…本日も、
同じファミリアとはいえ、日没までの間、殺し合いも同然とした戦いの中で、鍛錬に励んでいるのだろう。
「だが、そんな中でもギルドへの税金を納める義務がある。というわけで、今日はダンジョンで稼げドヴァリン」
「無理だ、今日はこっちはクエストがある。アルフリッグ、パス」
「ふざけんな、一緒にクエスト受けているだろうがお前、ベーリングもだろ」
「悪いな、これは3人用のクエストだったからパスで」
「俺たち4人で色々やっているのに、何でよりによってそんなの受けるんだよ!!」
「なお、取ってきたのはベーリングだ」
「お前かぁ!!いや、まずもうちょっと中身を見ろよ!!」
「「「お願いですよぉアルフリッグお兄ちゃぁ~ん」」」
「ぶっ飛ばすぞお前らなぁ!!もういい、だったらベル、貴様が向かえ!!」
「う”えええぇぇぇ!?」
だがしかし、本日はベルは…
「なるほど…それで、ベル様が急遽このクエストを出されたのですね」
「あははは、ごめんね。一人でもどうにかできなくはないと思うけど…ギルドへの税金を考えると、ちょっと心細くて…」
「まぁ、別に良いがな。良い素材が取れたらしっかりと分けてもらうぞ」
ダンジョン内にて、苦笑いを浮かべるベルに対して肩をすくめるリリにヴェルフ。
この3名でのダンジョン探索は慣れたもので、だいぶ前から組んでいるからこそこうしてゆったりと話がd系るのは良いだろう。
「だけど、本当にサクサク進みますし…流石、レベル5の『
「ははは…」
(他のところでは、数が少ないまともに話せるフレイヤファミリアの交渉役として『
リリの話す二つ名に、照れくさそうにするベル。
その一方で、こっそりとヴェルフは心の中でそうつぶやく。
曲者ぞろいの、フレイヤファミリア。
その戦闘力は高くあれども、誰も彼もが女神第一であり、団員たちの中でも争いが絶えない。
それゆえに、他ファミリアとのいざこざも多く生じ、女神自身がそうやすやすとギルドの言うことを聞くこともないため、あちこちで胃を痛める人が多い。
その中で、このベルに関してはフレイヤファミリア内ではまともに話せる数少ない常識人枠として、いざという時の交渉の場において呼び出され、重宝されるのである。
…ただし、常識人枠とされながらもそれはあくまでも人としての部分であり、実際には異常な速さでのレベルアップがあるため、これはこれであまり他の団員と大差がないのではないかとも言われていたりするが。
とにもかくにも、ダンジョン内を探索する中で、しっかりと彼らはモンスターを討伐し、ドロップアイテムや魔石を着実に回収して、換金できる量を増やしていく。
「それにしても、今回はちょっと下層まで来たけど、やっぱりそこのほうが稼ぎが良かったね」
「ああ、その通りだな。リスクが非常に大きいが、ハイリスクハイリターン…今回も、良い素材が集まった」
「あとは交渉で、いかにして設けられるか…うー、ダンジョンのモンスターよりも、そっちの方が難しいですね」
和気あいあいと話しつつ、ダンジョンから無事に戻り、バベルで換金してからきちんと税金を収めに向かう。
「はい、エイナさん。これが今回の税金です」
「ええ、確かに受け取りました。これで、今月のフレイヤファミリアの税金は完了ですが…今回もまた、きちんと払えたわね」
「ええ、幸いなことに色々とレアドロップが多くて…その分、換金率も良かったんです」
ギルドの受付にて、しっかりと税金を納めながら、アドバイザーであるエイナに対して説明するベル。
とはいえ実は、レアドロップを落とすモンスターが多かっただけではなく…実はちょっとした、秘密もあった。
(
とある騒動で巡り合った、あるモンスターたち。
下手すればファミリアの地位にも関わることだったが、色々と動いた結果どうにか収まり、ある程度の関係性を築くことができた者たちと触れ合う時間があったのである。
まぁ、その関係構築の結果、フレイヤファミリアの全体での戦力を見ればより大きくなったというのもあるが…何にせよ、こればかりはまだ堂々と表に出すことはできないので、秘密にはしておく。
しいて言うのであれば、交渉時にレイ…ハーピーの彼女がフレイヤと話し合う場においては、少しばかり女神の機嫌が悪くなった部分があるが、それはおいておくとしよう。ご機嫌直しに苦労したと、他幹部たちに詰められてその日の戦いがきつくなったのも、思い出したくはない。
「ああ、それとベル君。今月も、一応強制ミッションが出ているんだけど…これに関しては、参加する人がいるかな?」
「皆さん、好き勝手にやってますからね。わかりました、今回も交渉しておきますよ」
「頼むよ、ベル君。そうでないと、絶対にまた上からの叱責が来るからね」
その言葉に、どれだけの苦労があったのか詰まっているだろう。
ベルが交渉する前までは、ダンジョン内でもぶつかり合う者同士で行ってしまうこともあり、相当大変だったのだ。
そこに彼が来たことで…ようやく、ある程度はマシな組み合わせでやってくれるようにはなったのである。
まさに、『
「…と言うわけで、今度のミッションはオッタルさんと向かうことになりました、フレイヤ様」
「オッタルと?意外ね、あの子は大抵、一人で向かうけど…」
「先日、レオン先生と残光の伝授がありまして…それでダンジョン内でぶつけあう鍛錬をするとのことです」
「ダンジョンが大丈夫なのかしら、それ…?」
…後日、そのやらかしによって、深層でジャガーノートの大量発生が起こったのは言うまでもない。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!どれだけ出てくるんですか、このモンスターたちはぁぁぁぁあ!!」
「ふむ…これはこれで、鍛錬としては…悪くはないか」