【月光の神】ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか


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作:クックダッセ
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僕と精霊


やっと書き終わりました。戦闘またないのでご了承を。


「俺がガネーシャだ!!!!!!」

 

「うるさい、騒がしいぞガネーシャ」

 

ガネーシャ様がシュンとして、小さな声で「俺がガネーシャだ」と呟く姿は何故かかわいそうに思う。

僕たちはオラリオの検問を抜け、少し歩くとガネーシャ様が眷属のシャクティさんを後ろに連れて、待っていた。

 

「それで移動手段を用意してくれると聞いたんだが、馬車がないぞガネーシャ」

 

「そうだ!お前たちが移動するのは馬車ではない!お前たちが移動するのは、これだ!!」

 

ガネーシャ様は天に指を指したので、僕たち3人も上を見上げると、僕たちを覆うほどの何か上から近づいて、そしてそれは現れた。

それは(ドラゴン)だった。3体のモンスターが僕たちの前に現れた。大きい個体ではないが確かにモンスターだった。僕とレフィーヤは神様を庇うように前に出て、得物に手をかけようとするが、ガネーシャ様が静止させた。

 

「まてまて!こいつらは生まれた時から調教(テイマー)されているから大丈夫だ!人を襲うことはない!ガネーシャの名に誓って約束しよう!」

 

僕とレフィーヤは得物をしまって、恐る恐る竜を見る。するとガパッと大きく口を開けた。一瞬ギョッとしたがそれも束の間。舌を出して僕の頬を舐めだす。まるで子犬みたいに舐めていた。

 

「うわ!お前、くすぐったいぞ」

 

『グウウウ♪』

 

「神様も舐められてるんですね........ん?レフィーヤ?」

 

神様は竜に舐められていると同時に神様は頭を撫でて愛でていた。僕も同じように頭を撫でて愛でていたが、レフィーヤはもう一体の竜には近づかない。しかもレフィーヤはものすごく警戒している。

そうだ、レフィーヤは飛竜に村を滅ぼされた。この竜が調教(テイマー)されたとしても、仲良くできるはずがなかった。

僕達はこれに乗って移動する。ならば絶対に竜に触れなければならない。レフィーヤはそれに触れられるのか、僕は何かできないかと声をかけようとするが、レフィーヤの過去を知っている僕にはなんで声をかければいいのかわからなかった。

 

「レフィーヤ」

 

神様はもう竜を手懐けていた。竜に舐めるのをやめさせ、レフィーヤの近くに行き、レフィーヤの肩に手を置いた。

 

「レフィーヤ、お前の過去は知っている。お前が嫌悪する理由もわかる。けどなレフィーヤ今お前が見るべきものは違う。お前には失ったものが大きいかもしれない。けどここに来て得たものがある」

 

神様はレフィーヤを抱きしめた。まるで母のように。レフィーヤはそれを拒むことなく、神様を受け入れた様子だった。しかしレフィーヤの手は行き場を失ったように、掴もうとした手を下げようとしていた。

 

「失ったものばかり数えるな。後ろを振り返るな。いくら後悔はしても失ったものは帰らない。前を向け、数少ないものしか残ってなかったとしても、レフィーヤに残されてるものを数えろ、お前が見つけたものが残っているだろう?」

 

「わ、私に残ってるもの.....私が見つけた場所」

 

レフィーヤは下げそうになった手をゆっくりと神様の背中を掴んだ。そして目元には今にも溢れそうな涙があった。

僕ならどうしただろう。そんなありえない(if物語)を考えていた。オラリオまで辿り着けただろうか?

 

レフィーヤは僕のお姉さんって感じの風格を放っていて、きっとレフィーヤも僕がしっかりしてないあまり彼女も常に強がっている。けど違う、彼女をいつからか強い存在だと思っていた。けど僕と歳は一つしか変わらないじゃないか。そんな子が愛していた両親を殺されて村まで殺されて、そう易々と吹っ切れるわけがない。僕だっていまだにお爺ちゃんのことを引きずっている。けどそれでも前を向けと、過去を振り返るなと今あるべきものを見ろと、そう神様はレフィーヤに、いや僕達に伝えている。

レフィーヤは涙を流しながら、子どものように神様に泣きじゃくり始めた。

 

「もう一つ家族(ファミリア)ができました!!血は繋がってないけど、それでも家族と呼んでもいい人達ができました!!だから私はこの人達のために強くなります!」

 

