「ベル最後まで聞いてやれあのバカの話を.......それと言いもん見せてやるから絶対に見逃すなよ?」
「ノクス......?」
ノクスはどこか怒っているような呆れているような............でもベルに対してはとても優しさを感じる声でそう告げる。
「すいませんミアさん。これ今日の会計です。あとキンキンに冷えた水ジョッキで二つ貰ってもいいですか?」
「はいよ先に会計するよ...........って、大分多くないかい?」
「まぁ、迷惑料と今後も贔屓にさせていただきますってことでどうです?」
「...........あんたも大概人がいいねぇ........水は少し待っときな。今キンキンの準備してやるよ」
「ありがとうございます」
**
場面は戻りロキ・ファミリアの卓。ベートはヒートアップしていく
「そんでよ、いたんだよ、いかにも駆け出しっていうようなヒョロガキが!」
アイズは心の中で止めてと呟くも口に出せなかった
「笑えたぜ、兎みたいに壁際に追い込まれちまってよぉ!」
「それで、その冒険者どうなったん?助かったん?」
少年の安否を聞く神ロキ。それに対してベートは.......
「ノクスの〝千鳥〟で間一髪ってとこで魔石ごと貫かれてたぜ、なっ?」
ノクスがあの時放った技は知る者の中では幾千の鳥が囀るようだから〝千鳥〟。あるいは雷の一閃で〝雷切〟と呼ばれていた。
それを合図に確認をとるがアイズは無言で反応しない
「そんでそいつあのクセぇ牛の血全身に浴びて.........真っ赤なトマトになっちまったんだよ!くくっ、ひーっ、腹が痛えぇッ!」
無言の合図を気にせず上機嫌に話し続けるベート。そのベートの言葉に不快感を示す団員はリヴェリアとアイズだけでそれ以外は何ともないように聞いている。
「しかし、まぁ~あんな情けねぇ奴久しぶりに目にしたぜ、ホント胸糞悪くてなったな。野郎の癖にピーピー泣きやがってよ」
流石に調子に乗り過ぎだということと話の不快さにしびれを切らしたリヴェリアが止めようとする。
その直前―――
「はい、キンキンに冷えたお冷ですよ~」
突如ベートの後ろにその場のだれにも察知されずに立ったものがベートの頭にキンキンに冷えた水をぶちかける
「冷てえぇッ!?何しやがんだ、あぁあん!?」
余りの冷たさに大きな声を上げて驚きながらかけてきた本人にガン飛ばすために振り返った先にいたのは
「テメェ!?ノクス!?何しやが.........」
そう、先程わざわざキンキンに冷えた水を注文したノクスだ
「ん?なんだもっと欲しい?やっぱりか~そう思ってたからハイもう一丁~」
ノクスは今度はジョッキからかけるのではなくジョッキ事ベートの顔面に投げかける。
「痛テッ.....!?テンメェ...........ッ!?」
ベートは完全に舐め腐ったノクスの態度によっていたこともありすぐに手を出そうとつかみかかろうとするだが............
