ダンジョンにひたすら潜るのは間違っているだろうか?


メニュー

お気に入り

しおり
作:宮枝嘉助
▼ページ最下部へ


2/5 

第1話 【勇者】になりたかった男


 

 

 

 

 

 ──時は、神暦982年。

 この世界を救う救世主がとある都市のスラム街で産声をあげた。

 生後五年間を母と過ごし、病により死別。その後孤児院で暮らし、三年後にその孤児院を経営している主神のファミリアに入団する。

 

 それから十年が経った神暦1000年(ミレニアム)

 救世主は大きく成長していた。

 神の眷族として鍛え上げられた175C(セルチ)の肉体。

 燃え盛る太陽のように紅い乱れ髪に透き通るような蒼い瞳。

 紅を基調とした戦闘衣(バトルクロス)に、空色(コバルトブルー)を基調とした鎧。背中には白銀に輝く大型の両刃剣(バスタードソード)

 

 十年で第一級冒険者(Lv.5)も間近な逸材。

 その名は──!

 

「──人呼んで、【クシナダ・ファミリア】の救世主(スーパーヒーロー)! アルゴ・ロートとは俺の事さ!」

「………………」

 

 ──空気が死んだ。

 初対面の人にいきなりテキトーな暦まででっち上げた濃ゆ〜い自己紹介をぶちかまされて、白髪の少年は困惑していた。兎の瞳のように美しい深紅(ルベライト)の瞳も揺れに揺れまくっている。

 ……と、そこへ──

 

「おい、あいつもしかして最弱(ドンケツ)じゃねえか?」

「うぐぅっ!?」

「えっ? 最弱(ドンケツ)? どういう事なんですか? だって、Lv.4なんですよね?」

「……あ、ああ、そうだとも! (じき)にLv.5に到ってみせるがね!」

「だったらどうして……?」

 

 ──民衆の容赦無いツッコミがアルゴを襲う!

 白い少年(ベル・クラネル)は 混乱 している!

 

 何故なら、第二級冒険者を示すLv.4という数値は決して弱者の数値ではない。勿論それ以上を誇る第一級冒険者(Lv.5以上)には敵わないが、Lv.4ならば下位のファミリアを1人で壊滅させる事が可能と言っても過言では無い。

 ()()()()()()()()()中規模の闇派閥(イヴィルス)だって潰せてしまう──それがLv.4だ。

 

 それなのに、一体どういう事なの? 訳が分からないよ、と(ベル)が首を傾げていると、

 

「ああ、それはな、そいつのファミリアの連中はそいつ以外全員第一級冒険者(Lv.5以上)なんだよ」

「いやそれ単にファミリアが凄過ぎるだけですよね!?」

「そうそう。だから俺達もからかってるだけだよ」

「ふ、ふんだ! 悔しくなんかないもんね! ふ、ふんだ……ふん……うぅ……ぐすん」

「いや、アルゴさん滅茶苦茶ヘコんじゃってますけどぉ!?」

 

 ベル・クラネルの鋭いツッコミが冴え渡る。

 門をくぐって速攻で絡んで来た赤髪の青年は目の前で四つん這いになっている。一体何しに来たんだこの人。

 

「あははは、ただの持ち芸だから気にすんなよ。大体そいつ治療師(ヒーラー)だし。第一級冒険者の治療師(ヒーラー)とか聞いた事無えし」

「オイコラ、俺は治療師(ヒーラー)じゃねえ! 俺は勇者(ゆうしゃ)だああああ!!」

「突然立ち上がったかと思ったら何か変な職業(ジョブ)を名乗りだしましたよ!?」

「またまた。二つ名だって【癒者(ヒーロー)】なんだし。【戦場の聖女(デア・セイント)】や【女神の黄金(ヴァナ・マルデル)】に勝るとも劣らない立派な治療師(ヒーラー)だよ、彼は」

