トラブルの約7割が「生活騒音関連」、「新しいマンションほど増加」 うつ病や睡眠障害にもつながる騒音被害の背景
橋本さんは、相談先を誤ることでトラブルを助長するケースに注意してほしいと話す。 「マンションの管理組合の方に苦情を言って、貼り紙をしてもらうとしますよね。苦情を言われた方は、防音マットなどで対策を行う。ただそれでも音は響きますので、苦情を言った人は『上の住民は何もしてくれない、不誠実な人だ』と思い込んでしまいます。そこで直接苦情を言う。言われた側も『どんなに対策しても苦情を言われる』と相手に対する嫌悪感が募って、トラブルがエスカレートしていきます」 橋本さんは、トラブル解決のためには第三者の介入も必要だと話す。 「アメリカでは、NJC(Neighborhood Justice Center)という近隣住民とのトラブル解決の手助けをしてくれる組織があります。調停委員はトレーニングを受けたボランティアで、相談費用はかかりません。当人同士に2人の調停委員が加わって解決策を見つけていくのですが、10年前にラスベガスのNJCに調査に行った際に聞いた話では、トラブルの解決率は8割を超えているとのことでした。
日本にもアメリカのように、初期の段階で近隣トラブルに対応する公的な組織や制度が必要だと考えますが、現時点ではそういったものがないので、解決支援をしている民間企業の役割も評価できると思います。第三者に相談して、初期の段階で調整をお願いすることで個人間の争いが緩和されることもあります。 管理会社や管理人ができることとして、住民同士で日頃からコミュニケーションを取る機会を作ることも重要です。避難訓練やイベントなどを行うことでトラブルの予防につながってくると思います」 個人心理や人間関係で音の聞こえ方は変わってくるという。 「住宅街に保育園ができて、近隣住民から園児の声に苦情が来たことがありました。園長先生に伺った話なのですが、住民の方を招待して園児と一緒に餅つきをしたところ、苦情が減っていったそうです。参加されなかった家には、子どもたちがついた餅を持っていったそうですが、これはコミュニケーションが功を奏した事例に当たると思います。 顔も知らない人が出しているのと、顔が見えるのとでは音への捉え方が変わってきます。日常生活では必ずいろんな音が発生するので、こういった前提知識を持つ人が増えれば、音に関するトラブルは減っていくと考えています」