「第十三回、チキチキ我らの英雄集会〜!」
「わ〜、ドンドンパフパフ〜!」
ピンクの髪の少女(?)の声に一人の黒髪ロリが合わせる。
まばらに声や、拍手が響くある一室に10人の男女が円卓に座っている。
ここは、ダンジョンにあるセーフティエリアの一つ。
中でも特級の人よけの魔術がかけられた本来なら誰にも見つかるはずのない天然の最高級の隠し部屋。
その場所で、
「それでは、早速ながらこの軍神『お虎さん』から二つ、報告をば!」
銀髪の長い髪をたなびかせ勢いよく立ち上がった一人の凛々しくも美しい女性に残り9人の視線が集まる。
「まず、我らのファミリアは『守護姫』の筋書き通りに進んでいます」
「えへん」と言わんばかりにその口に笑みをうかべ、ある一部に視線を飛ばしながら、彼女は言う。
しかし、視線を飛ばされた者たちはその挑戦とも捉えられる視線には一瞥もくれることもなく彼女の言葉の続きを待つ。
「、、、むう、えー、おほん、」
彼女もその雰囲気を感じたのか、少し残念そうにしながらも気を取り直しながら言葉を紡ぐ。
これが、いつもの光景。
暗黒期を終えた時からこれまで、変わり映えのない報告が連なっている。
今回も同様の報告内容がまた始まるものだとここにいる誰もが思った。
ーーしかし、
「『兎』が来た」
その言葉に、全員に緊張が走る。
いつになく真剣なお虎さんの表情にその言葉は嘘で無いことが分かる。
と、なれば本当に『兎』は、彼は、この街にやってきたのだろう。
この、冒険者の街、『オラリオ』に。
ある者はこれから始まる物語に笑みを浮かべ、ある者は未だかつて無い戦いに胸を踊らせ、またあるものは英雄の到来に感謝の念を。
十人十色、千差万別、一人一人が『これから』に希望し、目を爛々とさせる。
パン!
「さてーー」
一つ手をならし、淡い紫色の髪の女は立ち上がる。
「皆さんもお忙しくなることが確定したことですし、本日は最終確認のみ行い、解散としましょうか」
女は微笑みながら円卓に座る者たちへ問う。
その様子に幾人かは興奮冷めやらぬ様子ではあるが、何も言わずに言葉の続きを待つ。
「まず、各ファミリアは『兎』の入団を阻止してください。」
これは、この世界が『ダンまち』だと気づいたときから決めていたことだ。
なんせ、主人公が変わってしまっては原作知識も何もかもが役に立たなくなる。
とは言いつつも何人かはもうすでに好き勝手に動いているのでどこまで原作知識が通用するかわかったものではないが、、、
「そして、
「了解しました」
「承知!」
「わ、わかりました」
女は一冊の本を開け、『これから』について各々に指示を出す。
「
「わかった」
「応!」
「りょうか〜い!」
「
「オッケー、彼には後で私から伝えとくよ!」
「
「任せな!」
「了解したぜ!」
「私達
カチャ
メガネを少し押し上げ、一呼吸おき、女は話し出す。
「我々がこの世界にきてから
その言葉に皆一様に顔を引き締める。
「救えなかった人々を、救わなかった過去を、悔いて、嘆いて、打ちひしがれたあの時は、全てこの時のため。」
思い出すは自らの力に酔いしれ救えなかった人々、手を伸ばしても掴めなかったあの理想。
「あの時、諦めずに前を向いたのは今日より来る『これから』のため」
諦めを踏み潰し、自らに血反吐を吐いて踠きながらも、手を伸ばし明日を掴み、今日まで進んできた。
「故に今こそ言いましょうーー」
女は静かに円卓を見渡し、一人一人を見る。
「私達は今日より新たにこの世界に
彼らの物語は今、こうして始まる。