「レフィーヤ......」

 

「ああ、ありがとうレフィーヤ」

 

 

 

彼女は今もこれからも怪物(モンスター)を恨むだろう。けどそれは胸の内に収めるだけ。家族が大事だから、守るべきものを見つけた。今彼女は家族(ファミリア)のために戦う。誇り高い神様と少し頼りないけど英雄の器を持った子のために彼女は走り続けるだろう。

 

 

******

 

一週間。谷を超え、森を超え、幾度かの休憩(レスト)を挟み、目的地についた。『フィサーナの森』一度入れば、迷うと言われ、周辺の村ですら近づかないと言われてる森。そのおかげか、人が入った痕跡がないため、森は動物達が溢れ、小さな川などが流れている。

僕達は精霊が住み付いているという祠の付近まで歩いていた。

 

「ここだ、私に類する精霊が住み着いている祠だ」

 

アルテミスが指を刺した方向をベルとレフィーヤは見つめると、その先には青白く光り輝く祠があった。けれどその奥は見えないように、扉があり、開かないように硬く閉ざされてていた。

アルテミスは目を閉じ、手を扉にかざす。アルテミスから蒼白い光が溢れ始める。それは神威。この扉はアルテミスの神威で開くことになっていた。アルテミスは下界に降りたのは最近だということを考えるとこの遺跡は今日初めて開くことになる。

扉が神威に反応を示し、錆び付いているのかゆっくりゴゴゴッという効果音をたてながら、開いていく。

 

「どんな試練が待ち受けてるか、私にもわからない。きっと厳しい試練が待ち受けてるだろう。けれど折れないで欲しい。どんな辛い試練があったとしても転んでもいい、倒れてもいい、けど折れないでくれ、立ち上がって先を見据えるんだ。自分が何を成し遂げたいのか。何に至りたいのか」

 

「「はいッッ!」」

 

「よし、いくぞ」

 

******

 

この洞窟はただの洞窟ではない、薄く青白い光を放ち、松明も必要とならない。精霊の力が洞窟全体に染み渡り、こういう現象を起こしているんだろう。神秘的という言葉が当てはまる。誰一人来たことがない、探索することすらも許させていなかった空間。事実上この祠に入ったのはこの三人だけ。壊して入るということは絶対にできない。まずフィサーナの森。入ったら迷って出れなくなる言われてる場所で、最奥にあるこの場所にたどり着くわけないというのがあるが、一番は壊せないというところにある。不壊属性(デュランダル)ではないが、それに近い。

 

ベルとレフィーヤは物珍しそうに辺りを見渡し、若干不安そうに先へ先へと進んでいく。アルテミスの場合珍しいというか懐かしさを感じているようだった。

ある程度進むと分かれ道に至った、目の前に道はなく、右か左かに分かれることになる。ベルとレフィーヤはどちらに進もうかアルテミスに聞こうとしたところで祠の青白い輝きがいっそ激しくなった。

 

『『ようこそ、私たちの精霊の祠へ』』

 

二つの声がした。どちらも女性の声で、透き通った声をしていた。まるで女神のような声だった。

 

『神アルテミスの恩恵を授かっているようですね、ならば試練を受けることを許しましょう』

『これから貴方達が挑む試練は生半可なものではありません』

『覚悟して臨むことをおすすめします』

『一人は左へ』

『『もう一人は右へ』』

 

『『............』』

 

『ちょっと今の台詞(セリフ)は私の部分でしょ!おかしいのだわ!』

『はぁ!?違うわよ!私が道案内をしました後に、一緒に汝らの加護が在らんことをって言うって言ったじゃない!』

『それは千年前に貴方が勝手に決めたことなのだわ!私は五百年前に変えましょうって言ったのだわ!」

 

「「あ、ハハハ.......」」

 

「............」

 

なぜか言い合っていた。精霊の姿形も見えないが、三人の目には浮かんでいた、女の人達が指を差し合いながら怒鳴り合ってる風景を。

ベルとレフィーヤは苦笑いをしながら聞いていた。アルテミスはというともう沸点がそこまで来ていて、いつ爆発してもおかしくない状態だった。アルテミスが声を上げようとした瞬間、精霊達はアルテミスに気づき、咳払いをして話を進めた。

 

『で、では!そこの白髪の兎みたいな子は左へどうぞだわ!!』

 

『じゃ、じゃあ!私はこの可愛いエルフの子を貰うわね!右へ!右へどうぞ!!!!」

 

