ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真

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「彼女は酔っ払うとよく泣いていました。『もう疲れた』と言って……」──そう語るのは、高田馬場で刺殺された人気ライバー“最上あい”こと、佐藤愛里さん(22)を知る人物だ。【前後編の後編】

【写真】被害ライバー“最上あい”こと佐藤愛里さん(22)が事件前日に見せた笑顔

 事件が発生したのは3月11日午前10時ごろ、東京・高田馬場でのことだった。ライブ配信中だった佐藤さんは男に刺されて救急搬送。病院で死亡が確認された。警視庁栃木県職業不詳・高野健一(42)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕し、同月13日朝に殺人容疑で送検した。

 高野容疑者は「昨日、女性が“山手線徒歩1周”すると配信をみたので、今朝上京し、リアルタイムの動画配信をみて、被害者を探し出し犯行におよんだ」などと供述しており、計画的に佐藤さんをつけ狙ったと見られている。

警察の調べに対して、高野容疑者は『女性に200万円を超える額を貸しているが、返してもらえないため犯行する決心をした』と話しています。昨年1月、高野容疑者が栃木県警に金銭トラブルについて相談していた記録もあるそうです」(全国紙社会部記者)

 実際、宇都宮地方裁判所には、2023年12月、「被告・佐藤愛里」に対し、「原告・高野健一」に「2514800円及びこれに対する令和5年12月8日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え」と命ずる判決の記録が残っている。

 前回記事「〈愛里生きてね〉〈ずっとだいすきでいたいから〉“最上あい”さんと高野健一容疑者の出会って3か月後の“親密LINE”を詳報【高田馬場ライバー刺殺】」で報じたように、裁判記録によると、高野容疑者が「佐藤さんの勤務先」を訪ねたことから2人は対面でも会うようになった。その約3か月後には、LINEで〈高野いないと生きてけない〉〈オレも愛里なしじゃ生きてけない〉といった親密なメッセージを交わしている。

 20歳も年齢の離れた2人は、なぜこれほど急速に距離を縮めたのか。

 高野容疑者が訪ねたという「佐藤さんの勤務先」は、東北地方の街にある接客を伴う飲食店だ。NEWSポストセブン取材班が周囲を取材すると、付近の雑居ビルに入るバーで働く人物が、「アフターで何回か来てくれたことがありますよ」と当時を振り返った。

「彼女のことは覚えていますよ。2021年から2022年くらいにかけて、自分のお客さんを連れて4~5回来てくれたことがあります。お店の中でも、携帯電話で配信していたこともありました。配信サイトが『ふわっち』だったのかは分かりませんが。

 お金に困っていたのかは分かりません。お客さんにねだるような素振りもありませんでしたし。むしろ会計時にはお客さんに対して『店(佐藤さんの勤務先)でお金を使ってくれたから、ここは私が払います』ということもありましたよ」

 この人物によると、佐藤さんは「目立つタイプではなかった」というが、印象に残っているのはこんなことがあったからだ。

「彼女は酔っ払うと泣くんですよ。『何で泣いてるの?』って聞くんですが、『いや、いい』と言って塞ぎ込んでいました。何か話したかったのだと思うのですが、自分は店員ですし、あまり踏み込むことはしませんでした。

 普段は緑茶ハイを飲んでいましたが、お客さんとテキーラやシャンパンを飲むこともあって。そんな時は酔ってパニックになってしまうんです。店の窓から飛び降りようとしたこともありました。彼女が『もう疲れた』なんていうものだから、みんなで『早まるなよ』『相談あるなら乗るから乾杯すっぺって』って言って宥めたこともあります」

 当時、佐藤さんは精神的に追い詰められていたのかもしれない。この人物が佐藤さんを慰めていると、「過去に色々あって」と吐露することもあったという。

「彼女は複雑な家庭で育ったようです。実は自分もそうなのですが…彼女がどの段階から1人で生きていたのかは分からない。でも、大変だったんだろうなって。

 それに過去だけじゃなく、当時の生活のなかでも背負っているものはあったんじゃないかな。赤ちゃんがいると話してくれたこともありました。『お腹を痛めて産んだ子だからやっぱり可愛いよね』って言っていましたよ」

 前出の裁判記録からも、佐藤さんは2021年、18歳の時に第1子を出産し、当時は未婚だったとみられる。高野容疑者と裁判になった2023年時点では、ある母子支援施設に住所を定めていた。

 そうした佐藤さんが置かれていた状況が、動機として供述している金銭トラブルにつながった可能性がある。当時の2人の関係は、事件の真相に近づくカギになりそうだ。

 裁判記録に残る佐藤さんと高野容疑者のLINEのスクリーンショットには、こんなやりとりもあった。

▼2022年11月6日
高野容疑者 おはよ  6:31
高野容疑者 ちゃんと寝なよ 6:32

佐藤さん 大丈夫w 7:43

高野容疑者 ホンマかいな 7:43
高野容疑者 本気で心配してるんだからね 7:44
高野容疑者 レイク大丈夫そうだよ 8:35

佐藤さん ほんと??!  8:35

高野容疑者 返済は月16000円になる 8:36
高野容疑者  これも月末でいいかな? 8:36

佐藤さん わかた!  8:39

高野容疑者 50まんでおけ?  8:40
高野容疑者 増やすことはできないけど 8:42

佐藤さん 50、50よね? 8:44

高野容疑者 うん 

 前後のLINEメッセージから推測する限りでは、消費者金融から借金ができないと訴える佐藤さんの代わりに、高野容疑者が借りたということだろうか。全国紙の社会部記者はこう解説する。

「近年はライバーとして稼げるようになっていたようですが、当時はシングルマザーとして経済的に困窮していた可能性はある。そういった状況で容疑者に出会い借金を重ねるに至ったのではないか」

 凄惨な犯行がリアルタイムで配信されたこともあり、社会に大きな影響を及ぼしている今回の事件。捜査関係者の調べは続いているが、その真相には大きな注目が集まっている。

(前編を読む)

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