『ベースボール不要論』

[副題]~大マスゴミと野球(よきょう)/現代日本の致命傷~
[副々題]~がんばれ日本! なくなれ読売!!~

第7章 大手マスメディアの大罪[2]

2005年05月13日 | 第7章
[2]

 はい、野球です。このあってはならないこと、つまりジャーナリズムが思いっきり「内部者」になってしまっていて、しかも、もうどうしようもないほどに凝り固まっているのが、この国の野球界でしょう。
 プロ野球・読売巨人軍の『読売新聞』、そして『読売』の大きな陰にひっそり隠れてウマイことやっている名古屋の『中日新聞』。そして、無邪気な高校球児たちに奇妙な教育を施す高校野球は、『朝日新聞』と『毎日新聞』が主催者。『毎日』は社会人野球もやっているようですね。
 また最近では、『TBS』や『フジテレビ』までもが、どこかの球団の筆頭株主になっているよう。なかでも、「球界の盟主」などと揶揄される(「揶揄」ですよね?)『読売』に至っては、もう特筆するまでもないのですが、日本プロ野球界を長きに渡って牛耳り、おのれの勢力拡大のため私物化してきました。もう最悪ですね。

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 日本の大手マスメディアはジャーナリズムの機能を全然果たしてくれません。また、その気もまったくないようです。わが国の主要メディアはもはやジャーナリズムでも何でもなく、単なる「情報屋さん」に堕していると断言できましょう。
 「野球は激しく動かなくていいから日本人にピッタリだ。だから野球を利用して勢力拡大をはかろう!」などと彼らが思ったかどうか、そんな大昔のことは知りません。が、「第四の権力」たる(わが国の場合は「第一」のような気もしますが)大手マスメディアの的外れな振る舞いが、無邪気な大衆を巻き込み、この国をとてつもない「野球やりすぎ国家」にしたのは紛れもない事実でしょう。
 そしていま、「今年はプロ野球改革元年です!」などと騒ぎ立てているのも彼らです。ナイーヴな人々は素直に喜んでいるようですが、じつは日本野球界の根本的な部分にはまったく変化がありません。このままでは日本の野球界に真の幸福は訪れないのですが、すべては彼ら、この国の大手マスメディアのせいだと断言できます。
 野球を愛するみなさま、もはや彼らにレッドカードを突き付けるしかないのですが、できますか?(つづく)

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第7章 大手マスメディアの大罪[1]

2005年05月11日 | 第7章
[1]

 はい、野球の話に戻りましょう。
 大変しつこいですが、私がいままでにネットリと述べた3点を繰り返しますと……

①日本人男性の多くは「へなちょこ」で、「楽をしよう、楽をしよう」という傾向が非常に強い。しんどいスポーツは真っ平ゴメン。だから、激しく動く必要のないボールゲーム、野球にドドーッと群がった。

②日本人は自由が苦手で、ルールに縛られるのが大好き。だから、自由度が低く、ルールまみれの複雑な球技、野球を選んだ。

③米国への見事なまでの屈服、盲従。USAという「上司」に対する、反吐が出るほどのゴマすり、擦り寄り、ご機嫌取り。

 以上の3点、なかでも①と③については、もうすでに世界の人々に見透かされているような気がします。ですが、まあ、これらはすべて私の勝手な推察、思い込みですね。どうぞ抹殺してください。
 でも、いまから述べることは厳然たる事実だと思います。もう一点付け加えましょう。わが国のマスメディアです。わが国の大手マスメディアが、この国をとてつもない「ベースボール大好き国家」にしてしまいました。

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〈大手マスメディアは日本スポーツ界の癌細胞だ!〉

 既成事実にめっぽう弱い現代日本人──。ですから、このことを理解できる人は少ないと思いますが……

  マスメディア(つまりジャーナリズム)が、スポーツの大会を主催したり、スポーツ団体を運営したりしてはいけない!

 理解していただけるでしょうか? これらの行為はジャーナリズムにとって明らかなる「自殺行為」。そして同時に、スポーツにとっては不幸この上ないことです。なぜなら、ジャーナリズムというのは常に「外部者」でなければならないからです。

 何事に対しても、常に「外」から検証をしたり論評を加えたりする立場、それがジャーナリズムです。つまり「アウトサイダーに徹する」ということですね。
 なのに、この国の大メディアは「内」に入ってくる。本来果たすべき役割を放棄し、いや果たすべき役割をまったく理解せず、おのれのちっぽけな利益や勢力拡大のためスポーツを利用するのです。ホント、変わった国です、私たちの国は。
 この変わった国のスポーツの風景で私をもっとも幻滅させるもの──。いくつもあるのですが、その一つに、冬場に毎週のように行われるマラソンや駅伝の大会があります。
 沿道で、大会を主催する新聞社などの旗をパタパタ振りながら応援する人々を見るにつけ、私は暗澹たる気持ちになります。「あんたたち、なに旗なんか振って協力してんの?」「この人たち、無邪気だなぁ。既成事実に弱いなぁ。しっかりしてよ~」って。ホント、ガクッとうなだれてしまいます。私だったらその旗に「あなたたちはジャーナリズムを実践しなさい!」「スポーツを利用するな!」などと書いてその新聞社に送り返しますよ。

 ジャーナリズムがスポーツの「当事者」(=「内部者」)になってしまうとどうなるでしょうか? その答えは至極簡単。そのスポーツ大会やスポーツ団体などに対し、正当な批判ができなくなってしまいます。「当事者」になった時点で単なる宣伝媒体に堕落し、「社会のため」のジャーナリズム機能(批判や提言などを行う)をまったく果たせなくなってしまいます。すなわち、これらの行為は「反社会的行為」だと言えます。
 以前、英国でこんなことがありました。「マンチェスター・ユナイテッド」というサッカークラブ、みなさんもよくご存じだと思いますが、この世界的人気を誇るサッカークラブを、オーストラリアのメディア王、マードック氏が買収しようとしたのです。しかしこのとき、英国政府は「社会の利益に反する行為」としてこれを拒否しました。正しい判断ですね。(つづく)

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