私の名前はアリーゼ・ローヴェル。迷宮都市オラリオにホームがあるファミリアの団長よ。今私主神アストレア様と親友リュー・リオンと一緒にとある森へ向かっている。
「では、その森にはご友神が?」
「えぇ。連絡がつかなくなってしばらく経つから様子を見に行こうと思ったの。二人とも付き合わせてしまってごめんなさいね。ロキのところも護衛を受けてくれて助かるわ」
「大丈夫です。私もアストレア様の友神にお会いしたいですし。」
そう。これから行くのはアストレア様のご友神である女神アルテミス様のホームがある森だ。
オラリオからグリフォンと馬車を乗り継いで二週間の旅路を終えて。目的の森に入ろうとしたとき、リオンが立ち止まった。
「リオン?どうしたの?」
「…いえ。何か森の様子が…」
エルフのリオンが森に違和感を感じると言い出した。それを聞いた私はリューに指示を出す。
「私が先頭に行くわ。リューは最後に、アストレア様は真ん中で方向の指示をお願いします。二人もお願いします。」
「わかりました。」
「わかったわ。」
リューとアストレア様の了承を得て、直線となって森を進む。半刻ほど歩いたところに人気のない広場があった。その中央に三日月に弓矢のエンブレムを掲げる寂れた巨大な木の洞に隠れたアルテミス・ファミリアのホームがあった。
その広場の光景に二人と一神は息をのんだ。広場に所狭しと突き立てられた木の十字架。その様相は、墓場であった。
「…!アルテミス!」
「アストレア様!いけない!」
アリーゼの横を走り抜けアルテミス・ファミリアのホームへ入っていくアストレアの背を追って二人も中に入っていく、外がさびれていたように中も長いこと手入れをしていないようだ。だが誰かが出入りしているような足跡があった。
アストレアはホームの中の部屋を次々と開けていき、中を改めるが誰も見つからない。最後の扉の前に立って、ようやくアリーゼとリューが追いついた。
そしてアストレア様がドアノブに手を掛けようとした瞬間。
「アストレア様!危ない!」
アリーゼがアストレアを強引に後ろへ引っ張る。そして、ちょうどアストレアの首があったあたりに扉の向こう側から刃が飛び出してきた。
獲物を外したことを起こったのか。扉の向こうにいる何者かは剣を引っ込ませ。
「Aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」
「リオン!やるわよ!」
「アリーゼ!援護します!」
獣のように雄たけびを上げて扉をぶち抜いた。
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扉をぶち抜いた正体の格好を一言で言えば、黒騎士。アリーゼよりも頭一つ大きい頭身に全身鎧、地面に突き立てれば胸にまで届きそうなほど長い大剣を片手で持って、全身を赤黒いオーラを纏っている。
最初に動いたのは、黒騎士のほうだった。アリーゼとリオンの二人を切り裂こうと大剣を横に振るう。
「Aaaaaaaaaaaaaa!」
「そんな単純な攻撃当たるわけないでしょ!」
黒騎士の攻撃を回避した二人が左右から反撃に転じる。対して黒騎士は大剣の長さを生かして防御を行う。
剣同士がぶつかり合い火花が散る。
「Aaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!!」
黒騎士が自身の攻撃を防がれることに怒るように声を上げ、アリーゼに向かって上段から攻撃をする。アリーゼは回避が間に合わないと判断し、剣で防御をする。黒騎士の剣とアリーゼの剣が鍔迫り合う。その時、黒騎士が今までとは違う行動に出た。
鍔迫り合っているアリーゼの剣を手でつかんできたのだ。
「アリーゼ!貴様!手を放せ!」
横からリオンが攻めてくる。リオンが来ることを分かっていたかのように、剣から手を放す。
「アリーゼ。大丈夫ですか?」
「問題ないわ。今のは一体何?」
「分かりません。とにかく無力化を急ぎましょう。」
リオンが黒騎士に攻撃を繰り出す。それを黒騎士も攻撃で迎え撃つ。しかし、
「グッ!」
「リオン!」
「だ、大丈夫です。それよりもなぜ!」
黒騎士の手には長い大剣ではなく、アリーゼと同じ直剣が握られていた。
「アリーゼ。武器は持っていますね?」
「えぇ。持っているわ。ということは。手にした武器の模倣?」
「思ったよりも厄介な相手のようで…」
「Aaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!!」
2人が話している隙を突くように黒騎士が動き出す。
