猫捕獲に関するあれこれ

猫を捕獲するにあたって必要なあれこれの話



ばくわな実戦ファイル


file04 捕マラナイ猫モ捕ラエルベシ


失敗重ねるべからず Don't repeat!
前回file03では、通常の捕獲器だといかにも手こずりそうな難敵猫を、ねらい通り一撃で捕らえることに成功した。

しかし、いつもあのようにうまくいくとは限らない。

猫の気まぐれな行動で罠が予期せぬ誤作動を起こすこともあるし、こちらも新しいことを試す時などは、実験的にあえて失敗しそうな罠を仕掛けてみることもある。
それで同じ猫で2回3回とそのような失敗が重なると、さすがに猫の方も警戒するようになってくる。
警戒心の強い猫だと1回の失敗でも以後の捕獲が難しくなることがある。

ばくわなのような罠だと猫の方もこちらが捕獲しようとしてるとまでは思わないだろうが、餌を食べようとしたら何かが落ちて来る、少なくともこれはなんらかの攻撃だと認識するようになるのではないかと思う。
そこの餌を食べようとすると何かが落ちてきて危険である、と学習すればよほど餓えてるような場合でもなければそこの餌は避けようということになるわけです。
そのような状況になったらどうしたらよいか?という話です。

ばくわななら Don't mind!
なかなか困った状況のように思えますが、たいていの場合大丈夫です。
理由は、たいていの猫はさほど頭が良くないからですw

しばらくの間は「そこの餌はさけよう」と思っているかも知れませんが、そのうちころっと忘れます。
一か月もすれば忘れるんじゃないでしょうか?
三か月くらいたってれば確実に忘れてますね。

箱型の捕獲器の場合はそれでも難しいかもしれませんが、ばくわななら大丈夫です。
ばくわなの餌はすぐ見えるところにある、少し首を伸ばせば届くところにあるので、少しでも餓えていたらその餌の誘惑に勝つのは難しい、というのがまずあります。

猫対策としてよく知られているトゲトゲシートや超音波装置なども最初は効果があるかもしれませんが、結局たいして実害がないと猫が知ってしまうとなれてしまって効果がなくなります。
それと同じで、ばくわなに首を入れると攻撃を受けるかもしれない??というのも、それで実際ものが落ちてきても捕まらなかったということはそれ以上何もなかったのですから、そんなことをいつまでも覚えているわけがないのです。
もとから警戒されにくい罠な上に、少し時がたてばそんなことさえもすっかり忘れます。
それよりも餌への欲求の方がはるかに大きいのですから。

なので警戒されてもばくわなの場合は気にせず掛け続ければ良い、それだけです。
それでいずれ捕まります。
少し確実を期すならしばらく仕掛けるのをやめて、猫がすっかり忘れたころに仕掛ければ良い。

以上。
ですが、これで終わってしまっては面白くないですね。第一、実戦ファイルになってない…
というわけで気を取り直して、今回は別の方法を試します。

不動のかまえで Don't move!
そもそも、猫は動くものに反応します。小さな捕食対象か大きな敵かで動く方向が逆になるだけで、その瞬発力はいずれも人間の反応速度を超えているので捕らえるのに苦労するわけです。
一方、猫は動かないものには反応しない反応できない。
ならば動かずして捕まえれば…。
紐を動かさずに…
そんな罠がありました、そう紐罠の出番です。
紐罠は動かないがゆえに猫に警戒されることがない。猫とスピード競争をする必要もない。
猫が気づいたときには、もう捕まっているのです。



ということで今回はばくわなと紐罠の共演動画となりました。
ばくわなの方は首を突っ込むと何か落ちてきて危ないからやめておこうと、この猫もやはり学習してしまったようです。
ばくわなの方はほぼスルーで紐罠の方の餌にばかり向かいますが…

この動画では紐罠の方も、4mmのナイロン製金剛打紐を使っています。ばくわなでいつも使っている丈夫な紐を使ってみました。
ナイロン紐はすべりやすくこのように猫の首にもやや引っ掛かりにくいというデメリットがあります。4mm紐はさらに重くて落ちやすいので今回のように失敗しやすいのですね。丈夫なナイロン紐を使うにしても本当はもう少し軽い3mmのものを使った方が良いでしょう。

