乳腺外科医に再び無罪判決 「患者の胸なめたと断定できず」 東京高裁、差し戻し審

東京高裁
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手術後の女性患者にわいせつな行為をしたとして準強制わいせつ罪に問われた乳腺外科医、関根進被告(49)の差し戻し控訴審判決公判が12日、東京高裁で開かれた。斉藤啓昭裁判長は「1審の判断に誤りはない」として、無罪とした東京地裁判決を支持、検察側の控訴を棄却した。

関根医師は、東京都足立区の病院で平成28年5月、執刀した女性患者の胸をなめたなどとして起訴され、公判で無罪を主張していた。

女性の胸に付いたDNAの量をどう評価するかが主な争点だった。

斉藤裁判長は1審に続き、女性が手術で使用した麻酔から覚める際に意識障害が起こる「せん妄」に陥り、幻覚を見た可能性を「排斥できない」とした。

その上で、女性の胸に関根医師のDNAが多量に付着し、そこに唾液が含まれている可能性が高いとしても、会話などの際に唾液の飛沫が付いた可能性も否定できないと指摘。「医師がなめたことで多量の唾液が付いたとは断定できない」と結論づけた。

31年2月、1審は無罪判決を言い渡したが、令和2年7月の2審東京高裁判決は懲役2年の実刑とした。最高裁は4年2月、DNA型検査の結果は「信頼性に不明確な部分がある」として、審理を高裁に差し戻した。

東京高検の伊藤栄二次席検事は「判決内容を十分に精査し、適切に対処する」とコメントした。

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