黒騎士が直剣をアリーゼに振るう。その動きは先ほどアリーゼが黒騎士にやって見せた動きそのものだった。
「…っ!やはり、手にした武器の持ち主の動きまでまねできるようですね。」
さっきも攻撃を受けた時に、アリーゼの姿を幻視するほど似ていたことからリオンは。彼がただの騎士ではないことは理解できた。
「これは思ったより時間がかかります…アストレア様」
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「Aaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!!」
黒騎士は先ほどはアリーゼを集中的に攻撃していたが、今度はリオンに向かうことが多くなった。結果。
「く!しまった!」
「リオン!」
結果。リオンも武器に手を触れられ模倣された。
そして今、
「Aaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!!」
「く!攻めきれない!」
「左右を入れ替えて攻撃しても、向こうも入れ替えるだけで対応は変わらない。このままじゃ!」
負けることはないが攻めきれない。撤退するしかない。
その考えがアリーゼの思考を遮る。
「アリーゼ!」
「え?きゃあ!」
思考を持っていかれた一瞬のスキをついてアリーゼに迫った。慌てて防御しようとするが防御する「技」を盗まれているため弱点をたやすく武器をはじかれ突き飛ばされる。
「アリーゼ!」
「アリーゼ!」
アストレアとリオンの声が悲鳴のように重なるがリオンは間に合わず、アストレアは彼女を守るすべを持たない。
黒騎士の刃がアリーゼを切り裂こうとした瞬間
「待て!」
アリーゼに剣があたる直前に声が響いた。黒騎士が切り飛ばした扉から青い髪にエメラルドの瞳を持つ人物アルテミスが壁につかまり立ちする様に立っていた。
「彼女たちは私の友の眷属だ。剣を治めて欲しい」
黒騎士は剣をまるで鎧と同化させるように溶かしてアルテミスのそばによると。力が抜けたようにアルテミスが崩れ落ちた。黒騎士はアルテミスを倒れないように支えると抱え上げた。
「オリオン。狂化を解除して」
その言葉にこたえるように、黒騎士が纏っていた赤黒いオーラが霧散した。
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戦いは急に終わった。
そう肌で感じるほど目の前にいる黒騎士の闘志は消えていた。
黒騎士が青髪の女神を抱えこちらに振り向き。
「もてなす。ついてきて」
背丈に会わない幼い声が鎧から響いてきた。
「アストレア様どうします?」
「…もてなしを受けるとしましょうか」
オリオンが出てきた扉の向こうは他の部屋と違って掃除が行き届いていた。
高価なものの類はないが大切に扱われていることがよくわかる。
その中央に大きなベットがあり黒騎士はそのベットにアルテミスを寝かすと。一度部屋を出て行った。
どうやらもてなす用意をしてくるらしい。
「アルテミス。久しぶり」
「あぁ。久しぶりだ。」
女神たちは久しぶりの再会に世間話を始めた。とはいってもアストレアは自身のファミリアのことを話して、アルテミスがそれにうなづくだけであったが。
そうしてアストレアの話す話題が尽きた時、アルテミスに聞いた。
「アルテミス。この惨状は一体どうしたの?」
「…あぁ。」
アルテミスは思い出すように部屋を見渡し。
「団員が死んで私もこんな状態であの子だけでこの拠点は大きすぎるからね。手が行き届かないんだよ」
「団員が…、もしかしてアンタレスが?」
アルテミスは頷いた。
ある日突然、アンタレスが目覚めた。
討伐隊を組み討伐に向かった。その中には彼だけは入れていなかった。
アンタレスに討伐隊は瓦解。アルテミスがアンタレスに取り込まれてしまった。
なかなか帰ってこない討伐隊を心配してきた彼が団員たちの無残な姿を見てスキルと魔法が暴走した。
自分が目を覚ました時には暴走して自傷する黒騎士の姿しかなかった。
「何が起きたかは彼のステイタスを見てもらえればわかると思う」
「アルテミス。それはダメよ」
多派閥にステイタスを公開することはご法度だというと。
アルテミスは問題ないといった。
「アストレア。君にお願いがあるんだ。」
「…とりあえず聞きましょう。」
「私とオリオンを連れてオラリオに連れて行ってほしい」
これは賢明な判断というべきだろう。この拠点はもう彼女立ちには手に余るしアルテミスの使命も終わっている。それならばオラリオで新たにファミリアとしてやっていくのも悪い判断ではないと思ったのだ。
そう答えるとアルテミスは違うといった。