「グァッ!?」
怒りで足元がおろそかになっていたこと、酔いが回っていたこともありノクスがあらかじめ置いておいたジョッキを踏んで足を滑らせその場で盛大にこけたのだ
「ダメじゃないか~足元注意だぜ?それにしても........プップ....」
顔を背け笑いを抑えるその様子は完全に意図して煽っているものだとその場の全員がわかるほどにあからさまだった
「まぁ~そこの馬鹿はほっといて...........ロキ・ファミリアの皆さんは相当愉快思考をしているようですね?ねぇ、フィンさん?」
ノクスはそう言って〝
「.......どういう意味かな?ノクス?」
「いえ、簡単ですよ。自分たちのミスで上層の.........それもまだ駆け出しの冒険者を危険にさらしてあまつさえ笑い話にしたのを不快に思っているのがリヴェリアさんとアイズしかいないとなればもう.......ね?いやはや大派閥はそんな殺人行為に近いことをしても笑い話で済まされるとは嘆かわしいですね~どう思います?団長のフィン・ディムナさん?」
これにはこの場にいるロキ・ファミリアの一部の者を除き理性的にはノクスの言い分が正しいことを言ってると理解していてる。だが、同時に明らかな自身の所属するファミリアひいては団長を蔑んでるようにしか聞こえない発言だ。
もっともそれはノクスの思うところでもある。わざとやっているのだから当然だ
「..........ノクス少々口が過ぎるんじゃないかな?確かに君のその言葉は正論だ。だが、言い方というものがある。それではまるで喧嘩を売ってるように聞こえてしまうよ?」
「そうですか..........まぁ、それでもいいんじゃないんですか?でもそれって余計自身の首を絞めてると思いません?」
「どう言う事かな?」
「あら?結構簡単な話だと思うんですけどいっていいんですか?言ったら後に引けなくなると思いますが........まぁ、フィンさんがそう言うのなら遠慮なく....」
そこでノクスは一旦区切ると先程まで目を合わせていたフィンからロキ・ファミリアの面々に移す
「だってその喧嘩乗ったら今俺の発言を正論と認めた以上正論にも拘らず逆切れして、そちらが気に食わないからこちらを潰しにかかるという風にしか見えなくないですか?」
「「「ッ!?」」」
一部の面々以外が漸く事の次第を理解をしたようだ。
「まぁ、確かに俺一人で〝そのようなこと〟を容認するファミリアでも実力は確かですから俺一人では荷が重いですがそちらが望むならこちらもこういった発言したため流石に思うところもあるため乗りますよ?どうします〝
皮肉一杯にそう問いかけるとノクスの想定通り二人の者が吠える
「うるせぇ!!ノクス!!雑魚を雑魚と言って何が悪い!喧嘩売ってんなら買ってやるボケが!!」
「黙って聞いてりゃなんだよその団長に対する言葉は、アァン?テメェ潰すぞ?」
ベートが喧嘩を売ってくることは言うまでもなく当然の事。そして申し訳ないがそれだけじゃインパクトに欠けるため敢えて彼女の琴線に触れたあおりで彼女も場に上げさせる。
「へ~じゃあサクッと済ませたいんで外でやりますか、ベート、ティオネ?」
ティオネはティオナの双子の姉で二つ名は〝
「さて、ベルついてこい!いっちょ戦い方をレクチャーしてやるからさ」
「.......はッ!う、うん(ノクス大丈夫なのコレぇ~!?)」
ベルはあまりのノクスの大胆な行動に呆気に取られているとすぐに言われたようにノクスの後を追い外に出た。それに続いてどうやらリューさんにシルが来ていた
「さて。ルールは簡単。俺を殺すか気絶させればそっちの勝ち。俺は剣と魔法使用は禁止でそっちの意識を奪えば当然俺の勝ち。安心しな俺はお前らを殺さないからさ」
ノクスは外に出て二人と少し距離を取るとルールと言って宣言する。その内容も明らかな煽りが含まれており目の前の二人は顔真っ赤だった
「テンメェ.........ッ!?少し強えぇからって舐めてんのか?アァン?」
「なんだ?.......ベートお前もしかしてその状態のお前に対して剣を使う必要が思ってるのか?だとしたら傑作すぎるぞ?」
「~~~~ッ!!絶対ェ、泣かすッ!!」
ノクスは今にも襲い掛からんとする相手対してどこまでも飄々とした態度を崩さない。
「さて、リヴェリアさん審判お願いしますね?」
「ハァー、まったくお前はもう少しやりようがあっだろうに........」
「ははは、すいません」
ノクスの意図を理解しているリヴェリアは呆れたようにしつつも審判の役を引き受け、両者の間に立つ。
「それでは私の合図で始めてもらう。........開始!」
「死ねぇッ!!」
最初に斬りこんできたのはやはりと言うべきかベートだった。
「............」
ベートの速さはオラリオでも有名だ。そんな彼の恐るべきスピードを生かして放たれる蹴りの破壊力は凄まじい。
まぁ、
「良いかベル?戦うときの基本だが相手の観察は絶対に怠るなよ?」
ノクスは軽くベートの攻撃をかわしながらベルに対してレクチャーを開始した
「ほら、こいつの動き滅茶苦茶大振りだろ?冷静になってみればなんも脅威じゃない」
まるで木から落ちた枯葉が舞うように軽やかに躱していくノクス。
「クソッ!舐めやがって.......ッ!」
「はい次にこうやって馬鹿みたいに冷静さもなく突っ込んでく相手はこうして相手の力も利用してやります」
そう言ってノクスはベートの怒涛の連撃を完璧に躱すとその勢いをうまく使い自身後方に投げ飛ばす
「ベルの獲物はナイフだからカウンターは覚えておいて損はない。特にこうして追い込まれたり短期になって突っ込んでく相手は冷静さを欠かさず常に観察すればカウンターを決めるのは容易い」
「おらぁぁ!!」
そうやって解説してる傍から今度はティオネが拳を振り絞って力の限りぶん殴ろうとしている
だがそれも当然ノクスは分かっている
「こういうパワータイプは正面切って受け止めるのは俺やベルみたいなスピードタイプには荷が重いからよっぽどのことがない限りしっかり回避しろよ?受けると後が続かなくなったりするからさっきみたいに受け流すとかがベスト」
「クソッ、クソッ!当たんない!!」
簡単にひらひらひらりと躱されティオネが攻め足掻寝ているとすぐさまそこにベートも加わる
「後ろががら空きだぁぁッ!!」
ベートは全く警戒していなさそうなノクスの背中に流石の速さで攻撃を仕掛けようとする
だが.............
