「夢の電池」ともいわれる技術を開発していた日本企業が窮地に陥っています。社員全員が今月中に希望退職するよう求められ、応じなければ解雇すると経営陣から通告されました。一体、何が起きているのでしょうか。

■元日産レジェンドが創設 国会で疑惑追及も

電池の開発データ失われる危険
電池の開発データ失われる危険

 世界初となる次世代電池の開発で期待されていた、福井県のAPB社で起きているリストラ騒動。番組が取材すると、これまで蓄積してきた開発データさえも、失われる危険が迫っていることが分かりました。

APB社 堀江英明前CEO(2021年)
「我々は電池を作っていき、今後ここを軸に、アジアはここから輸出をしていきたい」
APB社を創業 堀江英明氏
APB社を創業 堀江英明氏

 2018年に、APB社を立ち上げた堀江氏。元々は日産自動車の技術者で、世界初の量産型EV「リーフ」の車載用電池を開発するなど、日産のレジェンド10人に数えられる1人です。

量産化を目指していた「全樹脂電池」
量産化を目指していた「全樹脂電池」

 その堀江氏がAPB社に移り、量産化を目指していたのが「全樹脂電池」。従来の2倍の電気をためられるうえに、発火や爆発のリスクが低いという、まさに「夢の電池」です。

NEDOから75億円の補助金が支出
NEDOから75億円の補助金が支出

 経済産業省が所管するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から、75億円の補助金が支出されています。

 しかし、このAPB社を巡って異変が起きています。これは先月27日の国会でのやり取りです。

無所属(有志の会) 福島伸享衆院議員
無所属(有志の会) 福島伸享衆院議員
無所属(有志の会) 福島伸享衆院議員
「国策として国のお金を使って研究開発されたプロジェクトが、安全保障上に懸念がある国に技術流出する可能性があるということを、私は国として傍観してはいけないと思うんですね」
武藤容治経産大臣
武藤容治経産大臣
武藤容治経産大臣
「有望な技術については、他国に流出しないよう管理を徹底することも加えて申し上げたいと思います」

 有志の会の福島伸享議員が追及したのは、APB社が開発する次世代電池の技術が、中国に流出しているのではないかという疑惑です。

工場を視察した中国企業の名刺(関係者提供)
工場を視察した中国企業の名刺(関係者提供)

 福島議員によりますと、2022年にAPB社の筆頭株主が変更。その後、中国企業との接点が急増し、おととしには中国の大手通信機器メーカーの技術者ら4人が工場の視察に来たことも分かっています。

 去年6月には、CEOだった堀江氏も解任されました。

福島衆院議員
「大臣、この技術が中国に行って、実用化して日本の脅威になる。大臣、責任取れますか?私はちゃんと調べて、しかるべき対処をすべきだと言っているんですけれども、大臣いかがでしょうか?」
武藤容治経産大臣
「しっかりとそういうことのないように、我々も連携しながらまとめていかなければいけないと思っています」
福島衆院議員
「国家の危機の可能性があるんだという思いで、この問題に取り組んで頂きたい。大臣、最後に決意をお伺いしたい」
武藤容治経産大臣
「私なりに調査をしてみます」