シグナルザリガニ
| シグナルザリガニ | ||||||||||||||||||||||||
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| 分類 | ||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||
| Pacifastacus leniusculus (Dana, 1852) | ||||||||||||||||||||||||
| シノニム | ||||||||||||||||||||||||
| * Pacifastacus trowbridgii | ||||||||||||||||||||||||
| 和名 | ||||||||||||||||||||||||
| ウチダザリガニ タンカイザリガニ シグナルザリガニ シグナルクレイフィッシュ | ||||||||||||||||||||||||
| 英名 | ||||||||||||||||||||||||
| Signal crayfish | ||||||||||||||||||||||||
| 亜種 | ||||||||||||||||||||||||
シグナルザリガニとは、ザリガニ科に分類されるザリガニの一種である。
形状[編集 | hide all | hide | ソースを編集]
体長は平均で6~9cmだが、大きいものでは16~20cmになる。
鋏脚には白紋がある。
分布[編集 | hide | ソースを編集]
ロッキー山脈以西の北米に生息しており、カナダのブリティッシュコロンビア州、アメリカのワシントン州、オレゴン州、アイダホ州などに分布する。
ネバダ州のものは移入であり、ユタ州の個体群も持ち込まれた結果である可能性がある。アラスカ、コディアック島のバスキン川とバスキン湖でも発見されている。
分類[編集 | hide | ソースを編集]
ダナ・ジェームズ・ドワイトによりアスタクス属の新種として記載された。
アメリカの動物学者であるウィリアム・スティンプソンはAstacus klamathensisを新種記載した。1950年にBottはA. klamathensisを模式種としてPacifastacus属を提唱した。
本種にはP. l. leniusculus、P. l. klamathensis、P. l. trowbridgiiの3亜種が分類されるが、この3亜種は形状で区別出来ないことが知られている。日本の個体群は基本的にP. l. trowbridgiiで、淡海湖の個体群はP. l. leniusculusとされていた。
名称[編集 | hide | ソースを編集]
本種の和名として「ウチダザリガニ」「タンカイザリガニ」「シグナルザリガニ」「シグナルクレイフィッシュ」がある。
「ウチダザリガニ」は1957年に三宅貞祥によって提唱された名称であり、「ウチダ」は標本を持っていた『内田亨』への献名である[1]。「タンカイザリガニ」も三宅貞祥によって提唱された[2]。淡海湖で発見されたことに由来すると思われる。
「ウチダザリガニ」というと広義ではP. leniusculusを指すが、狭義では亜種P. l. trowbridgiを指す。種の和名として「シグナルザリガニ」「シグナルクレイフィッシュ」もある。
移入[編集 | hide | ソースを編集]
1925年、農林省がアメリカ・オレゴン州のポートランドより日本に移入した。
1926年から1933年にかけて北海道 (摩周湖)・東京府・福井県・滋賀県 (石寺内湖・淡海湖・大正池)の六ヶ所に放流が行われた。個体は生き残ったのは摩周湖と淡海湖のみである。
生息地の拡大[編集 | hide | ソースを編集]
1926年から1930年に北海道 (摩周湖)、滋賀県 (石寺内湖・淡海湖・大正池)、福井県 (猪ヶ池)、東京都、長野県、栃木県 (中禅寺湖)に放流された。
70年代には阿寒湖・釧路川下流域、80年代には釧路川中流域と斜里川支流札弦川緑池に、90年代には屈斜路湖 (釧路川源流)や然別湖など北海道南部を中心に生息域を拡大した。
00年代に入ると天塩川・おけと湖・シュンクシタカラ湖・支笏・洞爺湖・石狩川支流江丹別川など北海道北部や中部、福島県にも拡大した[3]。
2011年に新潟県[4]と福井県[5]、2019年に群馬県[6]、2024年に東京都[7]でも確認された。
規制[編集 | hide | ソースを編集]
特定外来生物の「二次指定種」として2005年12月14日に追加指定され、2006年2月1日に施行された。これによって無許可で生きたまま移動や飼育、輸入などが禁じられた。
駆除[編集 | hide | ソースを編集]
主にカゴ罠を用いて駆除される。使われるカゴ罠はアナゴ篭やカニ篭、エビ篭などである。
カニ篭やエビ篭よりアナゴ篭の方が漁獲で出来る[8]。
出典[編集 | hide | ソースを編集]
- ↑ 三宅貞祥 (1975年). ‘‘輸入種アメリカザリガニ・ウチダザリカニ(新称)2種の学名’’. 動物分類学会会務報告". 16 : 1-2頁. DOI:10.19004/jsszkaimu.16.0_1.
- ↑ 三宅貞祥 (1961年02月15日) ‘‘オレゴン州産ザリガニ属(Pacifastacus)の渡来とその現況(分類・形態・生態)’’. 動物学雑誌. 70 (1・2) : 57.
- ↑ 川井唯史 & 三田村敏正 (2003年). ‘‘福島県で採集された移入ザリガニ類の学名と和名’’. CANCER. 12 : 29-30. DOI:10.18988/cancer.12.0_29.
- ↑ 志田嘉幸 & 川井唯史 (2022年). ‘‘新潟県で新しく採集された外来ザリガニの種名と由来の推定’’. 伊豆沼・内沼研究報告. 16 : 21–32. DOI:10.20745/izu.16.0_21.
- ↑ 保科英人 (2011年). ‘‘ウチダザリガニの福井県からの記録’’. 福井大学地域環境研究教育センター研究紀要. 8 : 19-24.
- ↑ 星野亨, 群馬県立尾瀬高等学校理科部, 大高明史 & スミス ロビン J. (2019年). ‘‘群馬県菅沼におけるウチダザリガニPacifastacus leniusculusと共生ヒルミミズおよび貝形虫の新記録’’. 群馬県立自然史博物館研究報告. 27 : 99-106.
- ↑ 菅野貴久, 浅野真輝, 松本奈都美 & 盆子原武尊 (2024年). ‘‘東京都における特定外来生物ウチダザリガニの初記録’’. CANCER. 33 : 31-35. DOI:10.18988/cancer.33.0_31.
- ↑ 照井滋晴 & 河野明斗 (2018年). ‘‘春採湖における特定外来生物ウチダザリガニ防除に用いるカゴ罠の検討’’. Wildlife and Human Society. 5 (2) : 9-15. DOI:10.20798/awhswhs.5.2_9.
- Usio N., 中田和義, 川井唯史 & 北野聡 (2007年). ‘‘特定外来生物シグナルザリガニ†(Pacifastacus leniusculus)の分布状況と防除の現状’’. 陸水学雑誌. 68 (3) : 471-482. DOI:10.3739/rikusui.68.471.