トラブルの約7割が「生活騒音関連」、「新しいマンションほど増加」 うつ病や睡眠障害にもつながる騒音被害の背景
新しいマンションほど音のトラブルが発生 専門家は「住宅の性能は良くなっても全く音がしないわけではない」
トラブルに遭いにくい物件を選ぶ方法はあるのか。八戸工業大学名誉教授で、音環境工学が専門の橋本典久さんは、不動産情報にヒントがあると話す。
「過去にトラブルになっている方が周囲にいないか、管理組合などに事前に確認するのもいいと思います。不動産情報を見て、木造や鉄骨造よりも遮音性が高い鉄筋コンクリート造の建物を選んだり、管理組合などに建物の床の厚みを確認したりすることもできます」 橋本さんは、トラブルに発展する原因は、物件そのものよりも「生活する上で音は必ず発生するもの」という認識と住民同士のコミュニケーションが時代とともに薄れてきていることだと指摘します。 「建物の構造が良くなっているので勘違いされている方が多いのですが、性能が良くなっても、決してまったく音がしないわけではありません。マンションはコンクリートの板一枚で仕切られているのですから、小さな音でも周囲に響くものです。かつて日本の住宅は長屋で周囲の生活音は筒抜けでしたが、生活音はトラブルに発展しませんでした。その理由に近隣づきあいがあると思います。音が聞こえてもそれがトラブルにつながるかは別問題だと思います」 国土交通省が5年に一度行っているマンション総合調査によると、新しくできたマンションほど生活音によるトラブルが増えるという傾向があり、2020(令和2)年以降に完成したマンションではトラブルの発生率が6割に届く勢いだ。
「音が響く構造は、おおよそ床の厚みで決まります。昭和30年頃の集合住宅の床の厚みは10~12cmで、現在の新築マンションでは25~30cmが標準です。例外のケースもありますが、昔に比べて建物の性能は格段に良くなっています。それにもかかわらずトラブルが増えているのは、人間関係が最も大きく影響していると思います」
「まず管理会社に相談」は有効ではない? トラブル対応はプロの第三者が介入するのも選択肢
実際にトラブルが発生した場合、どのように対処すればよいのか。先述のヴァンガードスミスの調査では、近隣トラブルを経験した際の相談先について、「管理会社」が最も多い一方(32%)、「相談していない・するつもりがなかった」「誰にすればよいかわからなかった」といった回答の合計が26.7%を占めている。