【岸田改造内閣を斬る 財務省主導の介護行政】医師会にパイプ持つ武見新厚労大臣診療・介護報酬改定で懐柔策探る
遙矢当(はやと)@Hayato_barrier
去る9月13日に、第2次岸田改造内閣が発足した。私の目線で言うと、日本医師会出身の武見敬三の厚生労働大臣入閣に着目したい。一報を聞き、武見とその一族の経緯を振り返りながら、呆然としたのが率直なところだ。
コロナ禍にあった近年の厚生労働大臣は、加藤勝信と田村憲久の両者による輪番で回っていた。「平時の加藤、有事(報酬改定)の田村」だ。予定調和的だった厚生行政の中、医療・介護の関係者にとって、武見の大臣就任は正に寝耳に水だった。
これまでの議論で来春に向け内々定していた報酬改定決議など、今後の医療、介護の動向は全く分からなくなった。
武見敬三自身は医師ではないが、医療業界、特に医師なら「武見」の名を知らぬ者はいないだろう。武見の父・武見太郎は、戦後に医師の職能団体である「日本医師会」を牛耳り、事実上今日に続く自民党と医師との癒着を確立させた人物だ。その孫に当たる武見は、やはり「父の威」を借り、医療との癒着関係が長い。自民党の「業界代表枠」で参院議員を長く勤めているのも、そのためだ。
武見は早速記者会見で、「私は決して医療関係団体の代弁者ではない」(=9月14日)とうそぶいた。だが医療の世界で真に受ける者はいない。武見の起用は、医療の代表者であるとともに、政府の医療政策を落とし込むための入口としての役割が大きいだろう。
武見に求められているのは、多数の問題を抱える医療業界の懐柔だ。24年に予定されている診療報酬、介護報酬の改定では、 給付額の減少が確実だ。また、医師・看護師など、医療職の人材不足。さらに、暗礁に乗り上げたマイナンバーを、強制してでも市民に取得させ、医療活用を推進するだろう。
岸田は独善的な政権運営の下、2023年中には総選挙というカードを切るかもしれない。そこで岸田は、今回は武見を政権のひな壇に引きずり出し、医療や介護の問題を突破したいのだろう。岸田政策で医療業界が逼迫しても、選挙で業界内の自民党支持者を離れさせない必要があるからだ。
介護の見識がない厚労大臣
武見には介護事業への経験も見識もない。むしろ同じく新入閣の医師出身の自見はなこ特命大臣の方が、父娘共に(父は故・自見庄三郎)、福祉や介護への見識は深い。
介護事業も報酬改定が24年に控える。近年、財務省主導で介護関連の政策が決まる傾向が顕著になっているが、これを何としても覆したい介護関係者によるロビー活動も多数展開されている。だが武見の厚生労働大臣就任は、いわば卓袱台返しだ。関係者の努力が水泡に帰すかもしれない。
とは言え、武見が介護や福祉事業より、本分である医療業界への支持取り付けのみを優先させても、それが問題だと思える政府関係者も少ないのだろう。これは岸田内閣が、またもや政策の優先順位を見誤っていることの裏返しだ。生命に関わる政策が第一ではないのだ。悲惨な現実として留めておきたい。
私のような人間は、このように逆説的な観点から、岸田内閣の無目的な組閣と政策の無策を見るのだ。
【参考】首相官邸ホームページ(第2次岸田第2次改造内閣 閣僚名簿)
(人民新聞 2023年10月5日号掲載)
いいなと思ったら応援しよう!



コメント