「ちくしょおおおおお【勇者(ブレイバー)】めえええええ!! 奴が居なければ俺が【勇者(ヒーロー)】を名乗れたのにいいいいい!!」

「本人全く認めてないみたいですけど!? というかその発言は危険過ぎる気がするので止めて下さい!?」

 

 ベル・クラネルがオラリオの門をくぐってまだ数十分しか経っていない。にも関わらず、ベルは早くもツッコミに疲れそうになっていた。

 これが迷宮都市(オラリオ)──!(違う)

 

「──さて、ベル君。キミは冒険者志望なんだよね?」

「あ、はい、そうです!」

「なら是非【クシナダ(ウチの)・ファミリア】に……と言いたいのは山々なんだけど、多分ウチだとキミは強くなるのに時間が掛かると思うからオススメしない」

「他の仲間とのレベルが違い過ぎるから、ですか?」

「その通り。勿論上のレベルの人が引率するような形で比較的安全に『冒険』してレベルを上げているファミリアもあるけれど、その方法は安全な分時間が掛かるし、何より引率の人のレベルが上げられなくなってしまう」

「はぁ……そうなんですね」

「ただ日銭を稼ぐだけの冒険者でいいならそれでもいい。もしベル君がただの冒険者なんかじゃなく『英雄』を目指すというなら──俺が勧めるのは皆で『冒険』して皆でレベルが上げられる……そんな少人数の新興勢力のファミリアだ。何だったらベル君が最初の1人目になっちゃうぐらいでもいい」

「『英雄』を目指すなら、皆で『冒険』出来るファミリアに……」

「──それに、大手に入って成長していくより、自分の力でファミリアをデカくしていく方がわくわくしないかい?」

「はい! 何だかその方がわくわく出来そうな気がします!」

「後、もしそれでも【ロキ・ファミリア】とか【フレイヤ・ファミリア】みたいな大手に入りたいなら、主神を街中で直接狙え」

「何か言い方が物騒なんですけど!?」

「ロキの眷族(ところ)の下っ端は傲慢な奴が多くて見た目で見下して来るし、フレイヤの眷族(ところ)主神(おや)の事が好き過ぎて眷族(ライバル)を増やしたがらないんだ。だけど、ロキは面食いだしフレイヤも()()食いだから、直接会えれば多分ベル君なら入団出来ると思うよ。結局の所、主神に気に入られないと眷族になれないからね」

「成程、神様に直談判した方がいいんですね!」

「まあ、それでもどうしても見つからなければ【クシナダ(ウチの)・ファミリア】に来なよ。そん時はキミのレベルの上げ方についてはウチの団長と考えるさ」

「分かりました! 色々ありがとうございました、アルゴさん!」

 

 俺としては出来ればヘスティアルートに行って欲しいけど、とアルゴは小声で付け足す。まだ神の眷族になっていない(ベル)の耳ではその小声を聞き取る事は出来なかった。

 

 アルゴは応援してるよ、とだけベルに伝えて去って行った。

 

 

 

 

──♤──♧──♢──♡──

 

 

 

 

 (アルゴ)は転生者だ。

 そう、前世の記憶がある。

 前世の名前も憶えている。

 だけどこの世界に産まれたからには俺はアルゴ・ロートとして生きていく。そういうモノだろう?

 

 物心が付くのと同時ぐらいに、俺は前世を思い出した。

 そして地名やら神やら色んな情報を聞いた結果、ここがダンまちの世界である事を確信した。

 

 同時に失望もした。何故なら俺の前世は竜にまつわる物語(ドラゴンクエスト)の信者だったからだ。

 この世界にも竜は居るし、何なら『隻眼の竜』とかいうヤバいのが居るのも知っているが、この世界に『英雄』は居ても『勇者』は存在しない。

 他のファンタジーみたいに職業(ジョブ)としての“勇者”も存在しない。

 だったら俺が“勇者”を名乗ってやる! と思ってももう“勇者(その字)”は乗っ取られてしまっている。

 二つ名としてフィン・ディムナが名乗っている【勇者(ブレイバー)】だって()()()()()()じゃない。

 

