これは、始まりの英雄の物語。
それは、神々がまだ地上に降りる前。人々が魔物に脅かされていた時代
これは、とある滑稽な男の話
不相応な望みを持ち、幾多の思惑に翻弄され、それでも愚者を貫いた、一人の道化の物語
百を助けられないだが、一を助けるそういう英雄の物語
だが、もしも彼がこの時代いたら?この神時代にいたら?巡り合わせ、僕達、神々は知っている。そういう可能性は存在する事を。
だから、僕達、神は地上に降りてきた。神の力を封印して不便さと不自由さに囲まれて楽しく生きよう。
未知を求めて。そして見てみたい地上の子達のいいや、英雄を。
「ヘルメス様こんな所にいたんですか…なにおしているんですか?」
「アスフィ、英雄譚のアルゴノゥトを知っているかい?」
「なんですか、いきなり。勿論知っていますよ。誰もが知っている童話のひとつです。」
「多くの人々に騙されながらも、なし崩し的にミノタウロスを倒してしまう滑稽な話でしょう?」
「ああ、そうだ。語り継がれている物語と真相は随分違う。俺達が知っている英雄譚はなんの悲壮感もないただの喜劇だ」
「王国の闇はおろか数々の英雄がいたなんて書かれちゃいない。英雄譚は滑稽な喜劇であると意図的に後世に伝えられた」
「…先程から何を言っているんですか?」
「前に古代の王国の遺跡から手記が見つかったんだか。それが、アルゴノゥトの原点だった。」
「なっ、原点?」
「正確には、思いが綴られた手記だ。
書き手は3代詩人に数えられる語り部オルナ」
「ドワーフの大英雄、ガルムーザ、狼帝ユーリス、争姫エルシャナなど多くの英雄を3代詩人の一人ウィーシェと共に伝えた人物」
「彼女達の綴った詩が絶滅しかけた人類に希望を与え、種族の垣根を取り払い…一致団結に導いたとされる」
「そんな偉人がアルゴノゥトの真相を…?なにが書かれていたんですか?」
「言わない。…これは閉じて置かなければならない物語だ。書いた本人も手記の中で言っている。」
「…解せません。知ってほしくない真相を手記として残すなんて、矛盾しています。」
「知って欲しかったんだろう。たった一人でも、道化と言われるアルゴノゥトがなにを為し、なにをやり遂げたのかを。」
「全ては愛さ。アスフィ。男と女を超えた神愛にも勝る尊き愛だ」
「…貴方が言うと途端に胡散臭いです」
「…それに彼らの冒険は続いているさ。時にアスフィ、君は巡り合わせ、輪廻転生または前世は自分が何だったのかわかるかい?」
「…急にどうしたんですか?そんなのわかるわけないじゃないですか。貴方、神々くらいじゃないですか?そのようなことがわかるのは?」
「…それもそうだね。変な事を聴いてすまないね。だが、俺たちが直面する可能性かな。だが、めぐり合わせは確かに合った。僕達はある意味でそれを未知と呼んでいる。まあ、限りなく低い可能性だけどね。」
「…さっきからなにをおしゃっているのかわかりません。」
「まあ、そうだねしいていうなら神時代に英雄時代の英雄がやってきたなんてのは面白くないか。アスフィ。」
「…ありえませんよ。それに彼らはもう亡くなっているじゃないですか。」
「…そうだね。ま、ありえないね。多分、いや、きっと。」
「…何か隠してないですか?」
「…うーん。どうだろうね?」
「…はあ、また隠し事ですか?」
「…さてそろそろつく頃かな。すまないが迎えに行ってくれないかなアスフィ。あんまりまたせると女の子ナンパしてそうだし。」
「…はあ。それもそうですね。彼の場合ありえますね。しかしまだ12だと言うのに誰に似たんですかね。」
「さあね。彼の祖父か父親に似たんじゃないかな。じゃあ頼んだよ。アスフィ。アルクラネル君を迎えに行ってくれ」
「…分かりました。では失礼します。」
まあ、アスフィあたり任せた方が適任かな面識はあるし。何より女好きだし彼。
「…それにしても、本当にいいのかなー。ゼウスに許可は取ったけど。」
まあいいか彼の決めた道だ。さて、僕達にどんな未知を見せてくれるのかな?
はたまた、道化として終わるのか。見せてもらうよ
喜劇の英雄 アルゴノゥト
いや、アル・クラネル