しかしこの映像では失敗してるがゆえに、再三の失敗にもかかわらず紐罠の紐がまったく意に介されていないのがよくわかりますね。
つまり警戒されることがないのでやり直しがいくらでもきくということです。
そしていずれは捕まると。

今回は、3回目にうまく紐が首に掛かりましたが、かなりゆるゆるでした。普通に後ずさりされていたら逃げられていた可能性が高いと思いますが、その退路はブロックによってあらかじめ断ってありました。ほんの低いブロックの障壁でも猫は後ずさりで越えようとはしません。
猫というのは通常モードで歩くとき、自分の前足をどこに置くべきかというのを意外にしっかり知覚確認しながら歩いてるんですよね。
そこに壁や障害物があればなおさらです。

なので、低いブロックの障壁を越えるのにもどうしても前足から出ようとする。そうすると紐からうまく首を抜くことができない。それがここに映し出されている猫の行動の意味です。
そのジレンマの中でゆるゆるだった紐の輪も最後には小さく絞られて御用と相成りました。

人のイメージの力で捕らえる技
「動かない罠で猫を捕らえる」なんて何も知らない人が聞いたら「それなんの奥義やねんw」と言いそうな話です。
剣の達人が剣を持たずに剣の勝負に勝つ、みたいな話で面白いのですが、反面ちょっとわかりにくい難しさがあります。

網(あみ)にからまって動けない猫を救出する動画というのがたまにありますが、あれは事故ですね。
紐罠というのは見方をかえると、紐一本でそのような事故が起こりやすいように演出している罠であると見ることもできるわけです。

このようなブロックで囲んだ舞台空間を作ったときすでに、猫のだいたいの大きさとか、猫の首に紐が引っ掛かる感じ、ブロックに阻まれて猫が立往生する様子など、動画内で実際に起きたことが頭の中でほぼイメージできていたからこそ捕獲に成功したともいえるのです。

紐罠も初期の頃は餌を入れた植木鉢の上に紐を置いただけの単純なものでした。それだけでもそれなりに捕まります。
しかしそこでもう一段階、紐が猫の首に掛かった後の猫の動きを想像してこのようなブロックで囲んだ舞台を演出してやると、さらによく捕まるようになる。

どんな罠でも、たとえば市販の捕獲器でも「猫がこう入ってくるだろうからここにこう置こう」というようになんらかのイメージを持って仕掛けているものです。
紐罠の仕組み自体はとても単純なものであるがゆえに、そのイメージの力にかかる比重が非常に大きくなっているといえます。そこに難しさがある。

また、事故は必ず起こるわけでもない。紐罠の事故はかなりの高確率で起こるが、それでも多少の確率を味方につける必要がある。そんな難しさもある。
ただ、事故というのは人間でさえ避けることができないものです。仕組まれた事故もいずれ起こって猫は捕まるわけです。
どうしても捕まえられない警戒心の強い猫をなんとしても捕まえたい!という場合、このような方法があることを知っておいて損はないでしょう。

2月21日は紐罠記念日
ところで、今日は2月21日です。言っておくがべつに日付けを間違えたわけではない。
「ばくわな実戦ファイル」と銘打ってはいるものの今回はばくわなは完全に脇役(というか背景)で、主役は紐罠でした。
そして、2月21日は紐罠記念日ということに(私の中では)なっているのでこれで良いのです。
というのは、「紐罠で猫を手軽に捕獲する方法」という紐罠マニュアルページを最終更新したのがちょうど二年前の2021年2月21日で、これで紐罠に関してはもう更新することもなく完成かなと思っているからです。
紐罠の完成記念日というわけですね。

もちろんこれは年と月日を一致させて、その日をメモリアルデーとして自身覚えやすくしただけだが(猫ではないが私もよく物事を忘れるのでいろいろと忘れないような工夫をしないといけないのですw)、実はその2021年2月21日という日にはもうひとつ考えていたことがあった。
file03ですこし触れた通り、このころすでにばくわなのアイディアはあって開発中ではあったものの、まだ実用レベルには達していなかった。
しかしあと一年あればなんとかなるだろうとは見ていたので、1年と1日後、私には成すべきさらなる仕事があるのだと。
おそらくそういうことになるのだろうと、計画というよりその明確な予感があった。



2023年2月21日
by 皆ショ計画






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