 そこで俺は、“勇者(ゆうしゃ)”を(もじ)った“癒者(ゆしゃ)”を使って、治療師(ヒーラー)ならぬ【癒者(ヒーロー)】を名乗っている。

 だから別に、そこはもう妥協したんだ。

 

 ──嘘である。

 この男、フィン・ディムナのレベルや知名度、名声も上回ればワンチャン“勇者”の字を奪って自分が【勇者(ヒーロー)】に命名されたりしないかと日頃から考え続けている程に根に持っている。

 

 

 

 

 ──閑話休題(まあ、とにかくだ)

 そこで俺の新たな楽しみというと、ベル君だ。

 

 前世でも彼の物語は楽しませてもらっていた。普段の『道化』のような物語も『英雄』のような物語も大好きだ。

 この世界に転生を自覚してから十数年。彼がこの都市(オラリオ)に来るのを首を長くして待っていた。

 今年の春頃に来るとしか知らなかったから、間違い無く最近の俺は門の近くを彷徨(うろつ)く不審者に見做されていたと思われる。

 オラリオの治療師を頼りに来た人を速攻で治したりしてたおかげで何とか憲兵(ガネーシャ)の世話にならずに済んだけど。

 

 

 

 

 ああっ! (なま)ベル君っ、いい! 素晴らしい! 打てば打つ程響くツッコミが本当に素晴らしい!!

 後は今後叫んでくれるだろう面白奇声(汚い声)も本当に楽しみだ!! 膝枕の時の奇声とか聴きたいし万能者(アスフィ)漆黒兜(ハデス・ヘッド)でも借りるか?

 

 ……ゴホン。さて、彼はどのファミリアに入るかな? やっぱり原作通りに【ヘスティア・ファミリア】か、それとも他のファミリアに入るか。

 『大抗争(あの時)』に道化師(ジェスター)の噂が立ってたって事は、アーディと出会ったら【ガネーシャ・ファミリア】入りも有り得そうだし、アリーゼ達と会ったら男性初の【アストレア・ファミリア】入りも有り得そうなんだよなあ。

 一応本人の意志を尊重したかったから大手の狙い方も伝えたけど、果たして【ヘスティア・ファミリア】以外でも憧憬一途(あのスキル)が生えるのかどうか。

 

 これは俺個人の妄想だが、『神の恩恵(ファルナ)』は()()()()()()()()()()()()()()()()なんじゃないかと疑っている。

 確か原作の表現だと『経験値(エクセリア)』を()()()()ステイタスに昇華するんだったか? ならばその『()()()()()』は本当にどの神様でも同じなのか?

 ウチのファミリアが第一級冒険者だらけ(バケモノぞろい)なのも、もしかしたら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()神様だからなんじゃ……なんてね。

 

 それに、俺が原作開始(これ)までに色々やって来た所為で、誰に対して『憧憬一途(リアリス・フレーゼ)』が生えるのか正直全く予想出来ん。

 しかもどうも『大抗争(あの時)』に2人が来なかったから、才禍の怪物さん(あの人達が)生きてる世界線っぽいし、そもそも全然違うスキルになるかもしれぬ。

 

 

 

 

 さあ、冒険(原作)の始まりだ──!

 

 

 

 

──♤──♧──♢──♡──

 

 

 

 

「皆、ただいま〜」

 

 俺は孤児院兼拠点(ホーム)の門をくぐる。

 今更ながら、【クシナダ(ウチの)・ファミリア】は、何系ファミリアっていうんだろう? 孤児院がメインだけど農業もやってるし、一応生産系ファミリアになるんだろうか?

