「いままで日本でできなかったこともできる」
V・ファーレンのゲーム後、ヴェルカの試合を観るため、スタジアムからアリーナへと観客が“ハシゴする”という光景があるというのだ。
総事業費は当初、500億円を見込んでいたが、結果として1,000億円に。資金は、すべてジャパネットホールディングスが自己調達した。V・ファーレンの場合、長崎市から新幹線でひと駅の長崎県諫早市に、大規模改修して間もない「トランスコスモススタジアム長崎」をホームとしていたが、それでも、クラブのメーンスポンサー・ジャパネットは、新スタジアム建設へと舵を切った。その理由は明確だった。
「トラスタは行政からの借り物。本当の意味で、Vファーレンカラーに染めることはできない。新スタジアムをつくれば、いままで、日本でできなかったこともできる」(折目執行役員)
収容人数は2万人と、トラスタとほぼ同じ。しかし、折目執行役員は「3万、4万席という考え方もあるが、器を大きくした分、建設費用も膨れ上がる。ならば、客席は2万にすることで、常にスタンドが埋まった雰囲気が作ることができる。そうすれば、『サッカーを観たい』というライト層も増え、チケットの価値も上がる」とみる。
サッカースタジアムは、「ハコモノ」ではなく、あくまで「商業施設」。だから、1,000億円をかけても意味がある。「サッカー場で採算は取れるのか」と問いには、「スタジアムシティ全体でペイする」と返すという。
「スタジアムシティが長崎の暮らしを豊かにするひとつの場所になればいい。ここで楽しんだ人が街へと繰り出す、また市民がここを回遊してくれれば、長崎はもっと魅力的な街になる」(折目執行役員)
長崎で生まれた大企業の思いはただひとつ、地元への恩返しだ。