トラブルの約7割が「生活騒音関連」、「新しいマンションほど増加」 うつ病や睡眠障害にもつながる騒音被害の背景
生活音/騒音関連トラブルは夜間に発生、1年以上悩む人が半数
近隣トラブル解決支援サービスを展開する(株)ヴァンガードスミスが2024年に行ったアンケート調査では、過去に近隣トラブルを経験した人の68%が、その原因について「生活音/騒音関連」によるものと回答している。これは、ゴミ出しや駐車・駐輪、臭いに関するものといったトラブル事例より群を抜いて多い。
音の発生時間帯は、平日夜間(23:00〜翌6:00)と土日祝日夜(18:00~23:00)が最も高く(ともに43.1%)、次いで平日夜(18:00〜23:00:42.6%)、土日祝日夜間(23:00~翌6:00:42.6%)という結果になり、夜から夜間に発生する音を騒音と感じる人が多いことがわかる。また、そのトラブルが継続した期間について、1年以上続いたという結果が約半数(50.5%)を占め、長期にわたってトラブルに悩まされている現状が見て取れた。
GW明けから患者が増加
騒音問題が心身に影響を与える場合もある。岐阜県で循環器内科や睡眠障害などを専門とする阪野クリニックの阪野勝久院長は、騒音を理由に心身の不調を訴える患者には共通点があると話す。
「みなさん眠れないという症状を訴えます。不眠のほか、日中のだるさや集中力の低下、頭痛や胃腸の不調、イライラや気分の落ち込みなどを感じている方が多いです。3月に引っ越しなどがあり、4月から進学や仕事で環境の変化があって、それが少し落ち着いたあと、5月のGW明けから患者さんが増える傾向があります。不眠の症状が2週間以上続き日中の生活に支障をきたす場合は、早めの受診をお勧めします。社会情勢や生活不安なども影響していると思いますが、受診される方は年々増えています」 阪野医師は、夜間になると周囲が静かになるため、わずかな音でもうるさく感じられ、騒音被害が「また起きるのでは」という予期不安を抱くことも不眠につながると説明する。 「睡眠不足によって自律神経のバランスが崩れます。ぐっすり眠れている状態は、副交感神経が優位になってリラックスしているのですが、眠れないと一晩中、交感神経が優位になっています。十分な休息が取れず、体が常に緊張した状態になるので、高血圧や心疾患への影響もあります。代謝がうまくいかなくなって、インスリン抵抗性にも問題が出てくるため、肥満症や糖尿病のリスクが高まります。さらに、うつ症状などメンタルの病気にもつながりやすいです」 阪野医師によると、不眠の症状「寝つきが悪い、夜間に目が覚める、早朝起きてしまう、熟睡感がない」に加え、昼間の時間帯に「眠気、倦怠感、集中力の低下、イライラや情緒不安定、意欲の低下」といった症状がある場合に不眠症と診断されると話します。 「治療としては、まず、良い睡眠をとるための防音対策が必要になってきます。具体的には、耳栓をする、遮音性の高いカーテンや二重窓にするなど環境を整備すること。そして、認知行動療法としてリラクゼーション方法を習得してストレス耐性をつけることや、アンガーマネジメントについて学ぶことも役立ちます。それでも改善されない場合は睡眠薬を検討するのですが、あくまでこれは最終手段ですので依存性の少ない薬にとどめて、漢方薬を活用することがあります」