 その割にはウチのファミリアってマジで化け物揃いなんですが。だって街の人にネタにされてた通り、俺以外全員が第一級冒険者(Lv.5以上)なんだぜ? いや、探索系でもないのにしょっちゅう『遠征』行くし、そんな事を十年以上もやってりゃそりゃレベルも上がるわって感じではあるけど。

 

「あ、おかえりアルゴ。もうすぐご飯出来るよ〜」

「ん、了解〜」

 

 今目の前を通りがかったツヤッツヤの黒髪ショートボブの童女(ロリ)がウチの主神のクシナダヒメ様。ヘスティア様に勝るとも劣らないロリっぷりである。いや、お胸のサイズは小人(リリルカ)ぐらいなのでロリっぷり(そういう意味)ではウチの勝ちではなかろうか。よってスサノオは間違い無くロリコン。(断定)

 だけど、実際『俺、ロリコンになってもいいや』って思えてしまうぐらいのマジな美少女なんだよなあ……流石は神。

 

 しかも話によると俺の為に下界に降りて来たんだそうで。

 俺が主神(かのじょ)に保護された時、前世の記憶(原作知識)がある事を話したら、急に異端児(ゼノス)を知ってるか? なんて訊かれたりして。それに頷いたら、何とクシナダヒメ様も降りる前に視てたから異端児(ゼノス)の事を知っていたらしくて。

 何でそんな話を? と思って訊いてみれば、俺が転生して来た時にもう1つ魂が下界に降りて来てたんだとか。つまり俺以外にもう1人転生者が居て、その魂がどうも迷宮(ダンジョン)に吸い込まれてったらしい。だから異端児(ゼノス)になってる可能性が高いっぽいからそいつを捜す為にしょっちゅう『遠征』してるんだとか。

 

 しかし、異端児(ゼノス)自体がある意味転生者みたいなモノだし、今の所見つかっていない。見分けがついてないだけかもしれないが。

 その為、異端児達(かれら)の中から転生者を捜す為に色々とやってきた。何処ぞの道化師(ジェスター)さんが残してくれた『鍵』を使ってクソッカス……もとい、人造迷宮(クノッソス)中を捜してみたり、その時に【暴蛮者(へイザー)】君と殺し(知り)合いになってみたり。

 

 ウチの基本方針が異端児(ゼノス)探しだからか、未開拓領域を見つけた回数は多分オラリオ1だと思う。ギルドに報告出来ない場所(当たり)を抜いても、だ。

 そして何故か未開拓領域には異常事態(イレギュラー)がやたら多い。まるで迷宮(ダンジョン)さんが『見るな』と言わんばかりに殺意高めでエグい奴を送り付けてくるんだ。

 だから多分、希少種(レア・モンスター)や強化種の討伐数もウチがオラリオ1なんじゃなかろうか。そんな原作さん並の修羅場ばかり潜ってればそりゃレベルも上がる訳である。

 

「あ、おかえりアルゴ」

「おう、ただいま与一(よいち)。あれ? 『先輩』達は?」

「ああ、えっと……(さくら)さんはまだ鍛冶場に居るよ。『団長』はギルドの呼び出しで、『副団長』はヘルメス様の所。それから『師匠』は『仕事』で、『爺さん』達はまた『竜の谷』だってさ」

「はあ、桜さんはともかく皆忙しそうだな。にしても『爺さん』達(あの師弟)は『竜の谷』行き過ぎでしょ」

 

 食堂には俺を含めて5人と一柱が揃っていた。

 男女比は女神様を抜いて3:2。『先輩』達を加えると最終的には7:4である。

 

 俺の質問に答えてくれたのは、無駄に艶のある黒髪に俺と同じ蒼い瞳のイケメンエルフ──ナスノ・与一。Lv.5。

 俺と同い年の幼馴染の1人である。エルフだけど魔法は苦手で、だが【天弓(てんきゅう)】というカッコいい二つ名の通り弓の腕前がヤバい。流石は那須与一。本人には言っても通じないけど。

 