「背後からやるなら黙ってやれよ.........バカだろ.........」
ノクスは呆れたようにそう言って正面で拳を振るうティオネの攻撃をかわすとそまま伸び切った腕をつかみ軽く後ろに向けて引っ張てやる。すると........
「ガァッ..........!」
「ウッ.........!」
2人はそのままぶつかりよろめいてた。ベートは顔をティオネは肩をそれぞれがぶつけた場所を抑えている
「とまぁ多対一の時は冷静になればこうして周りのものやその場の条件を最大限に有効に活用すればこんな風に対処できる。最もエイナにも言われてると思うが多数を相手するときは基本的に一対一の状況を意識するのも重要だが視野を広げておけば二対一くらいならその意識がなくてもどうにかなる。さてベルここまでは大丈夫か?」
呻いてる二人から視線を外したノクスはベルのほうを見てそう問いかけた
「え、えっと、はい(ノクス凄いなぁ......)」
ベルはノクスの凄さに改めて強い憧れを抱いていた。圧倒的な余裕で攻撃を捌ききるその様子はベルにとってはもう物語の英雄の様だった
「よし、なら仕上げだ」
そう言ってまた視線を戻したノクスの先にはベートがいち早く突っ込んできた
先程までと同じ怒涛のベートお得意の蹴り技による攻撃を完璧に回避して
「オラッ、オラッ、オラッ!!」
「ベート。酔ってるとはいえステイタス任せすぎなんだよ。そんなんじゃ酔ってなくても俺に一撃は与えられないぞッ!」
ノクスは回避からの最小の動きでベートの顎先に拳を叩き込むとベートは糸が切れたかのようにその場に崩れ落ちる
そして当然次に襲い掛かってくるのは...............
「はぁぁぁぁぁ!!」
凄まじい跳躍から必殺の拳と言うべきものを振り下ろそうとするティオネ。タイミングは完璧。ノクスがベートを殴って間髪入れずの攻撃だ。回避はできないであろうタイミングにベルは拙いと思う。
だが―――
「悪いなそれならよけれるんだわ」
ノクスが霞むほどのスピードで恐ろしく素早いステップで回避する。これまでの戦い..........ひいてはベルが出会ったあの時以上の速さでだ
ノクスはティオネの拳が地面に突き刺さっているところに回し蹴りを―――
寸止めで止めた
「もう怒ってないんだろティオネ?」
「あらバレちゃったかしら?」
「ベートを囮に使うあたりバレバレだって」
「あははは、やっぱり?でもまったく当たらなかったてのは傷つくわ~」
「ベートにも言ったがステイタスに頼りすぎ。それじゃ当たるもんも当たらないし回避だって簡単だ。あと言っとくがこの間見たときティオナやアイズにも言えることだからな?」
「私も!?」
「......気を付ける。だから今度は私の相手して」
「アイズさん?今度とは言ったが今はやめてくださいよ?」
ベルはもう突然アマゾネスの人が怒ってないようになるため何がなんやらだった。その上アイズに至っては自分もと言い出す始末。完全に場の空気がカオスになっていた。
「さて、これでいいですかフィンさん?そして、生意気言ってすいませんでした」
そんな中渦中にいたノクスはロキ・ファミリアの団長であるフィンに対して頭を下げて謝罪した。
「謝らないでくれノクス。ベートたちにステイタスに頼り切りな戦闘に悩んでいたからその認識を改めるためにも丁度良かった。それ今回の件の引き金は僕らにある。そこの白髪の少年とノクスにはむしろこちらが頭を下げなくてはいけない。本当にすまなかった」
ノクスはロキ・ファミリアの遠征が始まる前にフィンと偶然その時あっていた。その時にフィンの口から最近アイズたちがどうもステイタスだよりな戦闘をしている節があるということを聞いていたためベートを〆る口実的にちょうどいいと考えてティオネにも不審に思われるほどにフィンを煽る発言をしていた。
