ベルは全ての業務を終わらせ酒場でウイスキーをロックで飲みながら炙った燻製ベーコンと燻製チーズを肴にして食べている。
「あっ、ベルさんお疲れ様っす!!」
「ゴブタ殿もお疲れ様です」
ベルに声を掛けてきたのは
「いやー、今日も師匠が厳しすぎるっすよ」
「それはハクロウ殿がそれだけゴブタ殿を見込んでいるからでは?それに前はミリム様にも修行を付けてもらっていたと聞きましたが」
「悪いっすけど、そのことに関しては思い出したくないから話したくないっす」
「それは失礼」
そうして、夜は更けていくのだった。
翌朝、ベルはリムル様に呼び出され執務室に向かっている。
「リムル様、ベル・クラネル御身の前に馳せ参じました」
ベルは部屋の入室とともに右手を左胸に当て頭を下げながらそう挨拶をする。
「おう、朝早くに呼び出して悪いな」
「いえ、主の招集にどんな時であろうとどんな場所であろうと馳せ参じるのが臣下として当然のことです」
「あ、うん、そっか」
ベルのさも必然と言わんばかりの言葉にリムル様はベルの見た目も相まって若干引いた。
「リムル様、僕を呼ばれた理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?早朝のこの時間にリムル様の呼び出し・・・緊急案件と見受けられますが」
「あ、いや、うん。お前に関係する重大案件かな」
「僕に?」
「あぁ、お前休み全然消化してないじゃん」
「え?そうですか?」
「え?」
ベルのまさか返しにリムル様は戸惑う。
「でも、たまたまヴェルドラ様やラミリス様のお願いされて動いてる時もありましたけど・・・まぁ自分から働いていた自覚はありますけど」
「あいつらかーーーーーー!!」
ベルの無休の労働環境に問題児共が関わっていることを知ったリムル様は三ヶ月おやつ抜きを決めたのだった。
「ともかく、今のお前の勤務状況を見て強制的に長期休暇を与えることにした!!」
「えぇ!?」
リムル様の一声にベルは悲鳴を上げる。
「当たり前だろ、ヴェルドラ達のせいでもあるがお前にも原因があるからな!!」
「リムル様ぁ・・・」
「止めろぉ!!そんな捨てられそうな兎が見つめるような顔しても取り消さないからな!!」
リムル様はベルの視線での懇願を跳ね除け、更に言葉を重ねる。
「これに関してはテスタロッサも了承済みだからな!!」
「え」
その時、ベルの眼から光が消えた。
「義姉様が?了承済み?嘘ですよね、嘘だと言って下さいリムル様・・・」
まるで幽鬼のような動きでリムル様に近付き発言に否定を求めるベル。
「お、おち、落ち着けぇ!?」
なにかヤバい地雷を踏み抜いたと察したリムル、その時扉がノックされる。
《リムル様、テスタロッサです》
「おぉ、入れ」
「失礼します・・・、ベル何をしているのですか・・・」
「義姉様、僕知らない内に義姉様に不快なことをしてしまったのでしょうか?義姉様は僕のことが嫌いになったのですか?お願いです、嫌いにならないで!!捨てないで下さい!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・・・・」
ベルがテスタロッサに涙を流しながら
「ゴフッ・・・!!」
愛する義弟にこんな顔をさせてしまった自分と悪魔としての性故に可愛いと思ってしまう自分に自己嫌悪した結果、
「テ、テスタロッサァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
救いとしていたテスタロッサがベルの言葉に倒れリムルは叫び声を上げ、ちょっとした騒動となった。