「殴る蹴る」よりも脳の一部が16.6%萎縮する…「激しい夫婦喧嘩」を目撃した子どもの脳に起きる深刻なダメージ
■親の脳も傷ついている 私たちの脳は、さまざまなストレスによって傷ついています。特に子どもの脳は傷つきやすいですが、大人の脳も同様に影響を受けます。たとえば普通のお母さんでも、周囲の協力が得られず孤独に子育てを頑張っている中で、育児ストレスや不安な気持ちが強まったとき、感覚処理能力が低下することがわかっています。感覚処理能力が低下すると、赤ちゃんの泣き声などの感覚刺激に対して反応しなかったり、逆に過剰に反応したりといったことが起きます。このような脳の状態が、マルトリを引き起こす可能性も推察できるのです。 マルトリは多くの親が経験することであり、マルトリをしてしまった親を責める気持ちはまったくありません。「またやってしまった」と思ったら、次は同じことを繰り返さないように気を付ければいいのです。もしコントロールできないと感じたら、専門家に相談することをおすすめします。脳を癒やすことで、改善します。傷ついた脳は修復できるのです。 ---------- 友田 明美(ともだ・あけみ) 小児精神科医 医学博士。福井大学子どものこころの発達研究センター教授。熊本大学医学部医学科修了。同大学大学院小児発達学分野准教授を経て、2011年6月より現職。福井大学医学部附属病院子どものこころ診療部部長兼任。2009~2011年および2017~2019年に日米科学技術協力事業「脳研究」分野グループ共同研究日本側代表を務める。著書に『子どもの脳を傷つける親たち』(NHK出版新書)、『新版 いやされない傷』(診断と治療社)、共著に『虐待が脳を変える 脳科学者からのメッセージ』(新曜社)などがある。 ----------
小児精神科医 友田 明美