『『だからアルテミス様!怒らないでください!!!謝りますから!ごめんなさい!!!』』

 

仲がいいのか、仲が悪いのか二人は同時に声を合わせてアルテミスに謝罪した。アルテミスの怖さはやっぱり人類共通かつ精霊にも伝わってるらしい。

 

「...........では、私はここで待ってればいいのか?ルナ(・・)シルフ(・・・)

 

一人の精霊はルナ、もう一人はシルフという。

ルナは『だわ!』という口癖を治そうとしてる精霊。普段はお淑やかなのだが、喜怒哀楽が激しくなると、この口調が出てきてしまうらしい。

シルフという精霊は気の強い精霊だが、ただ曲がったことが嫌いなだけだ。口調が荒いのでよくルナに『女らしくない』と言われている

 

『アルテミス様待っていても、どちらかについてきても構いません。けれど手出しはしてはいけません、ここはシルフも同意見だと思います』

 

『ええ、そこはルナと同意見です。アルテミス様がどれだけ子どもたちを愛してるのかは知らないですけれど、手出しした場合私たちはもう二度と手を貸すことはないと思ってください』

 

『『これは彼ら、彼女らの子どもたちが紡ぐ物語。時代の英雄は天界の者達(我々)ではない子ども達が紡ぐ物語』』

 

英雄になるのは子ども達、神や精霊ではない。神や精霊は手を貸すだけ、悩み足掻き取捨選択するのは子ども達。神々はただ手助けするだけ、そう精霊達はアルテミスに告げた。

アルテミスはそんなことわかってるように、アルテミスはすでに覚悟した顔だった。

 

「わかっている、私は手出ししないことを誓おう」

 

『それならば安心です。ではアルテミス様。ここで待ちますか?それともついて来ますか?』

 

「当然ついていく。私の子供たちの行方をこの目で見る」

 

******

 

「よく来たわね!まずは貴方の名を聞きましょうか」

 

「は、はい!私はレフィーヤ・ウィリディスと言います!よろしくお願いします!!」

 

「私はシルフよ!じゃあレフィーヤ。試練について説明するわ!」

 

レフィーヤはベルと別れ、右の道へ進んでいた。先へと進んでいくと開けた場所があり、まるでダンジョンの空洞が休息地帯(レストポイント)のようだった。

そしてそこに立っていたのは、真っ赤な髪が腰まであり、梔子(くちなし)色の目をし、白いドレスを纏った、美人の女性だった。

 

「私が行う試験は、『今に至ること』よ!」

 

******

 

「こちらも始めましょうか。ではまずは名前を」

 

「べ、ベル・クラネルです」

 

「ベルね。私はルナ、よろしく。では試験を始める前に、アルテミス様は私の後ろに」

 

「わかった」

 

アルテミスはベルの元へと来ていた。やはり冒険者になって1ヶ月一応レフィーヤも冒険者になったばっかりだが、一応戦闘の心得はある。なので一番心配だと言えるのがベルだった。

ルナという女性は真っ黒の長い髪を一つにまとめ、露草(つゆくさ)色の目をし、黒いドレスを纏った美しい女性が立っていた。

 

「私が貴方に課す試練は、『英雄とは何か』です」

 

******

 

一人の少年と一人の少女は眠りについた。誰の声も届きもしない夢の中に。そこに映し出されるは、精霊達の課す試練。少年の夢はダンジョンへ。少女の夢は懐かしい故郷へ。これは夢であって夢ではない。夢で行われた試練はそのまま恩恵へと変わる。しかし試験を乗り越えることができなければ永遠に夢の中を彷徨い続ける。

女神は少女の安否を祈ると共に、少年の夢に落ちゆく様を、行く末を翡翠(ひすい)色の瞳で見つめていた。




多分長引かなければ、後1話で精霊編は終わります。そのあとの構想も考えてあります。少し次の話はこれで大丈夫かな?という感じで書くんですけど、まあ大丈夫でしょう。
申し訳ないのが一個前の話、この話でも戦闘を全くしないのは申し訳ないなって思っています。次の話ではバチバチに戦闘させようかなっていう思いがあるので期待してもらえれば.......。
いつかのアンケートで取った、アルテミスとの日常回も番外編としてつけようかなと、多分先にはなってしまうんですけど、お待ちいただいたらと。次回の更新も不定期なのでよろしくどうぞ。
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