「私は…もう、眷属を作れないんだ。」
「…え?そ、それはどういうこと?」
「おかしいと思わなかった?私の神意がまるでないことに」
「それは抑えているのではなく?」
「触ってみる?」
アルテミスは手を出し。アストレアが握る。アストレアが手を放す。
わずか数瞬の間、手を握っただけだがそれだけで分かったのだろアストレアが考え込んだ。
そうなってもてなしのお茶の準備ができたのだろう。黒騎士が、いや。見た目が十歳ほどの見た目の少年がお茶を運んできた。
その様子を今まで黙ってたアリーゼたちが声を出した。
「ちょっと待って、君さっきの黒騎士君?」
「何その呼び方?戦ってた人物かどうかはこれを見ればわかるでしょう?」
そう言って背中の大剣を見せる。
その大剣はさっきの黒騎士が持っていた長い大剣を目の前の少年が引きずらないぎりぎりに小さくしたような形状をしていた。
「それよりハイ。お茶。」
「ありがとう。」
「いただきます。」
「うん。おいしいわ。」
「…うん。うまくできてる。」
2人と2神がそれぞれに言う。
それで、とオリオンが会話に入る。
「どこまで話したの?」
「私の神意が少なくなっているってとこまで」
「遅いね」
「…ごめんね。君もいたほうがいいと思ってね」
「気を使わなくていい」
その話し方は主神に対してあんまりな態度だとアリーゼとリオンは思った。
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オリオンは目の前の状況に少し緊張していた。
(これが【
オリオンはこのダンまちの世界に転生してきた転生者であった。
彼自身は大学の単位とれてなくてやべーし、ラッキーくらいに考えていたのだが。転生した時間軸が暗黒期前と知り真面目に生きていこうと考えた。これ幸いにアルテミス・ファミリアでの生活の知恵はどれもこれも生きていくのに必要だと実感できるものばかりでよく学ぶことができた。
しかし、原作よりもはるかに早くアンタレスが現れて、原作宜しくパックンチョされたけど助け出すのが比較的早くできたので死んでしまうことはなかったが。自身で歩くことすら難しいほど衰弱してしまった。おまけに、彼以外の団員は死んでしまった。そのため、とりあえず墓作りをしながらこの先のことを考えている間に、アストレアが来た。
(どうしたものかね…。)
オリオンはアストレア相手になんていうか迷っていた。
実はというとオリオンは原作に対して一つ不満がある。それは
もちろん一人で生活できないアルテミスは連れて行くことになるがアンタレスが復活する可能性を考慮できなかったのは自分のミスだ。しかも、すでにアルテミスとはただならぬ関係なのだ。今更離れることはできない。
「単刀直入にお願いしたい。俺とアルテミスをオラリオに連れて行ってほしい。」
「…」
オリオンの願望にアストレアは黙りこくって考えた。
彼女自身アルテミスを気遣ってこの森で暮らしてほしいと考えている。それに今のオラリオは状況があまり良くない。闇派閥が少しづつだが目立つ動きを見せ始めているのだ。できれば解決できるまでオラリオに来るのを控えて欲しいと考えている。
しかし、それはアストレアの本音で本人の要望を無視して通していいものでもない。それにオリオンの言ったことにアルテミスは反対していない。ならば、
「オラリオに連れていくこと自体は問題ないでしょう」
「では」
「しかし、今オラリオに来るのはお勧めできません。」
「…闇派閥ですか」
「知っていたのですか?なら話が早…」
「アストレア。」
何が何でも本人の口からお願いを無かったことにしてほしいと言わせたい気を察した。アルテミスがアストレアに声をかける。
「君が我々に気を使てくれるのはうれしい。けれども、彼の願いをどうか叶えて欲しい」
「ではアストレア・ファミリアとして活動するのですか?先ほど新しい眷属は増やせないと言っていましたが」
金髪のエルフ。リオンが声を出した。
当然の疑問だ。神意の大半を失い。眷属が作れないほど神して衰弱してしまったアルテミスがステイタスを更新できるかはわからない。
「それも無理だった。だからアストレアに、他のファミリアに橋渡しをお願いしたい」
「要するに紹介ってこと?」
「そうだ」
アルテミスが言ったことをアリーゼは要約する。
アストレアは再び考え込む、
(フレイヤ、いえ。ダメね。信用出来てお荷物を持ってても入れてくれる規模のファミリア。ロキのところしかない)
「分かったわ。ただし。できるのは紹介するまで。入れてくれるかどうかは相手次第よ?」
「もちろん」
「そう。じゃあ。準備して」
そうしてオリオンのオラリオ入りが決まった。