ifの白兎の英雄譚


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作:みんぐ
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入団試験①


今日までプロット組んでました。
実は1話はノリと勢いで書いていたのだ、、、


「本気か、フィン?」

 

翡翠色の美しい髪を長く伸ばしたその王妖精(ハイエルフ)──オラリオの誇る第1級冒険者の1人、リヴェリア・リヨス・アールヴはそう問いかけていた。

 

「入団試験者への乱戦闘技(バトルロワイヤル)、この方式では、恩恵の持たない者に勝ち目が無い。それに、受験者にレベル2がいた場合その者が勝ってお終いだろう。」

 

片目を瞑り、真意を問いかけているその声に金髪に碧眼をもった小人族(パルゥム)の勇者は反論する。

 

「僕たちのファミリアも余裕が無い。入団試験と銘打ってはいるが、この試験はロキ・ファミリア(うち)に入りたい冒険者(荒くれ者)を諦めさせるもののためだ。後進育成なら間に合っている。この試験で誰かを採用するつもりは、今のところない」

 

勇者(ブレイバー)、フィン・ディムナはそう言ってのけた。ファミリアの財政、ロキ・ファミリアに入りたい者に仮初の─()()()の機会を与えようというのだ。

 

「採用する気がない、か。」

 

リヴェリアは、目を細めながらフィンの言葉を口にする。冒険者を、入団試験希望者を騙すような真似を潔癖なエルフは許さない…だが彼女は常のエルフよりも柔軟であり、ファミリアの切迫した状況、そして不満を持った冒険者(荒くれ者)の理性の無さを知っている。頭ごなしに叱り、止める真似はしなかった。その代わりにもうひとつ問いを重ねる。

 

 

「入団者の中で、とりわけ優秀、入団に値すると判断したものは入団の機会を与える。最低限の筋は通すべきだ。」

 

「ンー、そうだね。有望な者は採用する。絶対的に全員を落とす訳では無いよ。それこそロキの目に叶う第2級冒険者なんかが来たら採用は確実だろう。」

 

 

第2級冒険者なら1次試験も通るだろう…という指摘は喉の奥に押しこんで、リヴェリアは始まる試験を想像した。

 

「どのような試験になるか・・・」

 

 

 

 

△ △ △ △

 

 

 

 

黄昏の館、中庭。

その()()()()でベル・クラネルは細く、装飾の少ない剣を構えていた。灰色の柄の剣を握るその姿に緊張はなく、目を瞑って落ち着いていた。対して、ほかの受験者はベルの周りを離れるかのようにいる

当然だ。 40人がいっせいに戦闘を始める乱戦においては、いかに後半まで生きる残るかが肝となる。よって好き好んで中庭のど真ん中に居座ろうとしないのである。 大抵は端の方にいることで背後からの警戒をゆるめる。

 

 

──そんな中、中庭のど真ん中に居座るベル・クラネルはやはり異質だった。

 

 

周囲からの視線を一切意に介さず、この場にいるベル・クラネルの真意は─

 

 

(あと数分で試験は始まる。わざわざど真ん中に陣取った意味だけど、やっぱりこれは試験な以上、試験監督者に認めて貰うわなきゃダメだろう)

 

─監督者へのアピールの為だった。

後半まで残るのが当たり前かのようなその思考は傲慢にようでもある。しかしそんなことは気づかず、ベルは精神統一をする。

 

 

(大丈夫。落ち着こう。見たところ本当に強そうな人は周りにはいない。あの猫人(キャットピーブル)の男性は強そうだったけど、それでも今周りにはいない。)

 

 

「用意はいいかい? 1次試験、スタートだ。」

 

突然発せられた声はこちらの注意を引き付け、唐突に始まりの合図を告げる。その声が聞こえた瞬間、一瞬の静寂とともに、冒険者の雄叫びが聞こえた。

 

 

「「「うぉおおおおお!!!」」」

 

 

続いて聞こえるのは、武器と武器が弾ける鋼の音。バチバチと戦いの火花は散らされている。

 

「くたばりやがれ!」

 

口の悪いドワーフの戦士が狼人(ウェアウルフ)の男性に大きな斧を叩きつける。それを必死に避け、戦ううちに今度はドワーフの男性が別の男性剣撃を喰らい、苦しみ喘いでいた。

 

完全な乱戦だ。誰が誰を攻撃してるのかもわからず、ただ近くにいる人を攻撃し、必死に避け、防御する。誰もが余裕と正気を失い戦っていた。

 

 

 

──そんな戦いの最中、ベル・クラネルの動きは常軌を逸していると思われるほど神がかっていた。

 

 

「――――」

 

背後から振り下ろされる─恩恵(ステイタス) の刻まれた身から放たれる─荒々しく、重たい剣撃。それを恩恵(ステイタス)の刻まれていない身でありながら、音だけで感じとり、身体を少し傾けるだけで回避。そのままベルの身体は駒のように回転し流れるように相手の身体を切り裂く。

 

 

「───後ろ。前。左。」

 

 

うわ言をつぶやくかのように無意識に放たれるその言葉。その言葉通りに振り下ろされる槌、大剣、そしてこちらの心臓を一突きにしようと迫る細剣(レイピア)。3方向から迫る武器は、一見すると逃げ場などないように見える──否、逃げ場などないのだ。逃げ場などないのにも関わらず、ベルはその状況を覆してみせる。自身の持つ剣を、目の前から迫り来る細剣(レイピア)の底に添わせる。そうして方向補助(ナビゲート)するかのように自分の剣を使って、相手の細剣を見当違いの方向にずらす。

 

 

「うおっ!?」

 

 

体勢を崩した男を盾に迫り来る剣撃をかわす。そうしてベル・クラネルは1人、また1人と、この乱戦闘技(バトルロワイヤル)に脱落者を増やしていく。

 

 

「次だ」

 

 

 

 

△ △ △ △

 

 

 

 

 

───勇者(ブレイバー)、フィン・ディムナは、目の前の光景――正確には少年の()()()()()()を信じられずにいた。

 

 

 

その理由は、見るからに恩恵を持たない人間が恩恵を刻まれた人間と渡り合っているからでも、複数の敵から囲まれた状況を傷1つ付かず凌ぎ切っているからでもない。

 

驚くべくは、少年の剣筋、足運び、体勢、全てに見覚えがあるからだ。

 

 

───それは、長い神時代(しんじだい)の中でも最強のファミリア

 

───それは、全冒険者の中で最強と謳われた眷属。

 

あれは…あの動きは…あの構えは────

 

 

「ゼウス・ファミリア団長 レベル8【英傑(マキシム)】…!」

 

 




持久走が終わって嬉しい
テストが多くて辛い。
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