「あらおかえり。今日は早かったのねアルゴ」

「ああ、ただいま(しずか)。今日で『用事』は済んだからな」

「ふうん……結局『用事』って何だったの?」

「ちょっと一目見たかった奴が居てな」

 

 次に話し掛けて来たのは、腰まで届く長い黒髪に紫の瞳を持つヒューマン──ミナモトノ・静。Lv.5。

 彼女も俺と同い年の幼馴染だ。あんまりオラリオでは見掛けない薙刀の使い手で、かつ『契約』こそしていないものの水の精霊との親和性がとても高く、【水薙姫(みずなぎひめ)】という二つ名を拝命している。流石は雨乞いの伝説が残る静御前。勿論本人には言っても(略)。

 

「何だよアルゴ、ナンパか?」

「違わい、(たける)。そもそも俺が探してたのは男だ」

「えっ? アルゴお兄ちゃん、男の人をナンパしに……!?」

「いや何でやねん、(しずく)。ちょっと落ち着け」

 

 続いて、黒髪に紺色の瞳の犬人(シアンスロープ)の兄妹──イチノミヤ・尊とイチノミヤ・雫。2人共Lv.5。

 尊は俺の幼馴染の中で1番のライバルだ。と言っても俺が全然負け越してるので俺の一方的なライバル認定だけど。『爺さん』を除けば1番居合が上手く、その戦闘スタイルは正直1番カッコいいと思っている。ちなみに二つ名は【一輝刀閃(いっきとうせん)】と、こっちもカッコいい。

 その妹の雫はファミリア1の天才少女だ。何せ俺達より5つも(ベル君よりも1つ)年下なのにもう去年の時点で第一級冒険者(Lv.5)なのだ。その成長速度と来たら、もしかしたら公式チート(アルフィア)並かもしれん。その為か、神様達からも【拳姫(けんき)】だなんて剣姫(アイズ)と同じ読みの二つ名を貰ってるぐらいである。

 

「ゴメン、遅くなっちゃった。あ、アルゴおかえり〜」

「ただいまです、桜さん。何か面白い刀剣(かたな)でも打ってたんですか?」

「ああ、うん。わざと刃の部分をギザギザにして、更に脂を染み込ませておく事で斬る時に摩擦熱で炎が「アウトォォォォオオオオ!! 桜さんちょっとストォォォップ!!」きゃああああああ!? な、何!?」

 

 いや、大変可愛らしい声で「何!?」じゃあないんだよ。(なーに)しれっと無◯刃造ろうとしてんだこの人!? いやでも壱の◯剣・焔霊、もといドラクエ脳的には火炎斬りはちょっとやってみたい……!

 でもアレって摩擦熱で炎が出るって事は、斬ってから刀身が燃える訳であって相手は燃えないのでは……いや深く考えるな、感じるんだ……!

 

 ──閑話休題。

 鍛冶中はお団子ヘアー、普段(いま)は肩に軽く触れるぐらいの黒髪ツインテール。名前(さくら)のイメージ通りの桃色の瞳を持つ小人(ロリの権化)──トモナリノ・桜。彼女もLv.5で、その二つ名は【(ちい)さな巨匠(きょしょう)】である。

 ベルより年上(リリルカ・アーデ)と同じように俺達より年上で、22歳。しかしフィン(アラフォー)を見ても分かる通り、何歳だろうと可愛い。

 『先輩』達の中では唯一のLv.5なので、成長速度的な意味では勝手に親近感を感じているが、オラリオ内でも椿・コルブランドと桜さんの2人しか居ない鍛冶師のLv.5って考えるとこの人も間違い無くやべー奴である。しかも椿(あっち)より遥かに年下だし。

 いや、まあこのファミリアでは人数的な問題で桜さんも迷宮(ダンジョン)潜ってくれないと困るので、他の鍛冶師達とはちょっと事情が違うような気はするけども。

 

