第二の人生はポンコツになるって決めたんだ。
昨日は母親の誕生日だった。電話したら「ひぃ〜ひっひっひっ!いまはパチンコ屋だ!第二の人生はポンコツになるって決めたんだ!」と、妖怪みたいに笑った。母親は六十九歳になった。六十九歳おめでとうと言ったら「ロックだぜ!」と言った。俺は、この人から生まれたんだなと思った。最近の母の悩みは、ゴディバをディゴバと言ってしまうことだ。どうしても覚えられないらしい。
兄と遭遇した。仕事の調子を聞くと「まあまあだね」と言った。母が現れて言った。真吾(兄)が飼っているヤモリだかイモリだかが卵を産んで、それが陸に上がったら一匹二千円で買ってくれる業者がいる。私は欲たかりババアになって、俺にも金をくれ、俺にも金をくれと言っているんだ。兄は会社をやっている。だが、会社の話よりも、いつも爬虫類の話ばかりする。実家は、兄がブリードしている爬虫類で埋め尽くされている。母親の夢は、兄からパチンコ代を取り立てることだ。
父親は家でテレビばかり見ている。母親はそのことがおおいに不満で、姉に「あんたからもなんか言ってくれ」と頼む。姉は「私が出たらお父さんは二度と立ち上がれないダメージを受けることになるだろう」と怖い事を言ったり「嫁いだ私は坂爪家を出たのだから関係ない」と言って逃げる。そんな姉が骨折をした。幼少期から「イモを引く真似はするな」「金を借さなくて殺された人間はいるが、金を借りて殺された人間はいない」「ブランキージェットシティの価値がわからないお前に価値はない」と言っていた姉も、骨折をするのかと感動した。姉も、私と同じ人間だったのだ。
私は、最近、作家の吉本ばなな大先生とお食事をした。姉は吉本ばなな大先生を愛読していた。吉本ばなな大先生とのお食事を経た今、事実上、姉は、私の下。幼少期から血祭りにあげられていた弟(私)にも、いよいよ下剋上の機会が訪れた。しかも敵(姉)は骨折している。これまでの恨みを晴らすのだ。元柔道部主将の姉に復讐をする、またとない大チャンスである。と、ここまでは威勢がよかったのだが、直前に怖気ついて菓子折りの下に金を忍ばせて会いに行った。そして「お姉ちゃんが登録しているネットフリックスを俺にも使えるように調整してください」とお願いした。
父親は、最近、私が登録しているアマゾンプライムで映画を見まくっている。そのことがさらなる母親の不評を買うことになるのだが、そんなことはお構いなしだ。有料チャンネルにもバシバシ登録をする。申し訳ないと思ったのか「映画代」と言って、私に金をくれた。このような形で、坂爪家の経済はまわっている。問題ばかりの坂爪家だが、問題ばかりで問題はない。何も問題はない。坂爪家一族を見ていると、怠け者とは、幸せになることを怠けている人のことを言うのだと思う。その点において、坂爪家の一族は、みんな真面目だなと思う。真面目に不真面目なのだなと思う。
おおまかな予定
3月13日(木)新潟県新潟市界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)
連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com
SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z
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