結果、最初の方はガチでキレれていた風のティオネも何か思うところがあると理解したのか最初の予想通り冷静さを途中で取り戻したのだ。
「わわわ、頭を上げてください!僕は大丈夫ですから!」
ベルは予想通りというか大派閥の団長に頭を下げられ自分が被害者にも拘らずまるでそんな風ではないかのように振舞う
「ベル、謝罪は素直に受け取るんだ。言ったろ?自分の価値を見誤るなって。ヘスティア様が俺に対して怒鳴ってただろ?俺やあの場にいた者はそれだけのことをしたんだ」
それからあの場にいた者たちはすぐにベルに謝罪の言葉を口にした。そんな事態にベルはてんやわんやだがさっきの言葉が効いたのかしっかりと向き合えてるように見える
「フィンさん、暴言はいて本当にすいませんでした。それにティオネも利用してすまなかった」
ベルに対する謝罪の嵐の輪を外れてノクスはフィンとティオネの二人に謝罪する
「いや、本当にノクスの言う通りだ。僕らは立場に驕っていたんだ。今度は僕の口から他の団員にも伝えておくよ」
「まぁ、最初は本気で潰そうと思ったわ。でも冷静になればノクスが団長をないがしろにするはずないものね」
2人は気にしていない........ようなのでひとまずよかったと安心していた
ノクスがその様子を見て安心しているとコートがの裾をクイッと引っ張られる感覚を覚えそちらを向く
「ねぇ、ノクスいつ模擬戦してくれるの?」
「うん、アイズ。もう少し戦闘以外も興味持たない?」
一件落着したのはいいがこの剣の姫様はもう少し女の子らしい趣味なりを持ったほうがいいのではと思う今日この頃だった
************
おまけ
「リータスさん」
「どうしたんですかリューさん.........って怒ってますもしかして?」
リュ―さんの自身を呼ぶ声に怒りを含んでるような気をしたので少し考え素直に言聞いてみた
「はい。あまりに危険、無謀すぎます。貴方はオラリオ全ての冒険者を敵に回す気ですか?」
確かに一歩間違えればそうなってもおかしくないやり取りだった。大派閥に大きく出るとはそう言う事でもあるのだ。いくらノクスが大丈夫とわかっていてもはたから見れば危険な橋を渡っているようなもの。
「えっと......一応、ちゃんとそうならない確証の上での行動だったわけでして..........」
「私はそんなこと知りません。それより言うべき言葉があるのではリータスさん?」
ノクスは言い訳を試みるも失敗に終わり凄まれる
「.........はい、大変申し訳ありません」
「貴方がベルさんに言ったように貴方も自身の価値というのを見誤ってはいけない。貴方が傷つくことで悲しむ人がいるのです。そのことをあなたも忘れてはいけません」
「はい、言い訳のしようがありません」
自分で言っといてそりゃ自分ができてなかったら世話がない。怒られて当然だ。
でもこれってもしかして...........
「もしかしてリュ―さんも悲しんでくれるんですか?」
「ンッ~~~~~~!........そ、そうですが文句ありますか?///」
何か一瞬凄い変な声が聞こえた気がしたけど気のせいかな?後リュ―さん少し顔紅い?
「いえ、なんかむず痒いですが嬉しいです。なら、リューさんを悲しませないように気を付けますね」
「貴方は.........///オホン!そうしてください。では私は仕事に戻ります」
その後リュ―さんは仕事に戻ると何枚かの皿を割りミアさんに怒られていたと後にシルから聞いたけどどうしてだろ?