「ヒメ様、何で無限◯造りそう(こんな)になるまで放っておいたんですか!?」

「いやぁ~私もヤバいとは思ったんだけど、アルゴの反応(リアクション)が見たくて、つい」

「何、世界が俺のツッコミを欲している……だと……!?」

神の(メタ)ネタが通じるって、いいよネ!」

「おのれアルゴォ……毎度毎度クシナダヒメ様と仲睦まじくしおってぇ……!」

「オイ止めろ与一、箸を投げようとするな! Lv.5の投擲はシャレになら……うおっ、危ねえ!」

「ふっふっふ……よーし、いいぞ……よく避けた……チィッ」

「舌打ち!? 今、舌打ちしやがったな与一!?」

 

 俺が孤児院で保護されてから前世ネタを隠さずに喋りまくってた所為で、現地人のハズなのにネタ台詞が飛び出す……そんなファミリアになってしまった。でも別に後悔はしていない。

 

「──で、『副団長』殿はどうせ【万能者(ペルセウス)】様と魔道具(モノ)づくりに励んでおられるんでしょうが、我等が『団長』様への呼び出しって?」

都市内に住め(いつもの)か、探索系に変えろ(いつもの)か、他派閥の助っ人(いつもの)か、どれかじゃね?」

「お兄ちゃん、それじゃわたししか分からないよ?」

「いやお前は分かるんかい! まあ3種類なら何となく予想は着くけども」

「『団長』だけの呼び出しだから、“迷子探し(いつもの)”じゃない?」

「いやだからどれだよ静!? ってかその言い方だと4種類目だな!?」

 

 阿吽の呼吸が伝わり過ぎて訳の分からん会話になっとる。

 まあ十年来の付き合いだし、それでも何となく分かってしまうんだが。

 確かに『団長』の魔法は人探しに向いてるし、他派閥の助っ人(いつもの)迷子探し(いつもの)の複合辺りが真相かねえ?

 

「ああ、今日はいつもの奴(そういうの)じゃないよ。ウチは探索系じゃないし、人数もそんなに多くないから今までずっと許可が下りなかったけど、遂に“解禁”さ」

「「「「「「──────!!」」」」」」

 

 主神(ヒメ)様の言葉に、俺は「いや知っとったんかい!」というツッコミも忘れて息をのむ。遂に、情報が解禁されるのか。

 

 現在のファミリア(おれたち)の最高到達階層は()()()()。その先は()()()()()からと、豚さん(ロイマン)が口を酸っぱくして俺達に先の階層に進む許可を出してくれなかった。

 まあ、俺達は先に進むよりも異端児(ゼノス)達を探す方を優先してたので、そんなに焦っていた訳じゃないんだけど、それでも“解禁”されるとなるとテンション上がりますな。

 

 と言っても、許可が出るのは強竜(カドモス)が出る51階層だけで、52階層からの『竜の壺』は許可出ないかもしれんけど。

 ……しかし、【ロキ・ファミリア】より一足先に51階層に行くとしたら、もしかしたら強竜(カドモス)を殺した怪人(あいつ)と遭遇する可能性があるのか。気を引き締めて行かないとな。

 

 

 

 

 結局、58階層までの情報が“解禁”されたが、今からすぐに準備しても【ロキ・ファミリア】の『遠征』と被ってしまうのですぐに『遠征』に行く訳では無かった。

 いや、別に仲悪い訳じゃないんだけどね。ホントだよ?

 ただレベル的な意味で滅茶苦茶意識されてて、俺達と『遠征』すると自分達の実力で潜った気がしないらしいからね、しょうがないね。

 

 

 

 

 確かこの時はまだベル君は女神(フレイヤ)に見つかっていないハズだから、念の為にベル君のストーカー(ウォッチング)でもして過ごしますかね。




 取り敢えず、しばらくの間はこのぐらいの人数で動かして行く予定です。

 まだオリ主のステイタスすら公開してませんからね。(汗)
2/5 



メニュー

お気に入り

しおり

▲ページ最上部へ
Xで読了報告
この作品に感想を書く
この作品を評価する