『八犬伝』挿絵の説明 7

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柳川重信画 第十七回挿絵

前回に述べたように、寛正(かんしょう)元年(一四六〇)七月二十四日に八犬士の一人である犬塚信乃が生まれる。父親の番作と母親の手束は、命名を相談して、男子が育たない場合は女子の名を付け、女装させて育てると良い、という俗信に従い、「信乃」と名付け、女装させる。番作の姉でねじけ者である亀篠と、その夫で、これまた強欲な壻の蟇六には子ができなかったが、番作夫婦に対抗する積りで浜路を養女とする。信乃は女装には似合わず、学問武芸を好み、十年前に手束が拾って来た与四郎犬が大きくなったのに乗って、乗馬に備える。村人は、これを見て、感心する者も多い。が、亀篠・蟇六は、これを嘲笑う。窓の内から浜路を抱いて、信乃の騎乗姿を覗く亀篠の顔は、如何にも陰険そうだ。枠内の歌は、「思ひくまの人はなかなか

無き者を憐れに犬の主を知りぬる」(広本『拾玉集』)というもので、人の心を思いやる者はなかなかいないのに、犬こそが殊勝にも主人の心を理解している、という意です。この女装の男子が黒と白の混じった犬に騎乗する姿は、前回の伏姫神が八房に騎乗していた姿と対をなしているが、馬琴は、こうした構成法を「反対」(はんつい)と称するようになる。

 

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