石破茂首相とトランプ米大統領が今月7日、米ワシントンで行った初の首脳会談。トランプ氏から無理難題が出るかと注目されたが、目立った要求はなく、同盟国としての絆の確認に終始した印象だ。両首脳の思惑を、歴代首相による対米外交を見つめてきた久米晃さんに解説してもらった。
		
			
		◆トランプ氏を徹底的に分析した日本側
			 ―トランプ氏は、メキシコやカナダを高関税で脅して外交問題での譲歩を迫ってきただけに、日本にも同様の圧力をかけるかが注目されました。7日の首脳会談を、全体としてどう評価しますか。
		
			
		
			 石破首相に批判的な一部の保守層は「トランプ氏と石破首相は合わない」などと冷めた目で眺めていたようですが、まったく違った結果に。両首脳の間で、今回は、非常に良好な関係が築かれました。
		
			
		
			 ―なぜ友好的な会談になったのでしょう。
		
			
		
			 首相は、トランプ氏のことをすごく研究したんだと思います。トランプ氏と蜜月関係にあるソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長とも事前に面会しました。トランプ氏の生い立ちや、どういう性格で何を好むかを、徹底的に分析し尽くしたんだと思います。会談では、トランプ氏が喜びそうなこともいろいろと言いました。政治って心理学ですから。
		
			
		
			 ―会談で首相は、トランプ氏が大統領選中に銃撃された直後、拳を突き上げた写真について「歴史に残る一枚」などと持ち上げたそうですね。
		
			
		
			 あれはトランプ氏が一番褒めてほしいことだったと思います。
		
			
		
			 ―首相は、ライバルだった故安倍晋三元首相にも触れ「日米の緊密な関係は、全て大統領と安倍氏が礎を築いた」などと話したとか。
		
			
		
			 それも、安倍さんとトランプ氏の個人的な関係をよく知った上で言ったんですね。
		
			
		◆日本に対して柔和にスタートしたトランプ氏の思惑
			 ―トランプ氏の対応をどう見ますか。
		
			
		
			 カナダやメキシコに、関税発動をちらつかせて譲歩を引き出したのとは真逆でした。関税も防衛費も、具体的な数字を持ち出して対応を求めたりしませんでした。日本との関係を良くしようという意識がありありと出ています。
		
			
		
			 ―なぜ日本に対しては扱いが違ったのでしょう。
		
			
		
			 米国にとって、アジアで政情が安定している同盟国は日本しかないわけです。韓国は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を巡る混乱が続いていますし。台湾有事でも対北朝鮮でも、米国にとって日本が事実上、唯一の防波堤であり前線基地になるわけで、その日本との関係を悪くしたくない。日本は今、少数与党で、野党政権ができる可能性もあるわけですが、それは米国にとって非常に都合が悪いのでしょう。そういったことも、お互いに研究しあっているんだと思います。
		
			
		
			 ―防衛費については、トランプ氏は、国内総生産(GDP)比2%に増やす日本政府の方針について「今日の協議によって、さらに増える」と発言。共同声明には「(日本は)2027年度より後も抜本的に防衛力を強化...
		
		
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